column
登場人物
たよう せいくん
自然環境や生き物が好き。スマホゲームも好き。
もり まもる先生
森の生き物の豊かさと守り方を研究中。
外来種(外来生物)は国内外を問わず、他の土地から人の手によって持ち込まれた生き物たちです。ペット、観賞用、食用として輸入されることや荷物に紛れて侵入するなど様々なケースがあります。
例えば、ミドリガメはペットとして輸入され、縁日やペットショップで販売されています。ただ、大きくなったために世話ができなくなった人が、野外へ逃がしてしまうことがあります。このカメは汚れた川や池でも生息できるため、放された場所で繁殖を続け、今では公園の池などでよく見かけるカメになりました。本当の種名を、ミシシッピアカミミガメと言います。
外来種の数が増えると、様々な問題が発生します。食用として持ち込まれたウシガエルは、池に放たれると、在来種の魚や虫、他のカエルを含む生き物を食べ尽くしてしまいます。繁殖力が高く、天敵もいないため、その数は増え続けています。
アライグマは農作物を食い荒らし、深刻な被害を各地で引き起こしています。また、海外で発症例のある寄生虫を持っている可能性があり、私たちの生活への影響も懸念されています。
外来種が引き起こす問題や懸念は枚挙にいとまがありません。これらの問題に対処するために、駆除という方法が取られています。
希少な植物が食べ尽くされ、生態系のバランスが崩れる地域や、人への危険が懸念される外来種の出現など、外来種の被害によって悲しむ人々もいます。一方で、外来種を一律に悪者扱いし、ただ駆除するべき存在とする考え方に疑問を投げかける人々もいます。
例えば、八丈島の外来種、ノヤギはもともと人間が島に持ち込んだ家畜のヤギです。野生化し繁殖した結果、逆に牧草や畑の作物を食い荒らし、害獣となってしまいました。東京都と八丈町は、2008年からノヤギの駆除と繁殖防止を行い、12年をかけてノヤギの絶滅宣言を出したのです。
この例でもわかるように、外来生物たちは元々いた国や地域で普通に生息していた生物であり、新しい環境で生き抜いているに過ぎません。その結果私たち人間にとっての被害につながっているのです。外来種問題をはじめ多くの環境問題は、人間の暮らしが原因で引き起こされています。これらの問題の背景を理解し、私たち一人一人が取り組める行動を考えていくことが求められています。
執筆者
NPO法人ホールアース自然学校
生物多様性の取り組み
PROJECT
ドコモグループならではのICTや社員の力で、
全国で生物多様性保全の取組を進めています。
お客さまや地域のみなさまと、
保全活動や連携施策を実施しています。