ドコモのストリートファイターリーグ
参画で広がる観戦体験の可能性
世界的に急拡大するeスポーツ市場。国内でもさまざまな業界の企業が参入し注目度が高まるなか、5月19日に開催された「NTTドコモ2021 夏 新サービス・新商品発表会」でドコモは、運営する国内eスポーツリーグブランド「X-MOMENT」へ「ストリートファイターリーグ」を新たに追加し、カプコンと共催すると発表した。ドコモの5G技術をかけ合わせることによって、eスポーツの可能性は今後どのように広がっていくだろうか。
日本でも盛り上がりつつある
eスポーツ市場
eスポーツは、2022年に中国で開催される「第19回アジア競技大会」で正式なメダル競技として採用されるなど、米国や韓国、中国を中心に世界的な盛り上がりを見せている。その市場規模は日本でも2019年から2022年にかけて2倍になることが予想されるなど右肩上がりでの成長が見込まれており、参入する企業が後を絶たない。

ドコモも、2020年11月にeスポーツ市場への本格参入を発表。2021年1月には、国内eスポーツリーグブランド「X-MOMENT」を設立し、バトルロイヤルゲーム『PUBG MOBILE』のリーグ「PUBG MOBILE JAPAN LEAGUE SEASON1」、シューティングゲーム『レインボーシックス シージ』のリーグ「Rainbow Six Japan League 2021」の運営を手掛けてきた。
そして今回の発表会では、この2リーグに加え、対戦格闘ゲーム『ストリートファイターV チャンピオンエディション』を活用した新シーズン「ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2021」を、2021年10月よりカプコンと共催すると発表した。
ストリートファイターリーグ
新シーズンの新たな試みとは

「ストリートファイターリーグ」は、一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)から発行される「ストリートファイターV」ジャパン・eスポーツ・プロライセンスを保有する世界トップレベルの選手たちがリーグ独自のチームを組み賞金を懸けて戦うチーム制の公式チームリーグ戦として、2018年より過去3シーズン実施されてきた。
2021年の新シーズンでは、全56試合のリーグ本節で各チームがポイントを競い合い、本節の上位チームが「プレイオフ」へ、そこからさらに勝ち上がったチームが決勝大会である「グランドファイナル」へと進む。そして、グランドファイナルの上位チームは、世界大会として予定されているストリートファイターリーグ「ワールドチャンピオンシップ」の出場権を得ることができる。
選手にとって、世界に挑戦できるチャンスがあるということは、大きなモチベーションにつながるだろう。さらに、日本のチームが世界で活躍してリーグの魅力を発信し、世界から注目が集まるようになれば、今後、よりレベルの高い世界のトップ選手たちがリーグへ参戦する可能性も出てくるだろう。こうした流れをつくることができれば、日本のeスポーツはさらに発展していくはずだ。
さらに、本大会で注目すべきは、企業8社がチームオーナーとなりオリジナルチームを編成してリーグへ参画する「チームオーナー制」が導入されることだ。これにより開催規模が拡大するだけでなく、チームオーナーが選手のマネージメントやスポンサー集めなどを担当することで、選手はプロとして練習や試合に集中できるようになり、より白熱した戦いが生まれることも期待される。また、チームとしてグッズ販売などのビジネス展開やブランディング、選手のスカウト・育成などにも注力できるようになるため、観戦者やファンにとっては“推しのチームや選手”を発見できる機会が増え、より深くeスポーツを楽しめるようになるだろう。
5G技術を掛け合わせることで、
eスポーツの楽しみ方は
次の段階へ
また、オンライン大会においては、特に対戦格闘ゲームのように通信環境が競技性に大きく影響を与えるゲームを行う選手にとって、快適なプレイ環境の実現は非常に重要な問題となる。
そこで役に立つのが、高速・大容量、低遅延という特徴をもつ5G通信だ。今回のドコモの発表会では、試合自体は有線回線で、選手の顔の表情や仕草などは5Gデバイスで撮影して5G回線を用いて配信し、観戦者は自宅からeスポーツを楽しむという形のeスポーツ大会のあり方が提案された。

回線を使い分けることで、より快適なプレイ環境の実現や映像配信が可能になり、観戦者としてはプロチームのハイレベルな戦いの様子はもちろん、選手の表情から緊張や勝利の喜び、敗戦時の悔しさなど、その裏にあるドラマまでもリアルタイムで熱量高く感じることができるようになる。こうして離れた場所で戦う選手との一体感を感じることができれば、自宅での観戦はより魅力的なものとなり、eスポーツファンの裾野もさらに広がっていくだろう。

eスポーツの新たなファン層を獲得していくためには、観戦スタイルの選択肢を増やしておくことも重要だ。ドコモは「東京ゲームショウ2019」において、リアルタイムでの対戦の様子をARで再現するという新たなeスポーツの観戦体験を提案している。
5G技術にARやVR、MRといったXR技術を掛け合わせたeスポーツ観戦の新しい形が定着していけば、自分の好きなアングルで対戦シーンを楽しんだり、ゲームの世界に自分も入り込んで応援したりと、これまでにないeスポーツ観戦の楽しみが生まれてくる。ドコモは、先端技術を活用した新しいeスポーツ観戦体験の開発・提供を今後も続けていく考えだ。

5Gでeスポーツ推進の
土壌づくりを
eスポーツ市場が拡大し続けるなか、新たなファンや選手を増やしてeスポーツの熱狂をより深く広いものにしていく絶好のチャンスが到来している。そのためには、一般的なオンライン対戦ゲームに限らず、さまざまなゲームを遅延なく快適にプレイできる環境を整備したり、新たな観戦体験の選択肢を用意したりすることで、eスポーツの強固な土壌を築いていくことが大切だ。今まさに本格普及の段階に入った5G技術は、そこに大きく貢献するだろう。
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