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2026年7月 3GPP Release 19標準化特集(1) ―6Gへのステップとなる5G-Advancedの高度化―

3GPP Release 19におけるRANインテリジェント化・自動化技術

  • #5GE&6G
  • #3GPP
  • #無線通信
English

島  康介(しま こうすけ)
三井  周(みつい しゅう)
6Gテック部

中村  零(なかむら みお)
山下 航輝(やました こうき)
井波 柱偉(いなみ ちゅうい)
RAN技術推進室

あらまし

3GPP Rel-16~18ではモバイルブロードバンドを高度化する技術が導入され,Rel-19においてさらなる拡張が実施された.これに加えて,Rel-19ではAI/MLの活用を含む無線ネットワーク(RAN)のインテリジェント化・自動化技術も導入されており,それらは新しい高度化技術として5Gネットワークのさらなる拡張を可能とした.本稿では,3GPP Rel-19で新しく導入されたRANインテリジェント化・自動化技術の無線アクセス仕様を解説する.

01. まえがき

2020年3月,ドコモは3GPP(3rd Generation Partnership Project)*1Release 15(以下,Rel-15)で標準仕様化されたNR(New Radio)*2を用いた第5世代移動通信システム(5G)サービスを開始した.Rel-15の特長として高速・大容量が挙げられ,それに基づいて高度な通信機能をもつ5G通信サービスの提供が実現された.一方,将来のネットワークの需要を踏まえて,さらなる無線通信ネットワークの高速・大容量化が求められている.このため,3GPP Rel-16~18において継続的にネットワーク機能を拡張・高度化する技術が導入されてきた.Rel-18においては,NG-RAN(New Generation Radio Access Network)*3制御に初めてAI(Artificial Intelligence)/ML(Machine Learning)*4を活用する技術が導入された[1].さらにRel-19では,より広範な無線アクセスネットワークに,AI/MLや自動化を取り入れた高度化技術が導入された.
本稿では,Rel-19の新しい高度化技術として,AI/MLの活用を含むRAN*5のインテリジェント化・自動化による,5Gネットワークの最適化,省電力化,そして効率的かつ柔軟な展開を実現する機能について,無線アクセスと無線ネットワークそれぞれの面から解説する.
AI/MLの無線アクセスへの活用として新たに導入された,スループット向上,オーバヘッド*6・端末消費電力削減を目的としたビーム予測とチャネル予測技術,端末位置測位精度向上を目的とした位置測位技術を解説する.次に,AI/MLの無線リソース制御(RRM:Radio Resource Management)*7に関連する技術についても述べる.
また,AI/MLの無線ネットワークへの活用としてRel-18から拡張された,ネットワークの省電力化,ロードバランス,モビリティなどの最適化を目的としたNG-RAN制御技術について解説する.
加えて,SON(Self Organizing Network)*8/MDT(Minimization of Drive Test)*9の高度化によるネットワークの自動最適化の実現について述べる.

  1. 3GPP:移動通信システムの規格策定を行う標準化団体.
  2. NR:5G向けに策定された無線方式規格.4Gと比較して高い周波数帯(例えば,3.7GHz帯や4.5GHz帯,28GHz帯)などを活用した通信の高速・大容量化や,高度化されたIoTの実現を目的とした低遅延・高信頼な通信を可能にする.
  3. NG-RAN:5Gコアネットワークに接続されるRAN(*5参照).無線アクセス技術としてNR,E-UTRAを用いる.
  4. AI/ML:モデルを用いて推論すること,および推論に用いるモデルを機械学習により生成すること.
  5. RAN:コアネットワークと移動端末の間に位置する,無線レイヤの制御を行う基地局などで構成されるネットワーク.
  6. オーバヘッド:ユーザデータの送受信を行うために必要な制御情報や,受信品質測定に必要な参照信号(*31参照)など,ユーザデータの送信以外に用いられる無線リソース.
  7. 無線リソース制御(RRM):有限である無線リソースの適切な管理や,端末・基地局間のスムーズな接続を実現するために端末が実施する,ハンドオーバ(*44参照)などのモビリティ動作,参照信号(*31参照)を用いた品質測定といった制御の総称.
  8. SON:eNB設置時の自動設定やパラメータの自動最適化などを含む,無線ネットワーク自己最適化機能の総称.
  9. MDT:3GPPにて標準化されている,通信中の無線切断やハンドオーバ(*44参照)の失敗など,端末からネットワークに対して事象の発生した位置情報やその原因などを通知し,基地局がQoEを収集する技術.

02. 無線区間へのAI/MLの適用

2.1 AI/MLを活用したビーム予測

Rel-18までのNRでは,使用周波数帯の広帯域化や高周波数帯化を背景として,ビームフォーミング*10技術の機能拡張が継続的に行われてきた.近年では,massive MIMO(Multiple Input Multiple Output)*11における多数のアンテナ素子を用いた高指向性ビームの活用が広まっている.massive MIMOにおいて多数の候補ビームから最適なビームを選択するビーム管理を行うためには,端末での多数かつ高頻度なビーム測定やビーム報告が必要であり,オーバヘッドや端末消費電力の増加が課題となっていた.
そこでRel-19では,AI/MLを用いた無線制御機能の1つとして,ビーム予測が仕様化された.具体的には,空間的に疎なビーム測定結果から,AI/MLを用いてビーム間の測定を補完することで空間的に密なビーム受信電力を予測する空間的予測と,過去のビーム測定結果から,AI/MLを用いて将来のビーム受信電力を時系列で予測する時間的予測の2パターンが仕様化された(図1).これらの予測によって,情報を補完するための測定回数が減り,オーバヘッドや端末消費電力の低減が見込める.基本的に空間的予測と時間的予測は同様に仕様化されているため,本稿では両者をまとめて述べる.
端末側のAI/MLモデルを使用する場合と,基地局側のAI/MLモデルを使用する場合それぞれにおいて,AI/MLを活用するための一連プロシージャ*12であるLCM(Life Cycle Management)*13が仕様化された.その概要を図2に示す.以下では端末側および基地局側のAI/MLモデルをそれぞれ用いる場合について解説する.
(1)端末側のAI/MLモデルを使用したビーム予測
端末側のAI/MLモデルを使用する場合,まず,モデル学習のためにデータ収集を行う必要があり,端末がデータ収集を希望するビームの測定設定を基地局へ通知する仕組みが規定された.端末がデータ収集後,収集データを学習サーバへ転送する仕組み,サーバ上でのモデル学習方法,および学習済みモデルの端末への転送・配備方法は実装に任される.学習済みの端末側モデルが端末に転送された後,実際にモデルを用いて推論を行うために,モデル有効性を端末から基地局に報告する仕組みや,モデル推論のために基地局が端末に行う設定内容が規定された.また,モデル推論実施後に,モデルの性能を基地局が監視・評価するための仕組みが規定された.以下では,その詳細について述べる.
(a)推論によるビーム報告
端末側のAI/MLモデルを用いた推論において,端末は,基地局からの設定に基づいてビーム予測を行う.端末は,CRI(CSI-RS Resource Indicator*14/SSBRI(SSB Resource Indicator)*15が上位の予測ビームと,各ビームの予測RSRP(Reference Signal Received Power)*16を報告可能である.
時間的予測の場合,端末は,1回のCSI(Channel State Information)*17報告において複数の予測時刻分のビーム推論結果をまとめて報告する.これにより,端末は,時間方向のビーム変動を都度ネットワークに報告する必要がなく,報告時に必要なシグナリングオーバヘッドを削減できる.一方で,報告時の遅延は大きくなるため,シグナリングオーバヘッドと遅延のトレードオフを踏まえた報告回数が基地局から指示される.
(b)AI/ML処理ユニットの導入
Rel-19では,端末側でのAI/ML処理負荷を考慮し,従来のCSI処理用CPU(CSI Processing Unit)*18に加えて,新たにAI/ML処理専用のAPU(AI Processing Unit)*19が導入された.推論処理はCPUまたはAPUで実行可能であり,端末は推論時に占有されるCPU/APUの使用量を報告する.また,APUはビーム予測だけでなく,同じくRel-19で導入されたAI/MLを用いたチャネル予測など,他のAI/ML機能とも共有される設計となっている.
(c)学習と推論のデータ整合性保証
モデル学習時と推論時のデータ特性の整合性を保証するため,Rel-19ではAssociated ID*20と呼ばれる新規のIDが仕様化された.Associated IDは送信ビームの特性を表す識別子であり,ネットワークは学習時および推論時にこれを端末に通知する.これにより,ビーム構成やビーム特性が変更された場合に,学習時と異なる条件で推論が行われることを防ぎ,予測精度の劣化を回避する.
(d)AI/MLモデルの適用可否の報告
端末側のAI/MLモデルを利用したビーム予測を行う場合,端末側のAI/MLモデルが適用可能かを基地局が認識し,適切な設定を端末に実施するために必要な,基地局-端末間のシグナリングが規定された.
まず,基地局は端末の能力報告に基づいて,AI/MLによるビーム予測機能関連情報を端末に設定する.端末は,前述のAssociated IDを含み得る基地局から設定された情報や端末の状況などから,AI/MLによるビーム予測機能が適用可能か否かを判断しネットワークへ報告する.その後,AI/MLモデルの適用可否を変更した場合,端末はそれを基地局へ報告する.これにより端末はAI/MLが正常に動作できる場合にのみ,AI/MLを利用できるようになる.
(e)性能監視結果の報告
AI/MLを用いたビーム予測が有効に機能しているかを評価するため,Rel-19では性能監視の仕組みが仕様化された.端末は,RRC(Radio Resource Control)*21で設定された監視対象インスタンス*22について,所定の条件に従って,各予測インスタンスが正確なビーム予測であったかを判定し,その結果をビーム予測の性能指標であるPAI(Prediction Accuracy Indicator)*23として報告する.なお,PAIは正確と判定されたインスタンスの個数として定義される.例えば時間的予測において,4つの予測対象の時間インスタンスのうち3つが正確と判定された場合,PAIは3となる.ネットワークはPAI情報を用いて,AI/MLビーム予測の継続利用や再学習の要否を判断することができる.
(2)基地局側のAI/MLモデルを利用したビーム予測
基地局側のAI/MLモデルを使用するビーム予測において,基地局側のAI/MLモデルを学習するためのデータ収集方法と端末からのビーム報告方法が仕様化された.以下では,その詳細について述べる.なお,基地局側での学習や推論方法,性能監視などの詳細は基地局実装に委ねられている.
(a)モデル学習のためのデータ収集
基地局側のAI/MLモデルを用いたビーム予測において,モデル学習のためのデータ収集として,RRC_CONNECTED*24状態の端末は,基地局からの設定に基づいてL1(Layer 1)*25測定データを蓄積する.この蓄積方法として,周期的とイベント契機の2つがサポートされ,イベント契機のデータ蓄積の際に設定可能なイベントとして,eventA1*26とeventA2*27が規定された.これらのイベント規定では,端末バッファ内がデータで満たされる,またはデータ量が基地局で設定したしきい値を上回ると,端末はそれを基地局へ報告する.報告を受けた基地局は,蓄積データを報告させるための設定を端末へ送信し,端末に報告させることができる.これにより,モデル学習のためのデータを収集する際のシグナリングオーバヘッドを削減することができる.
(b)推論によるビーム報告
基地局側AI/MLモデルを用いた推論のために,端末から報告されるL1-RSRPの最大報告数が4から8に拡張された.また,端末が全ビームの測定結果を報告する場合には,Rel-18では全CRI/SSBRIの報告が必要であったが,Rel-19では,最も高いL1-RSRPを示すビームのCRI/SSBRIのみを報告し,その他のビームは測定したL1-RSRPの値のみを報告する.これらの拡張により,基地局側AI/MLモデルは,より豊富な測定情報を活用しつつ,シグナリングオーバヘッドを削減し無線インタフェースへの負荷を抑えることができる.
(3)ビーム予測におけるRRM要件
従来のRRM要件は決定論的な計算手順を前提としていたが,AI/MLを用いたビーム予測では,推論結果の確率的なばらつきや,環境変化に伴う急激な性能劣化といったAI/ML特有の課題がある.これに対し,実運用において確実な性能を担保することを目的として,新たなRRM要件の枠組みが導入された.具体的には,AI/MLモデルの内部構造や学習方法は端末ベンダの実装依存(ブラックボックス)としつつも,多様な実装に対して規定の環境下で一定の予測精度を満たすかを外部から統計的に評価する試験手順(端末が単独でモデルをもつ構成向けの試験など)が確立された.
また,予測される最大のRSRP値を報告する際の粒度や,AI/MLモデルが正確な予測結果を導出するために必要な期間に基づく許容遅延時間が仕様化され,端末は規定された時間内に測定と推論を完了することが義務づけられた.さらに,前述のPAIなどを用いた性能監視機能と連携し,AI/MLの予測精度が一定の基準を下回った場合には,規定された時間内に安全な従来手法へ切り替えるためのフェールセーフ動作要件も規定された.これらの仕様化により,多様なAI/ML実装を許容しつつも,端末が規定期間内に測定・推論を完了させることが義務づけられた.同時に,AI/MLの性能低下時においても,ネットワークへの悪影響を未然に防ぎ,安定した通信品質を維持できるようになった.

2.2 AI/MLを活用したチャネル予測

前述したビーム予測と同様に,AI/MLを用いたチャネル予測が仕様化された.具体的には,過去のCSI測定結果から,AI/MLを用いて時系列的に将来のCSIを予測する時間的予測が仕様化された.本仕様化は前述のAI/MLを活用した時間的ビーム予測における端末側のAI/MLモデルを利用する場合の仕様を踏襲しているため,以下ではビーム予測との差分点について述べる.
(1)チャネル予測の報告
チャネル予測において,端末はAI/MLの推論結果として予測された将来のCSIを報告する.Rel-19のチャネル予測では,既存のチャネル情報報告フレームワークを最大限活用する方針が取られており,端末はAI/MLモデルによって予測されたチャネル情報を従来のCSI報告形式に従って報告する.
(2)性能監視結果の報告
ビーム予測では,その正確性を連続的な数値で表現することが難しいことから,前述のとおりビーム予測の正解・不正解の二値のみで評価した結果を基に算出したPAIが仕様化された.これに対して,チャネル予測では,性能を連続的な指標として評価した平方一般化コサイン類似度(SGCS:Squared Generalized Cosine Similarity)*28を性能指標として使用する.チャネル予測の性能監視方法を図3に示す.
SGCSは,2つのベクトル間の類似度を表す指標であり,チャネル予測では以下の2種類のSGCSの値が計算・報告される.
・SGCS1:AI/MLモデルによって予測されたチャネルと,性能監視用リソースに基づく実測チャネルとの類似度を表す.また,AI/MLによるチャネル予測性能を直接反映する.
・SGCS2:直近のチャネル測定結果と,実測チャネルとの類似度を表す.また,AI/MLを用いない場合のベンチマーク性能を示す.

ネットワークはこれら2種類のSGCSの値を比較することで,AI/MLによるチャネル予測が従来方式に対して有意な性能向上をもたらしているかを判断する.
(3)チャネル予測におけるRRM要件
ビーム予測と同様に実運用における確実な性能を担保することを目的として,AI/MLを用いたチャネル予測においてもRRM要件の枠組みが導入された.具体的には,チャネル予測モデルのLCMに関する要件として,モデルの有効化や無効化の指示をネットワークから受信して以降,端末が実際に適用を完了するまでの許容遅延時間が規定された.また,上記のSGCSを用いた性能監視機能と連携し,予測精度が一定の基準を下回った場合には,ネットワークへの悪影響を防ぐため,規定された時間内に安全な従来のチャネル状態報告へと切り替えるフェールセーフ動作に伴う遷移遅延要件も仕様化された.
これらの仕様化により,ネットワークは各端末のAI/MLモデルの状態遷移にかかる時間を把握し制御できるようになる.結果として,実環境におけるチャネル状態の変動時においても通信品質を維持しつつ,AI/MLによるスループット向上を実現できるようになった.

2.3 AI/MLを活用した端末位置測位

NRでの端末位置測位技術は,Rel-16からRel-18にかけて仕様化およびその機能拡張が行われた[2]~[4].これらの技術は,基本的に基地局と端末間に遮蔽物のない見通し(LoS:Line of Sight)*29環境を想定しており,PRS(Positioning Reference Signal)*30などの測位用参照信号*31の観測で確認できる直接波の到来時刻や角度から,幾何学的に位置関係を計算し測位を可能にしていた.しかし,遮蔽物の存在する非見通し(NLoS:Non-LoS)*32環境では測位精度が低下してしまう問題があった.
そこで,Rel-19ではNLoS環境下における測位精度の向上などをめざし,AI/MLを用いた測位技術が議論された.AI/MLモデルを用いて測位計算を行う方法を図4に示す.Rel-19では,①端末側のAI/MLモデルを用いて基地局から送信されるDL(DownLink)-PRSを測定し測位を行う方法,②端末から送信されるSRS(Sounding Reference Signal)*33を基地局で測定し,基地局側のAI/MLモデルを用いて理想条件の測定値を計算した上で,LMF(Location Management Function)*34で測位計算を行う方法,③端末から送信されるSRSを基地局で測定し,LMF側のAI/MLモデルを用いて測位計算を行う方法,の3つが想定され議論された.また,端末位置測位におけるRRM要件についても議論された.以下にこれらを実現するための仕様についてRel-18からの変更点を述べる.
(1)端末側のAI/MLモデルを用いる場合
AI/MLモデルが端末にある場合,AI/MLモデルはTRP(Transmission and Reception Point)*35の配置や周辺環境に紐づいて学習が行われる.そのためセル内の基地局位置やアンテナ位置,アンテナ高度などTRPに関する情報が変更されると,変更前のデータで学習していたAI/MLモデルでは高精度の位置推定ができない場合がある.その環境変化を端末に伝達するために,Associated IDが導入された.Associated IDは,同じセル内の全TRPに対し同一のIDが割り当てられ,セル内のTRPの位置に変更が生じた場合にIDが変更される仕組みとなっている.端末はAssociated IDを確認することで,TRPの位置情報を直接参照しなくても環境の変化を検知でき,適切なAI/MLモデルへの移行や,Rel-18以前のAI/MLを使わない測位方法へと切替えができる.
(2)基地局側のAI/MLモデルを用いる場合
AI/MLモデルが基地局にある場合は,障害物が存在しない場合の仮想的な直接波の到来時刻や測定品質などをAI/MLモデルが推定し,推定値をLMFに伝達した上で,LMFが端末位置を従来と同様に幾何学的に計算する.この基地局からLMFへの報告が従来の形式を再利用したものであることから,そのままでは,基地局から報告された値が仮想的な直接波によるものか,実際の直接波によるものかをLMFでは正確に判断できない.そのため,基地局がLMFに報告した到来時刻と見通し確率それぞれについて,報告値がAI/MLモデルにより推論された値であるかどうかを示すための通知が導入された.
(3)LMF側のAI/MLモデルを用いる場合
AI/MLモデルがLMFにある場合,基地局は端末からのSRSを測定して結果をLMFに報告し,LMFのAI/MLモデルによって端末位置を推定する.Rel-18以前の上り位置測位では,SRSの測定結果から複数観測されるパス(電波の到来時刻/角度)のうち,どれをLMFに報告するかは基地局の実装に依存していた.しかし,AI/MLを用いる場合,AI/MLモデルの学習時と実際の推論時でLMFへ報告するパスの選択基準が異なると,位置推定精度が劣化する懸念が指摘された.この問題を解消するため,Rel-19では報告する値の選択方法を厳密に規定した新しい測定手法が導入された(図5).具体的には,到来したSRS遅延プロファイル*36から抽出するサンプリングの粒度や,その中からLMFへ報告するサンプルの数がそれぞれ規定され,測定されたサンプルの中から電力が高いものを報告する仕組みとなった.
(4)端末位置測位におけるRRM要件
AI/MLを用いて下りリンク*37の端末位置測位を行う場合,AI/MLモデルの推論にかかる計算時間は,端末のハードウェア能力や実装するモデルの複雑さに大きく依存する.そのため,従来のように全端末一律の固定的な遅延時間を適用することが困難であるという課題があった.この課題に対応し,各端末のAI実装に応じた適切な遅延管理を行う目的で,端末が自身の能力として推論遅延をネットワークに申告するという柔軟なRRM要件の枠組みが新たに導入された.
Rel-19の仕様では,位置情報報告の許容遅延時間を,従来の「測定遅延」と申告された「推論遅延」の和として規定した.推論遅延は,端末が測位周波数レイヤ*38ごとにネットワークへ報告した能力値を合計して算出される.この仕様化により,端末ベンダによる多様なAIのハードウェア実装や高度なモデル開発を阻害することなく,ネットワーク側は各端末の実際の処理能力に基づいた位置情報報告の遅延管理や性能評価が可能となる.
なお,モデルの性能低下がネットワーク全体に悪影響を及ぼすことを防ぐため,AI/MLの出力精度が一定の基準を下回った場合には,規定された時間内に従来手法へ切り替えるための動作要件が仕様化された.

  1. ビームフォーミング:送信信号に指向性をもたせることで,特定方向の信号電力を増加/低下させる技術.
  2. Massive MIMO:複数素子のアンテナによって無線信号を空間的多重伝送するMIMO伝送方式において,より多数の素子アンテナの採用により,鋭い電波ビームの形成や,より多くのストリームの同時伝送を実現する技術.
  3. プロシージャ:基地局間や基地局 ‒ コアネットワーク間,基地局 ‒ 端末間などにおける信号処理手順.
  4. LCM:データ収集,モデル学習,推論,モデル性能監視といった,AI/MLを活用するための一連の流れ.
  5. CRI:CSI(*17参照)‑RSに基づく測定結果を用いて,端末が報告対象として選択したCSI‑RSリソースを識別する指標.CSI報告およびビーム管理に用いられる.
  6. SSBRI:SSB(Synchronization Signals/Physical Broadcast Channel Block)に基づく測定結果を用いて,端末が報告対象として選択したSSBリソースを識別する指標.初期アクセスおよびビーム管理に用いられる.
  7. RSRP:移動端末で測定される参照信号(*31参照)の受信レベル.移動端末の受信感度を表す指標の1つ.
  8. CSI:信号が経由した無線チャネルの状態を表す情報.
  9. CPU:端末において,CSI計算およびCSI報告に関連する信号処理を実行するために規定された論理的な処理資源単位.
  10. APU:端末において,推論などAIに関連する信号処理を実行するために規定された論理的な処理資源単位.
  11. Associated ID:学習時および推論時の特性の一致性を判定するのに用いられる識別子.
  12. RRC:無線ネットワークにおける無線リソースを制御するプロトコル.
  13. インスタンス:予測ごとの評価単位.
  14. PAI:AI/MLを用いたビーム予測において,予測の正確性を,正確なビーム予測インスタンスの数として表す性能指標.
  15. RRC_CONNECTED:端末のRRC状態の1つであり,端末は基地局内のセルレベルの識別をもち,基地局およびコアネットワークにおいて端末のコンテキストが保持されている.
  16. L1:開放型システム間相互接続(OSI:Open Systems Interconnection)参照モデルの第1層(物理層).
  17. eventA1:在圏セルの品質がしきい値を上回ることを検出するイベント.
  18. eventA2:在圏セルの品質がしきい値を下回ることを検出するイベント.
  19. 平方一般化コサイン類似度(SGCS):2つのベクトル間の向きの一致度に基づいて類似度を評価する指標.AI/ML分野で広く用いられている.
  20. LoS:送受信間に遮蔽物がなく,直接波を使用した通信が主となる状態.
  21. PRS:測位専用の参照信号(*31参照).DL信号はDL-PRS,UL信号はSRS(*33参照) for positioningが規定されている.
  22. 参照信号:基地局 - 端末間の受信品質測定などに用いられる各セル固有の既知信号.
  23. NLoS:送受信間に遮蔽物が存在し,回折波を使用した通信が主となる状態.
  24. SRS:基地局側で上りリンクのチャネル品質や受信タイミングなどを測定するための参照信号.
  25. LMF:5GCにおいて規定された位置情報サービスに関する通信制御を担う機能.
  26. TRP:基地局側の無線信号送受信点.
  27. 遅延プロファイル:マルチパスチャネルでは,反射波の各パスの長さがそれぞれ異なることから,遅延は時間的な広がりをもった分布をもつ.この遅延時間に対するパワーの分布を遅延プロファイルという.
  28. 下りリンク:基地局から端末方向への情報の流れ.
  29. 測位周波数レイヤ:端末の現在地を特定するための測位用参照信号が送受信される周波数のまとまり.

03. AI/MLを用いた基地局の制御高度化

Rel-18において,基地局が行うさまざまな処理にAI/MLを適用することを想定した仕様が策定されたが,Rel-19において,これをさらに拡張する仕様が策定された.具体的には,AI/MLを用いたスライシング*39のための基地局リソース管理と,カバレッジ*40と通信容量を考慮したセル設定の最適化(CCO(Coverage and Capacity Optimization)*41),Rel-18で規定されたAI/MLを用いた省電力化・モビリティ制御*42の最適化機能の適用シナリオ拡張である.仕様拡張は基地局間シグナリング*43の拡張が主となっており,基地局が備えるAI/ML機能・動作やモデルの訓練などは規定されず実装依存である点はRel-18と同様である.

3.1 スライシング向け拡張

基地局が端末へ,スループットを保証するなどのスライシングによる特別なサービスを提供したい場合でも,基地局の負荷状況や無線リソースのひっ迫状況によってはこれを提供できない場合がある.また,端末がハンドオーバ*44実施後も,現在のスライシングで提供するサービスを継続しなければいけない場合がある.本機能拡張において基地局は,隣接基地局がAI/MLを用いて予測した,各スライスで使用可能なセル容量と無線リソースの使用状況を受け取ることができる.基地局は,この情報を用いることで,そのサービスにより適したハンドオーバ先基地局/セルを選択することができる.
端末がハンドオーバを行った直後の平均スループットなどを,ハンドオーバ先基地局が一定時間測定した後にハンドオーバ元基地局へ報告しハンドオーバ制御を最適化する,Rel-18ではこういった端末パフォーマンスのフィードバック機能が仕様化された.詳細については本誌過去記事を参照されたい[1].Rel-19では,端末パフォーマンスのスライスごとの測定・報告が可能になった.これにより,ハンドオーバ元基地局は,AI/MLを用いた高度なハンドオーバ制御においてスライスごとのフィードバック情報を受け取ることが可能となり,制御をさらに最適化することができる.

3.2 CCO向け拡張

CCO機能は,SONの1つとして規定された機能であり,Rel-19の拡張はこれにAI/MLを適用して,予測値に基づくプロアクティブな制御を可能とするための仕様である.
CCOとは,基地局が不適切なビーム幅,送信電力などのセル設定に起因するカバレッジの問題やセル端における通信容量不足の問題を検知することで,自身や隣接基地局におけるセルのDL送信電力やアンテナ放射角度などのカバレッジ状態を変更し,システム全体を最適化するための機能である.
従来,Non-split architecture*45においては,セル設定の変更はOAM(Operations,Administration and Maintenance)*46設定および基地局での実装によって実現され,隣接基地局へのカバレッジ状態の変更通知がXnAP(Xn Application Protocol)*47仕様によってサポートされていた.CU-DU split architecture*48においては前述の通知に加え,CU(Central Unit)*49において検知したカバレッジ問題をDU(Distributed Unit)*50へ通知する機能と,DUが通知されたカバレッジ問題を解決するために変更した新たなカバレッジ状態をCUへ通知する機能が,F1インタフェース*51によってサポートされていた.
Rel-19では,基地局(CU)がAI/MLを用いて将来発生するカバレッジ問題を予測することを想定して,仕様が拡張された.図6では,CU-DU split architectureにおいて,カバレッジホールを予測したCUが隣接CUと協調しながら,それぞれの配下のDUを通じてカバレッジを最適化する動作を示している.

3.3 省電力化・モビリティ制御の最適化機能の適用シナリオ拡張

(1)CU-DU split architectureのサポート
Rel-18においてサポートされた機能は,Non-split architectureを想定していたため,AI/MLを搭載する基地局間のXnAP仕様のみが規定された.Rel-19では,Rel-18でスコープとなったユースケースに対しCU-DU split architectureを採用した基地局もサポートするため,規定が以下のように拡張された.
・基地局消費電力削減:実測したDUの消費電力をCUへ報告する機能が規定された.
・モビリティ直後の端末パフォーマンス測定:端末がハンドオーバした直後の遅延をDUが測定し,これをCU-UP(User Plane)*52へ報告した後,CU-UPからCU-CP(Control Plane)*53へ報告する機能が規定された.
(2)NR-DC(New Radio Dual Connectivity)*54最適化のサポート
前述のハンドオーバ直後の端末パフォーマンス測定に加えて,Rel-19では,NR-DCにおけるSN(Secondary Node)*55追加またはSN変更が行われた直後の端末パフォーマンス測定がサポートされた.

  1. スライシング:5G時代の次世代ネットワークの実現形態の1つ.ユースケースやビジネスモデルなどのサービス単位で論理的に分離したネットワーク.
  2. カバレッジ:電波の送受信,あるいは,特定のサービスの利用が可能なエリア.
  3. CCO:カバレッジと通信容量を最適化するための技術.
  4. モビリティ制御:端末が移動しても,発着信および通信を継続して提供可能とする制御.
  5. 基地局間シグナリング:基地局間の通信に使用する制御信号.
  6. ハンドオーバ:端末とネットワーク間の通信を継続したまま,通信セル/基地局の切替えを行う通信技術.
  7. Non-split architecture:CU-DU split architecture(*48参照)を採用しない,基地局のアーキテクチャ.
  8. OAM:ネットワークにおける保守運用管理機能.
  9. XnAP:NRにおける基地局間を接続するXnインタフェースのうちアプリケーションレイヤを規定するプロトコル.
  10. CU-DU split architecture:NRにおいて導入された,基地局を集約ノード(CU(*49参照))と分散ノード(DU(*50参照))に機能分離したアーキテクチャ.
  11. CU:無線基地局装置のデジタル信号処理部分.ベースバンド処理部や保守監視機能を備える.
  12. DU:無線基地局装置の分散制御部分.無線信号の送受信や処理を行う.
  13. F1インタフェース:CUとDU間のインタフェース.
  14. CU-UP: CUが扱う処理のうちユーザプレーンを終端するノード.
  15. CU-CP: CUが扱う処理のうち制御プレーンを終端するノード.
  16. NR-DC:MN(*65参照)とSN(*55参照),2つのNR基地局に接続し,それらの基地局でサポートされる複数のキャリアを用いて同時に送受信を行うことにより,高速伝送を実現する技術.
  17. SN:DC中の端末に,MN(*65参照)の無線リソースに加えて,追加で無線リソースを提供する基地局.

04. SON/MDT機能の高度化

SONやMDTと呼ばれる基地局設定の自動最適化に関する機能がRel-19において以下のように高度化された.

4.1 Intra-CU LTM向け最適化

Rel-18において規定されたIntra-CU LTM(L1/L2 Triggered Mobility)*56の制御を最適化するためのSON機能が新たに規定された.LTMは,より時間変化に敏感なL1を用いたビーム測定・報告に基づきDUがハンドオーバのタイミングと対象を選択するため,ある瞬間において最も品質の良いセル/ビームを選択することができる.一方で,L3*57を用いた測定・報告に基づく通常のモビリティに比べて品質が不安定なセル/ビームを選択する可能性が高くなる.そのため,DUの制御を最適化するための本機能は,LTMを安定的に運用する上で重要である.Rel-19では具体的に,以下のような不適切なネットワーク制御結果の検知機能が規定された.
端末がDUからの不適切なLTM指示に従ってハンドオーバを試みて失敗した後,再接続した基地局へ無線リンク障害(RLF:Radio Link Failure)*58報告を行うことで,LTM対象判断の制御を改善することができる.以下の2つのシナリオに対しても,これらを検知する機能がサポートされた.また,RLF報告が端末から行われなかった場合でも,端末が再接続したDUがもつ情報のみに基づいて,ハンドオーバ元DUのLTM制御を改善するための機能も導入された.
(1)誤ったビームへハンドオーバした場合
LTMが完了した後,一定時間以内にビーム障害回復(BFR:Beam Failure Recovery)*59が発生した,もしくは,ハンドオーバが失敗して端末が別のビームへ再接続した場合,LTM対象が誤っていた可能性がある.再接続後に端末が使用しているビームをLTM対象としていればBFRの発生やハンドオーバの失敗を回避できていた可能性が高いため,再接続後に使用されたビームを,LTM判断を行ったDUへ報告することで制御を改善することができる.
(2)事前に取得したTAが不適切だったことによるLTMの失敗を検知した場合
LTM実施前に早期上りリンク同期(早期TA(Timing Advance)取得)*60を行って取得したTA*61が誤っていることが原因で,ハンドオーバが失敗する場合がある.このとき,端末が再接続する際に実施したランダムアクセス手順*62によって得られたTAを,LTM判断を行ったDUへ報告することで,TAに関する制御を改善することができる.

LTMによるハンドオーバの判断はDUにおいて行われるが,ハンドオーバがDUをまたいだLTMでかつ不必要に頻発したり,同じ2つのセルの間を頻繁に往復する形で行われたりしている場合,ユーザ体感の低下を招く可能性がある.この現象をping-pongと呼び,CUはこれを回避するために,LTM判断を行ったDUに対し,これまで端末が在圏したセルの履歴とともに,ping-pongの発生を指摘することができる.DUはこれを用いて,ping-pongを回避するようLTM判断を改善することができる.

4.2 候補SCG(s)を伴うCHO向けSON高度化

Rel-19では,候補SCG(Secondary Cell Group)*63(s)を伴うCHO(Conditional Handover)*64(以下,CHO with SCGs)に対するSON機能の拡張が規定された.CHO with SCGsは,端末に対してあらかじめ複数の候補セルを設定しておくことで,無線品質の変化に応じて迅速に端末自身がハンドオーバの実行を判断することができる.一方で,候補セルの選択・実行条件が適切でない場合には,接続失敗や無線品質劣化を招く可能性がある.CHO with SCGsでは,MN(Master Node)*65側セルの切替えのみならず,候補となるSCG/PSCell(Primary Secondary Cell)*66の構成も含めて移動制御が行われるため,通常のCHOに比べて,より多面的な失敗要因を考慮した最適化が必要となる.Rel-19では特に,実行タイミングが遅すぎる場合,早すぎる場合,および誤ったセル/SCGへ実行した場合の失敗を対象として,端末から失敗通知を受信した基地局が,原因となった基地局へ適切なレポートを転送することで,当該基地局が候補セル設定の制御を改善できる機能が規定された.

4.3 S-CPAC向けSON高度化

本機能は,S-CPAC(Subsequent Conditional PSCell Addition or Change)*67における失敗について,CPAC*68実施タイミングが遅すぎる場合,早すぎる場合,および誤ったセルへ実施した場合を検知し,以後のPSCell追加・変更制御を改善するための機能である.S-CPACでは候補PSCellをあらかじめ設定して迅速なSCG追加・変更を可能とする一方,実行タイミングや対象PSCellが不適切な場合にはSCG追加・変更の失敗が発生し得る.このため,失敗原因をS-CPACを設定した基地局へ通知し,制御最適化につなげる仕組みが導入された.

4.4 NTN・スライシング向けMDT機能拡張

既存のMDT機能では,端末に対してPLMN(Public Land Mobile Network)*69などで情報収集を行う条件を指定することができるが,Rel-19ではこれに加え,NTN(Non-Terrestrial Network)*70セル間を移動する端末に向けて地理的情報に基づいてログを取得する条件を指定できるよう仕様が拡張された.これにより,NTNセルが地上を移動する場合でも,特定の地域を覆うセルのみを対象として情報収集を行うことができる.
また,スライシング向けとして,特定のスライスに対する基地局制御を最適化するために,MDT機能で情報収集を行う対象をスライスで指定することができるよう仕様が拡張された.

  1. Intra-CU LTM:L1 measurement 報告に基づきDUにおいてより高速にハンドオーバを決定したり,事前にTA(*61参照)を取得してハンドオーバ時のRACH手順を回避したりすることで,高速なハンドオーバやより短い瞬断時間を実現するLTM機能をCU間にまたがって行う機能.
  2. L3:OSI参照モデルの第3層(ネットワーク層).
  3. 無線リンク障害(RLF):端末と基地局との間の通信品質が極端に低下し,接続が維持できなくなること.
  4. ビーム障害回復(BFR):下り制御チャネルのビームの受信品質が所定値を下回った場合に,端末が基地局に対して,ビーム障害の発生と変更先の新ビーム情報を報告することで,低遅延にビーム障害を回復できる機能.
  5. 早期上りリンク同期(早期TA取得):LTMにおいて,候補セルのTA(*61参照)測定を事前に実施すること.候補セル遷移時に取得したTAを使うことで,ランダムアクセス手順(*62参照)を省略することができ,セル切替え時の通信中断時間を削減することができる.
  6. TA:複数端末間の信号の直交性を保つために,端末側で調整する送信タイミングの量.
  7. ランダムアクセス手順:端末が発信時やハンドオーバなどにより,基地局と接続を確立する場合や再同期を行う場合に行う手順.
  8. SCG:DC中の基地局のうち,MN(*65参照)ではない基地局(SN)配下のセルグループ.
  9. CHO:端末に,ハンドオーバを実施する候補セルとハンドオーバ実行条件を設定し,実行条件が満たされた際に端末が自律的にハンドオーバを実施する動作.
  10. MN:DC中の端末とRRC connectionを確立する基地局.
  11. PSCell:DC中にSCGに含まれるセルのうち,接続を担保するセル.
  12. S-CPAC:Rel-18で規定された,RRCの再設定を行わずに連続でPSCellの追加・変更を行うことができる,CPAC(*68参照)の拡張機能.
  13. CPAC:Rel-17で規定されたPSCellの追加または変更の手順.端末に設定された実行条件が満たされた際に,対象のPSCellの追加または変更を行う.
  14. PLMN:移動通信システムを用いたサービスを提供するオペレータのこと.
  15. NTN:衛星などの非陸上系媒体を利用して,通信エリアが地上に限定されず,空・海・宇宙などのあらゆる場所に拡張された非地上系ネットワーク.

05. あとがき

本稿ではRel-19 NRで導入されたRANのインテリジェント化・自動化技術について解説した.本稿で解説した機能をはじめとしたRel-19 NRを導入することで,5Gネットワークのさらなる拡張・高度化が期待できる.ドコモは5Gの発展・普及の拡大のため,今後も継続して3GPPでの標準化活動を推進する.

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