メディア系付加価値サービスを提供するメディア処理ノードの開発〜4.あとがき
本稿では、メディア系付加価値サービスを提供するために構築したMPNの概要および汎用ソリューションを積極的に取り入れることを意識した設計方針について解説した。
今後、さらなるメディア系付加価値サービスを発展させるため、MPNへの機能の拡張や新たなメディア処理機能の取込みについても検討を行っている。機能の拡張例として、例えば3.3節aで述べたVXMLによる柔軟性を利用し、ガイダンスシナリオをユーザごとに自由にカスタマイズ可能となるような仕組みが考えられる。
また、新たなメディア処理機能の取込みについては、例えば、テキストデータを人間が音声を発しているように合成する音声合成機能や、人間の発話内容を認識しテキストデータとして取り出す音声認識機能が挙げられる。
さらに、メディアを高度に活用したRCS(Rich Communication Suite)1(図8)の実現に向けて、GSMA(Global System for Mobile communications Association)
2にて仕様策定中である。図8のように、ユーザはリッチコミュニケーションサービスを受けることが期待されるが、実現技術のうち特にIM(Instant Messaging)
3とContents Sharing
4はMPNとの親和性が高いので、すでに具備しているメディア処理機能と新たな汎用ソリューションなどの組合せにより、比較的容易に実現が可能であることが期待される。
1 RCS:電話・メールに次ぐ基本コミュニケーションツールとしてPresence・IM(
3 参照)・Contents Sharing(
4 参照)を用いて、空間・時間などの共有を可能とするサービス群。
2 GSMA:携帯電話事業者を代表する世界的な業界団体。
3 IM:テキストによる相槌レベルの会話を1対1および複数人で行うことを可能とするサービス技術。
4 Contents Sharing:写真、動画などをコミュニケーション中に送受信し、共感を深めることを可能とするサービス技術。
本記事は、テクニカル・ジャーナルVol.17 No.1に、掲載されています。