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3GPP LTE/SAE標準仕様完成における活動と貢献〜1.まえがき

2009年3月の3GPP TSG(Technical Specification Group)#43プレナリ会合注意1において、SAE(System Architecture Evolution)仕様の凍結が宣言され、3GPP Release(以下Rel.)8仕様の主要項目であるLTE(Long Term Evolution)/SAE仕様が完成した。このLTE/SAEは、その前の仕様と比較しても、大きな進化を遂げている。具体的には、無線アクセス仕様であるLTE は、アクセス方式に新しくOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)を採用し、Rel.7の高速パケット伝送技術であるHSPA(High Speed Packet Access)と比較して、周波数利用効率が3〜4倍と大幅な向上を遂げている。また、コアネットワーク仕様であるSAE は、IPパケット伝送に最適なネットワークアーキテクチャを採用し、LTEを含む、多様なアクセスを収容することが可能なネットワーク基盤となっている。

LTE/SAEの3GPP標準化は、Rel.7のステージ1開始から、Rel.8のステージ3完成まで、足かけ5年の長きにわたる標準化活動の成果である。LTE/SAE標準化のマイルストーンを図1に示す。3GPP標準化は、要求条件を策定するステージ1、要求条件に基づいたアーキテクチャを決定するステージ2、アーキテクチャ上で使用するプロトコル の仕様化を担当するステージ3に分けられる。

図1 標準化スケジュール

ドコモは、このLTE/SAE仕様策定に関し、活発なコンセプト提案や技術提案、ラポータ注意2、エディタ、仕様策定作業部会や全体会合のリーダを務めるなど積極的貢献を行った。その結果、2009年3月には関連標準化仕様の完成に至り、早期の商用サービス開始に備えた開発着手が可能となった。本稿では、このLTE/SAEの標準化策定にかかわったドコモの活動について、ドコモが描く将来のネットワークや、それを満たすための要求条件が3GPPの技術要求仕様にどのように反映されたのか、ドコモがどのような技術提案を3GPPに対して行ってきたのかなど、コアネットワーク技術と無線アクセス技術の各分野における活動経緯と貢献内容を解説する。

  • 注意1 プレナリ会合:3GPPのTSG会合の最上位会合。現在TSG SA、TSG RAN、TSG CT、TSG GERANの4つがプレナリ会合と称されている。
  • 注意2 ラポータ:個々のWIや仕様ごとに、仕様の編集、作業進捗の管理やWG会合への報告を行う役割。

本記事は、テクニカル・ジャーナルVol.17 No.2に、掲載されています。