スーパーフォーミュラ 牧野任祐選手、今シーズン2度目の優勝！最高のチームメイトで最強ライバルとの激闘

#5牧野選手と#6太田選手の戦略とは

前日の予選では、第1予選を牧野選手も太田選手も揃って首位通過、第2予選では、牧野選手は、第2セクターでベストタイムを記録し、第3セクターまで首位タイムを維持したものの、第4セクターでタイムを伸ばせず5位でした。太田選手は、トップに僅か0.08秒届かず2位で予選を終えました。

そして迎えた決勝、フリー走行では、僅かな雨でウェット宣言となりましたが、強い日差しで気温は33℃、ドライコンディションで決勝がスタートしました。

最前列2番グリッドからスタートの太田選手は、危なげないスタートでポジションキープ。牧野選手は抜群の蹴り出しで2番手太田選手に並んで1コーナーへ。太田選手2番手、牧野選手3番手でオープニングラップを周回すると、首位を走る山下選手(KONDO RACING)との差をじりじりと詰めていきました。

太田選手は、前を走る山下選手のペースに付合わされる状態に、しかし追い抜けるまでではないと無線でチームに伝えていました。
タイヤ交換に入るタイミングが勝敗を左右する鍵となってきます。チームの戦略が最大限に発揮されるポイントです。
スーパーフォーミュラ決勝レースでは、1回は必ずピットインしてタイヤ4輪を交換しなくてはいけないというルールがあります。そのタイミングも、先頭車が10周目の第一セーフティカーライン（ピット入口）を通過したところから、先頭車両が最終周回に入るまでに完了していなければいけません。
しかし、雨が降りウェット宣言が出されると、タイヤ交換義務は発生しません。
この日、雨が心配される状況、ミニマムでピットインするべきか、引き延ばすべきか、ギリギリまで悩んでいました。

そして、タイヤ交換ウィンドウがオープンになる10周目、チームは太田選手をピットに呼び、素早く安定のタイヤ交換を終えてコースへ送り出すと、太田選手は毎ラップベストタイムを記録するハイペースでステイアウト組とのタイム差を締めていきました。

一方、太田選手のタイヤ交換のタイミングが決定するのを待っていた牧野選手は、後半の追上を目指し22周目を終えたところでピットイン。3番手でコースに戻った牧野選手は、翌周にピットインした山下選手を1コーナーで鮮やかに抜き去り、その後、25周目、しばらく競いあった末、大湯選手(VERTEX CERUMO･INGING)を見事抜き去り2番手へ。
ここから首位太田選手と2番手牧野選手とのチームメイト対決が始まります。

最高のチームメイトであり最強のライバルとのクリーンファイト

先頭を走る太田選手との差は、フレッシュタイヤを生かし、着実に詰まっていきました。残り2周となった35周目からお互い引かないチームメイト同士のクリーンバトルが随所で展開されました。

このバトルの前に、ピットからは2人へそれぞれ「クリーンファイトでお願いします」と無線が飛んでいました。
その無線からは、チームは2人を信じている、そしてこういう日が来ることがわかっていたのだろう、そんな気がしました。
クリーンバトルとはいっても、接触スレスレの手に汗握る激しいバトルでした。
チームとしては、このままラスト１周を順調に走り、譲り合って1-2フィニッシュを獲得する指示もできたはずです。しかし、そんなことはドライバーも、ファンも望んでいないのでしょう、最高のチームメイトであっても最強のライバルなんだ！と言わんばかりの本気のバトルで、観客を魅了しました。
どちらを応援したらいいのか、どちらにも勝ってほしい、という気持ちで応援しながら、早くも涙が出そうになっていました。

しかし、不運にも、その翌36周目の90度コーナー、トップポジションを守っていた太田選手にマシントラブルが発生しコースアウトしてしまったのです。

ギリギリのところで、衝突回避をした牧野選手は、太田選手に代わってトップへ立ち、トップチェッカーを受けました。
牧野選手は今シーズン2勝目を飾り、ドライバーランキングは首位から5ポイント差の2位に浮上しました。

誰も想像しなかったラスト１周ちょっとというところでの太田選手を襲ったトラブルでした。
本来であれば、同シーズンに2度もの優勝を果たした牧野選手、本当に大喜びする快挙です。
なのに、まだ応援していた私たちも、その残酷な現実を受け入れることができませんでした。
一体、太田選手に何が起こったのか、牧野選手もそれは同じ気持ちだったようです。
チームとの無線には、牧野選手の「どうしたの？俺何もしてないよ？」と太田選手のストップに困惑する言葉が残されていました。

そして、優勝した牧野選手の顔に笑顔はありませんでした。チームメイトの悔しさを自分のことのように悔しがり、「今日は格之進のレースだった」と太田選手を労う言葉がそこにはありました。

いつも笑顔で元気な村岡潔代表も、レース後の会見では、心なしか複雑そうな表情をされていると思いましたが、「チームは次戦の富士へ前進します！！」と力強くおっしゃっていただきました。

昨年、もてぎで開催された「ドコモ未来フィールド」のイベントでは、牧野選手が複数台のクラッシュに巻き込まれ、マシンごと大きく宙を舞うというトラブルがありました。この時、村岡代表から、「これがプロのレースの世界だ」と子どもたちにお話しをしていただいたのを思い出しました。
何が起きるかわからないのがレースの世界、牧野選手 優勝、太田選手 リタイアという結果になりましたが、本当に強くて、興奮する素晴らしいレースでした。
次戦も楽しみです！ドコモ チーム ダンディライアン レーシングに、ますます注目してください！！

牧野任祐選手、太田格之進選手のコメント

5：牧野任祐 選手 優勝 優勝できたのは良かったですが、チームとして1-2 フィニッシュを逃してしまったことはとても残念です。
太田選手とは良いバトルが出来ました。正直今回は負けたと感じています。ただ、チームとしても、二人ともとても強いレースが出来ました。戦略を分け、それぞれがしっかりと機能したことは大きな成果でした。
残るレース、また二人でトップ争いが出来ると確信できるレースだったと思います。

6：太田格之進 選手 リタイア 土曜日のフリー走行から週末を通してよい流れでした。
決勝ではチームとともに選択した戦略で、タイヤ的にレース後半の厳しさは覚悟の上でしたが、牧野選手と熱い戦いが出来て、勝てる可能性は大いにあったと思います。
トラブルは残念でしたがこれもレース。結果に残すことは出来ませんでしたが、最後までチームと共に全力で戦えたことに大きな意味があると思います。

今後とも「DOCOMO TEAM DANDELION RACING」の応援をよろしくお願いします！

(写真提供：DOCOMO TEAM DANDELION RACING)

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