携帯電話の快適な利用を目指した電池パック・充電器の開発〜1.まえがき
移動端末は、ワンセグTV機能の搭載、iモーションやiアプリなどのアプリケーションの利用増とともに、HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)1による通信の高速化・定額データ化などにより使用時間や消費電力が増える傾向にある。さらに、次世代通信方式であるSuper 3G(LTE)
2や4G(IMTAdvanced)
3の開発も進んでおり、移動端末の消費電力の低減も課題である。
移動端末の間欠受信の省電力制御や内蔵回路の低消費電力設計などの取組みを行ってきたが、それでもなお電池パックの容量拡大が必要であり、移動端末の小型・軽量化かつ長時間動作に耐え得る電池が求められてきた。現在、主流として使われているリチウムイオン電池4は、高エネルギー密度電池の特徴により、現在の移動端末の普及に大きく貢献した。
さらに、移動端末を快適に使うためには、ACアダプタの開発も重要である。このACアダプタに求められる機能としては小型化、省電力化および共通化などが挙げられる。
1 HSDPA:3GPPで規格化された、W-CDMA方式に基づく下りリンクの高速パケット伝送方式。移動端末の電波受信状況に応じて、変調方式と符号化率を最適化する。
2 Super 3G:3GPPで検討されている第3世代移動通信方式を拡張した高速な無線アクセス方式。ドコモが2004年に提唱し、実用化に向け開発が進められている。
3 4G:Super 3G以上の高速な無線アクセス方式を実現する第4世代移動通信方式。
4 リチウムイオン電池:充電可能な電池の一種(2次電池)であり、リチウムイオンが電解液を移動することによって充電・放電を行う電池。
本記事は、テクニカル・ジャーナルVol.16 No.2に、掲載されています。