フェムトセル用超小型基地局装置の開発〜4.フェムトBTSの特徴
4.2 ネットワーク構成
フェムトBTSのネットワーク構成例を図3に示す。ピコBTSのネットワーク構成はフラットイーサ1やダークファイバ
2などの専用線構成のみであったが、フェムトBTSはPPPoE(Point-to-Point Protocol over Ethernet)
3およびDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)
4を実装することにより、専用線接続に加え、ブロードバンド回線を利用したネットワーク構成を可能としている。ブロードバンド回線を利用した場合、IPアドレスの取得のため、PPPoE の終端が必要となるが、フェムトBTSで終端することも、ブロードバンドルータで終端し、DHCPで構築された宅内LAN環境によりフェムトBTSを接続することも可能であり、多様なネットワーク構成に対応できる。またセキュリティの面に関しては、専用線以外にブロードバンド回線の利用も想定されることから、盗聴やデータの改ざんを防止するため、フェムトBTSとドコモネットワークの区間にインターネット上の暗号化技術であるIPsec(Security Architecture for the Internet Protocol)
5を適用している。
1 フラットイーサ:NTT東日本(株)、NTT西日本(株)が提供する広域Ethernetサービス。
2 ダークファイバ:NTT東日本(株)、NTT西日本(株)などの通信事業者が、敷設されていながら稼働していない光ファイバをほかの通信事業者に貸し出す光ファイバ設備。
3 PPPoE:Ethernet上にてPPPの機能を利用するためのプロトコル。PPPは、IPアドレスの自動割当てやユーザ認証などの機能をもつ。
4 DHCP:UDP(User Datagram Protocol)上で動作するインターネットアプリケーションプロトコルで、ネットワーククライアントに対し、IPアドレスなどのネットワーク情報を動的に割り当てる機能をもつ。
5 IPsec:IPパケットそのものを暗号化したり、認証することでセキュリティの高い通信を行うプロトコル。
本記事は、テクニカル・ジャーナルVol.16 No.2に、掲載されています。