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付加価値技術

1. デジタルツイン

概要

デジタルツインとは,サイバー空間上に実世界を再現し、実世界から集めたデータを活用してAIなどにより実世界の制約を超えてシミュレーション・エミュレーションすることで新たな知見を得る技術です。
さらに、それらの知見を実世界にフィードバックして活用することで持続可能な社会を実現できると期待されています。6Gはさまざまな分野におけるデジタルツインを高度化する上で必要不可欠な超高性能なネットワークです。また、モバイルネットワーク自体のデジタルツインは「ネットワーク・デジタルツイン」と呼ばれ、これを活用することで、従来と比較して飛躍的に高い性能・品質の通信サービスを提供するとともに、新しいサービスの早期導入や障がいに強いネットワークの提供につなげられると考えられています。
ドコモは、6G時代のデジタルツインの実現に向けての国際標準化や外部連携、デジタルツインの実現方法の検討に貢献していきます。また、すでにデジタルツイン技術を活用してさまざまなシーンに応じた通信性能を可視化する6Gの実証実験にも成功しています。

創出する価値

6Gとデジタルツインを用いることで、実世界では解くことが難しかった社会課題の解決や、従来では発想できなかった新たな価値やソリューションの提供、時間を未来や過去に自由にシフトさせたシミュレーション・エミュレーションが可能になります。これらにより、みなさまが健康な生活が送れる効率的・あんしん安全な情報化社会の実現に貢献できると考えられています。
たとえば、6Gのネットワーク・デジタルツインでは、従来は予測が難しかった電波の挙動をサイバー空間で高精度に再現できるようになります。これにより、電波やリアルネットワークの可視化が可能になり、通信性能や品質が飛躍的に向上することが期待されています。また、新しいサービスを早期に導入したり、障がいに強いネットワークを提供したりすることにもつながります。さらに、6G時代に飛躍的に増加するトラフィックを収容できる、低消費電力でコストパフォーマンスの高いネットワークが実現できると考えられています。

2. センシング

概要

無線センシングとは、従来カメラや赤外線などのセンサーにより行っていた人やものの検知に、無線通信用の電波を利用する手法です。
ITU-RでのIMT-2030フレームワーク勧告では「ISAC(Integrated Sensing and Communication: センシングと通信の融合)」がAIなどと並び、2030年代の6Gの6つの代表的な利用シナリオの一つとして掲げられており、通信用途にのみ用いられていた電波を、センシングに用いる検討が進められています。現在議論中の3GPP Release19の検討ではセンシングターゲットとしてUAV(Unmanned Aerial Vehicle: 無人航空機)・人体・自動車などの乗り物・AGV(Automatic Guided Vehicle: 無人搬送車)・ハザード物体(動物など)の5つが挙げられており、これらの位置情報の把握や侵入検知などのさまざまなユースケースについて議論されています。

創出する価値

ISACを実現することで、センサー数の削減によるコストカットや、プライバシー保護などの観点からカメラが設置できなかった環境でのセンシングが可能となります。
また、カメラでは撮影できない物陰であっても、電波には透過や回折などの特性があるため、侵入検知や建物内の位置情報の把握などのセンシングが可能になります。カメラを用いた第三者によるモニター監視と異なり、電波の解析により侵入検知や位置情報把握を行うため、個人が直接特定されずプライバシー侵害のリスクも低くなります。
そして、電波の用途が広がることで様々な新規サービスの創出や、様々な社会課題の解決に貢献できると考えられます。

3. サブテラヘルツ

概要

社会基盤・産業基盤を支える5G 以降の移動通信システムにおいては、現在の移動通信システムを超える高速・大容量の通信の実現が必要となります。
そこで、新たに屋内外で利用可能な移動通信システムに活用することを前提として、広帯域を確保可能な100GHz 超帯の高周波数帯、サブテラヘルツ帯を用いた高速・大容量通信にて、通信距離の延伸化を実現するための研究開発を行っています。電波伝搬損失や高周波数帯無線回路の性能を勘案した際に最適と考えられる“複数チャネルを周波数軸上に多重する構成(チャネルボンディング構成)”を具現化し、屋内外において伝送実験より見通し内の伝送距離100m 以上において、スループット100Gbps を実現する技術を確立しました。

創出する価値

サブテラヘルツ帯の移動通信システム実現に向け、無線デバイスの構成・要求条件の明確化と広帯域な信号伝送装置の検討を行いました。
サブテラヘルツ帯を利用するためには、広帯域なベースバンド(BB)信号および中間周波数(IF)信号を生成する必要があります。しかし、従来のBB信号、IF信号を取り扱う装置においては、信号帯域幅が数GHz程度の狭帯域信号しか送受信できないという課題がありました。そこで、複数の狭帯域信号を周波数軸上に多重するチャネルボンディング装置を開発し、広帯域な信号を実現しました。開発したチャネルボンディング装置を用いて、屋外環境にて100GHz超帯における伝送距離100m超、伝送速度100Gbps超相当の無線伝送に成功しました。なお、本内容には、総務省から委託を受けて実施した「電波拡大のための研究開発(JPJ000254)」の成果の一部が含まれています。

100GHz屋外伝送実験の図
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