2. 3.5GHz帯周波数の国際標準化

「3.5GHz帯TD-LTE導入に関するドコモの技術開発の取組み」目次

  1. 3.5GHz帯のITUによる特定
    モバイルトラフィックが増大している状況を受け、新たな携帯電話周波数の確保が重要な課題となっている。また携帯電話周波数を世界の多くの国で共通に利用することができれば、機器の調達コスト低減や国際ローミングの実現に有利に働く。そこで、ITUの世界無線通信会議(WRC:World Radiocommunication Conference)※4では、各国が使用する携帯電話周波数をIMT(International Mobile Telecommunication)と呼ばれる名称で、できるだけ共通化する(特定する)取組みが続けられている。
    3.5GHz帯の携帯電話での利用については、国内では2003年10月に総務省が公表した「周波数の再編方針」において、中長期的な移動通信システムの周波数需要を満たすため、再編周波数の候補の1つとして挙げられたことにさかのぼる。その後のITUでの標準化活動を経て、2007年に開催されたWRC(WRC-07)において日本を含めた約90カ国に対して、3.4〜3.6GHzの範囲でIMTとして初めて特定が行われた。そして、2015年に開催されたWRC(WRC-15)では、3.4〜3.6GHzを衛星通信システムで利用中または利用予定の国々からの反対はあったものの、この周波数をIMTに特定する国の数がさらに拡大し、ほぼ世界共通の携帯電話周波数として認められることになった。

  2. ドコモの貢献
    ドコモは,これら3.5GHz帯のIMT特定に関するITUでの標準化活動に対して,総務省と連携し,積極的な貢献を行ってきた[2] [3]。具体的には、WRCの議論に必要な、携帯電話周波数の将来需要導出や衛星通信システムとの周波数共用に関する技術検討を主導し、WRCの審議でも日本代表団の一員として積極的な対応を行ってきた。またWRC-07の結果を受け、2009年にかけて3GPPで行われた、3.4〜3.6GHzのバンドプラン※5の標準化活動においても、ドコモは積極的に議論に参加し、その仕様策定に貢献した[4]。

3.4〜3.6GHzは、ほぼ世界共通の携帯電話周波数として認められることになったことから、今後各国において具体的な利用検討が開始されるものと思われる(表1参照)。

表1 3.5GHz帯の利用に関する国際的な動向

拡大して表を表示 表1 3.5GHz帯の利用に関する国際的な動向 拡大して表を表示
  1. 世界無線通信会議(WRC):各周波数帯の利用方法、衛星軌道の利用方法、無線局の運用に関する各種規定、技術基準などをはじめとする国際的な電波秩序を規律する無線通信規則の改正を行うための会議で、各国主管庁およびITUに登録している事業者などの関係団体が出席し、通常3〜4年ごとに開催される。
  2. バンドプラン:上りリンク、下りリンクの使用周波数や帯域幅などを定めたもの。

3. 3.5GHz帯の利用に関する技術的要件のための技術開発

本記事は、テクニカル・ジャーナルVol.24 No.2(Jul.2016)に掲載されています。

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