4. 高度化C-RANアーキテクチャの特長
「さらなるLTEの進化,スマートライフをサポートするLTE-Advancedの開発」目次へ
LTE-Advancedの主な技術であるCAを用いることで、さらなる高速化が可能となるが、主要駅周辺などの通信量が非常に多い環境では、容量増大のための技術が特に重要である。このような環境では、周波数を追加してトラフィックを吸収するだけでなく、Het Netとして注目されているスモールセルなどを利用した小セル化により、エリア当りの容量増大を同時に図る必要がある。しかしながら、ユーザの移動に伴い、スモールセル間、あるいはマクロセル—スモールセル間のハンドオーバ(HO:Hand Over)※12の増加など、接続品質の劣化を伴う可能性がある。
一方、CAの導入によりさらなる高速化や、周波数間のロードバランシングによりユーザスループットの改善が期待できるが、通信量の多い基地局では、CAを行う周波数が隙間なく利用されているため、大幅な周波数利用効率の向上は期待できない。
そこで、マクロセル内に複数のスモールセルを追加(アドオン、以下アドオンセル)し、複数のアドオンセルとマクロセルがCAで連携する高度化C-RANアーキテクチャ(図2)をドコモは2012年3月に提唱[7]し、2013年より開発着手した。
図2 高度化C-RANアーキテクチャ
高度化C-RANは、CAおよび、HetNetの特長を活かし、以下の特長を有する。
- CAによる高速化
マクロセル間、マクロセルと複数のスモールセル間のCAを実現し、トラフィック環境に応じた柔軟な高速化を実現。 - 従来のマクロセルと同じモビリティ特性
マクロセルとの接続を保ちながらスモールセルを追加削除することで、HOの発生を従来のマクロセルのみと同程度とし、スモールセル環境下でも従来の移動性能を実現。 - アドオンセルによる大容量化
ユーザが多く、トラフィック量の多いエリアに効果的にアドオンセルを配置し、トラフィックのオフロードを実現し、エリア全体の容量を増加することで、マクロセル、スモールセルともにユーザスループットを向上。
- ハンドオーバ(HO):通信中端末が移動に伴い基地局を跨る際、通信を継続させながら基地局を切り替える技術。
本記事は、テクニカル・ジャーナルVol.23 No.2に、掲載されています。