5. 展開シナリオ
「さらなるLTEの進化,スマートライフをサポートするLTE-Advancedの開発」目次へ
ドコモでは、LTE向けに、基地局装置を制御するベースバンド※13処理部を集約し、そこから光ファイバで接続された無線部を制御する構成(C-RAN構成)を2009年より運用[8]している。したがって、既存の無線部に手を入れることなく、ベースバンド処理部を高度化C-RANアーキテクチャに対応した新たな装置に置き換えるだけで、前述した特長を活かしたネットワーク構築が容易に実現できる。
また、アドオンセル向けに、従来よりも大幅に軽量化・小型化を行った無線部装置の開発を行っている[3]。従来装置に比べて1/5の大きさに抑えることができており、無線部の設置条件が緩和され、その適用領域が広がる。
ドコモではすでにLTE向けに4つの周波数を運用しており、これらの周波数を効果的に利用する必要がある。高度化C-RANアーキテクチャでは、周波数ごとに設置される無線部と、それらに共通のベースバンド処理部が独立しているため、どの周波数の組合せでも容易に実現可能である。導入当初は800MHzと1.7GHz、2GHzと1.5GHzの周波数組合せにより30MHz以上の合計帯域を実現し、225Mbps以上の最大スループットを実現した。
今後は3つの周波数の組合せ(3CC)や、新たな割当てが行われた3.5GHzのTDD(Time Division Duplex)※14との組合せ、MIMOの高度化などを追加していくことで、さらなる高速化、容量増大を実現し、ユーザ体感を向上させていく予定である(図3)。
図3 さらなる高度化へ
- ベースバンド:デジタル信号処理を行う回路またはその機能ブロック。
- TDD:双方向の送受信方式の1つ。上りリンクと下りリンクに同一の周波数帯を使用し、異なる時間を割り当てることにより双方向通信が可能。
本記事は、テクニカル・ジャーナルVol.23 No.2に、掲載されています。