1. まえがき

「さらなるLTEの進化,スマートライフをサポートするLTE-Advancedの開発」目次

スマートフォンが普及し、ソーシャルネットワーク、ビデオストリーミングに代表されるモバイルネットワークの新たな利用などにより、モバイルデータトラフィックが急増している。総務省の報告[1]によれば、日本では直近の約1年間において約1.5倍トラフィックが増加しており、その対策は移動通信事業者にとって共通の課題となっている。

ドコモでは、ユーザ体感の向上、サービスの新たな可能性につながる通信速度の高速化や、増加し続けるトラフィックを収容するために、2010年12月に、「高速」「大容量」「低遅延」の特長を有するLTEを導入した。LTEの導入により、従来のHSPA(High Speed Packet Access)※2に比べて、約10倍の高速化、約3倍の大容量化に加え、遅延を約1/4に低減することが可能となり、スマートフォンなどの利便性が大幅に向上した。

LTEは2015年3月現在において、約150カ国、300以上のオペレータによって運用されており、これまでに標準化されたどの携帯電話システムよりも、非常に早い速度で世界的に導入されている。このLTEの発展形がLTE-Advancedであり、今後普及していくであろう重要な技術である。

本稿では、ドコモが2015年3月に「PREMIUM 4G」として商用サービスを開始したLTE-Advancedの技術概要と、複数のセル間でのキャリアアグリゲーション(CA:Carrier Aggregation)を可能とし、モビリティ性能を確保したままスループット向上、容量増加を実現する、新たに開発した高度化C-RAN(Centralized Radio Access Network)の概要について解説する。なお、高度化C-RANの制御、装置、LTE-Advanced対応移動端末技術については、本特集内の各記事で詳細を参照されたい[2] [3] [4]

  1. HSPA:W-CDMAのパケットデータ通信を高速化した規格であり、基地局から移動端末への下り方向を高速化したHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)と移動端末から基地局への上り方向を高速化したHSUPA(High Speed Uplink Packet Access)の総称である。

2. LTE-Advancedの要求条件

本記事は、テクニカル・ジャーナルVol.23 No.2に、掲載されています。

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