2. LTE-Advancedの要求条件

「さらなるLTEの進化,スマートライフをサポートするLTE-Advancedの開発」目次

LTE-AdvancedはLTEの発展形として、2008年6月に仕様検討が開始され、その要求条件は3GPPのテクニカルレポート[5]にまとめられている。LTEとの共存、LTEからのマイグレーションシナリオ、さらなる性能の向上に加えて、電力や運用のコスト低減などが記載されている。以下にその主要なものの詳細を紹介する。

  1. LTEとの共存
    LTEに比較して、さらに高いシステム性能を実現するだけでなく、既存のLTEからのスムーズな移行を可能にすることが求められ、LTEとのバックワードコンパチビリティを保つことが重要な要求条件とされた。ここで、定義されたバックワードコンパチビリティとは、図1に示すようにLTEの端末がLTE-Advancedのネットワークに接続できることは当然のこと、LTE-Advancedの端末がLTEのネットワークにも接続することを可能にしつつ、LTE-Advancedのネットワークに接続した場合には、大きな性能向上が実現されることを意味する。

    図1 LTE-Advancedの互換性

    図1 LTE-Advancedの互換性

  2. 大データ速度、周波数利用効率、セル端ユーザスループットの向上
    LTE-Advancedでは、LTEに対する基本的なシステムの性能向上が要求されている。最大データ速度の要求条件として、下りリンクで1Gbps、上りリンクで500Mbpsと飛躍的な向上が求められた。

    一方、周波数利用効率においても、LTEに比べて、約1.5倍程度の改善が要求されている。当時、LTEが承認されたばかりであることを考慮すると、かなり挑戦的な目標であった。
    また重要な指標としてセル端のユーザスループットが考慮されている。これは、電波が弱くなり、他のセルからの干渉によって受信品質が劣化するセル端のユーザに対して、十分に満足できるサービスを提供できるかを示す重要なファクタである。LTEでも重要な指標とされたが、LTE-Advancedでは、特にこのようなセル端環境でのスループット改善に向けた技術が検討された。

3. LTE-Advancedの主な技術

本記事は、テクニカル・ジャーナルVol.23 No.2に、掲載されています。

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