AI・ロボティクスで実現するスマート農業
概要
ドコモでは、高齢化や人手不足が課題となる農業の省力化に向けて、AIとロボティクスを組み合わせ、スマート農業に資する技術の研究開発を進めています。具体的には、労働負荷が大きい「除草」や「病害対策」を重点領域とし、ドローン空撮画像から雑草や病葉を検知して圃場管理を効率化する技術や、作物列を検知して畝間を自動走行する除草ロボット、および自動でパトロールする獣害対策ロボットを開発しています。
ドローンによるピンポイント圃場管理
牧草地でのピンポイント農薬散布
北海道の1500ha規模の広大な牧草地では、牛が採食しない雑草が牧草の生育を妨げ、放置すると圃場全体へ拡散するため、雑草対策が課題となっていました。広大な牧草地の見回りや手作業除草は現実的ではないため、現状、数年ごとにコストをかけて除草剤の全面散布が行われていました。そこで我々は、ドローンの空撮画像を用いて画像認識AIで雑草を検出し、検出した位置にドローンを自動飛行させ、除草剤をピンポイント散布する技術を開発しました。これにより、従来の全面散布と比較して、作業時間と除草剤の使用量の削減が可能となっています。
ピンポイント農薬散布の仕組み
じゃがいも畑での異常株摘出作業の効率化
じゃがいもの圃場では、ウイルス病に罹患した異常株の早期発見と摘出が蔓延防止に不可欠ですが、現状は生産者が広大な圃場を巡回して目視判断で摘出しており、専門的な判断と労力を要する作業となっています。そこで、ドローンで圃場を撮影して画像認識AIで異常株を検出し、その位置を圃場地図に表示させる技術を開発しました。これにより、生産者は異常株が検出された付近に絞った巡回が可能になるとともに、事前に作業量を見積もることで要員計画も立てられ、省力化と省人化が期待されます。
じゃがいもの異常株認識システム
畝間を自律走行する除草ロボット
小型除草ロボット
無農薬栽培や有機栽培に取り組む圃場では、除草作業が収量や品質を左右する重要な工程でありながら、負担の大きさから十分な除草が行き届かないケースも少なくありません。そこで、「農家に頼れる相棒を!」をコンセプトに除草作業を肩代わりするロボットの開発を進めています。具体的には、ロボットの前方に装着したカメラと画像認識AIで作物列を認識し、踏まないようにリアルタイムで操舵制御を行いながら畝間を進み、後方に装着した除草機で雑草を除去していくロボットです。ホウレンソウや小松菜などの圃場で行った実証実験では、数センチメートルという畝間の自律走行を達成し、除草効果も確認しています。
- 農林水産省事業「国際競争力強化技術開発プロジェクト(AI を活用したスマート除草システムの開発)」の支援を受けて開発。
小型除草ロボ
除草機付トラクタの自動制御
大規模圃場の除草では、除草機を装着した自動運転トラクタ―が用いられますが、防風林など遮蔽物がそばにあって衛星測位が乱れる場合や、傾斜などにより走行路線がずれてしまう場合に、作物を破損させてしまう恐れがあります。そういった懸念から実際の農業現場では、運転者が匠の技で後方を注視しながらトラクターを手動操舵している実態がありました。そこで我々は、トラクターに搭載したカメラと画像認識AIを用いて作物の畝を認識し、作物を傷つけないように走行中のトラクターの操舵と除草機をリアルタイムに制御する技術を開発しています。非熟練作業者でも匠の技が再現できることをめざし、実証実験を進めているところです。
- 生物系特定産業技術研究支援センター「戦略的スマート農業技術の開発・改良」の支援を受けて開発。
画像認識AIを活用した自動運転トラクター
自動パトロールする獣害対策ロボット
農作物被害をはじめ喫緊の課題ともなっている獣害対策に役立てるため、自動走行する獣害対策ロボットの研究開発を進めています。具体的には、多目的電動台車「MITRA*1」にGNSS/RTKに基づく自動走行機能を実装し、その上に獣害対策ロボット「モンスターウルフ*2」を載せる構成でプロトタイプを開発しています。さらに安全・安定した動作・運用を実現するため、超音波センサに基づく緊急停止や、「docomo MEC」を用いた遠隔監視および遠隔操作といった機能も加え、実証実験を実施しています。当該実験では夜間の自動巡回を数週間行い、カメラに写るシカの個体数を集計し、野生動物の忌避効果を確認しています。
- 株式会社スズキが研究開発中の多目的電動台車
- 株式会社ウルフ・カムイが販売中の獣害対策ロボット
獣害対策ロボットの実証動画
まとめ
ドコモは、農業現場に足を運んで実証・改善を繰り返し、実用的なソリューションとして社会実装を進めることで、持続可能な農業を実現していきます。またほかの産業でもAI・ロボティクスを活用し、熟練者のノウハウ化した判断や精密な作業を代替することで、維持管理業務の省力化および労働者のWell-beingを実現していきます。
主な対外活動
<リリース>
<メディア>
<展示>
- NTT R&D FORUM 2025 NTT武蔵野研究開発センタ(2025/11/19-26)
- スマート農業EXPO 2025 幕張メッセ(2025/10/1-3)
- スマート農業ほ場実演会2025in関東(2025/12/2)