「第102回東京箱根間往復大学駅伝競走」を支えたドコモの通信対策
お正月の風物詩として、日本中に感動を届ける「東京箱根間往復大学駅伝競走」。ドコモは、多くの人々が注目するこの国民的イベントにおいて、第102回大会の成功を通信の力で支えました。選手の激走、沿道の声援、そして大会運営の安全。そのすべての想いを途切れることなくつなぐために奮闘した、ドコモの通信対策の挑戦とその裏側にあるストーリーをご紹介します。
箱根駅伝の熱狂と、変わりゆく観戦スタイル
通称「箱根駅伝」の名で親しまれる「東京箱根間往復大学駅伝競走」は、100年以上の歴史を誇る学生長距離駅伝競走です。東京・大手町と箱根・芦ノ湖の間、総距離217.1kmを学生ランナーたちが一本のたすきでつなぎます。 2026年の第102回大会では約105万人もの人々が沿道で観戦し、大きな声援を送っていました。そんな日本が注目する大会を、ドコモは協賛企業としてさまざまな面からサポートしています。
近年、この伝統ある大会において、観戦スタイルが大きく変化しています。スマートフォンの普及により、目の前の感動を撮影し、SNSでリアルタイムに共有することがあたりまえとなりました。その結果、多くの人が集まるスタート地点やフィニッシュ地点、各中継所では、一時的にスマートフォンを使う人が急増し、通信ひっ迫が起こるようになっていました。
ドコモはこの課題を解決するために、まず2025年10月に行われた箱根駅伝の「予選会」において、怪我などの緊急時に即応し選手の安全を確保することや大会の円滑運営を目的として、連絡用通信を万全にする対策を実施。運営本部との綿密な連携により、トラブルに対応できる快適な通信環境を実現しました。この予選会での成功と、そこで築かれた大会運営との信頼関係を大きな土台に、ドコモは2026年1月の「本選」に向けた大規模な対策へと乗り出しました。
本番へ向けた「3つの難所」での挑戦
ドコモは箱根駅伝において、コース全体にわたりさまざまな通信対策を行っています。なかでも、人が多く集まり通信ひっ迫が起こりやすい「3つの難所」に対して、重点的な対策を行いました。
1つ目の難所は、高層ビル群に囲まれた「大手町」。スタートやフィニッシュの瞬間をおさえるために、多くの観客が一斉にスマートフォンを利用することで通信が混雑しやすいエリアです。ドコモは、このエリアでより多くの通信を処理するための新しい基地局の建設を進めていました。しかし、高層ビルが密集するオフィス街における設置場所確保の難しさなどにより、大会本番までに建設が間に合わない可能性が浮上。そこで、本番までの限られた期間で十分な通信容量を確保するために2つの対策を実施しました。まず、フィニッシュ地点にピンポイントで可搬型の仮設基地局「キャリー5G」を設置。本来、ビルが立ち並ぶ大手町での設置場所確保は困難を極めますが、予選会を通じて大会運営側と築き上げた強固な信頼関係があったからこそ、スムーズな連携と場所の確保を実現することができました。さらに、周辺にある既存の基地局や仮設基地局「キャリー5G」には、混雑時でも多くの人が同時に接続できる「マルチユーザMassive MIMO」という最新のアンテナ技術を導入。基地局の頭脳にあたる装置により処理能力の高いものを搭載するなど、徹底的な機能強化を行いました。時間がないなかでも、"考えられる最善の手をすべて打つ"という強い想いにより、必要としていた通信容量を上回る環境の構築につながりました。
2つ目の難所は、山間部に位置する往路フィニッシュ・復路スタート地点「芦ノ湖」。ここは山間部特有の電波の届きにくさに加え、当日は多くの観戦客や関係車両で埋め尽くされるため、基地局車を設置できるスペースが極端に少ないという課題がありました。まず、設置場所を確保するために、現地に何度も足を運び、関係各所とのていねいな話し合いを重ね、ようやく場所を確保しました。その限られた場所から、より多くの人に電波を届けるために立てられた対策方針は"2倍の力で山を制す"こと。配置したのは、第101回大会と比較して設備容量が約2倍の能力を持つ特別車両です。これにより、関係者が集まる駐車場だけでなく、沿道で応援する観戦エリアまで広くカバーすることに成功。多くの人が集まる山間部においても、ストレスなく感動を共有し合える快適な通信環境を提供することができました。
3つ目の難所は、広範囲に点在し局所的な混雑が発生する、「各中継所」。ここでは選手が通過する一瞬に通信が集中します。これらの中継所に基地局車を配備するには、物理的にスペースの確保が難しいため、既存の設備で対応する必要がありました。そこで実施したのが、地道で繊細な「アンテナの角度調整」です。これは、周辺にある基地局のアンテナの角度を数度単位で細かく調整する、まるでカメラのピントを合わせるような作業です。角度が少しでもずれると、肝心な場所に電波が届かなかったり、逆に余計な場所へ電波が飛びすぎれば通信品質を落とす原因にもなります。最適な角度を導き出すためには、机上の計算だけでは不十分でした。過去の膨大な通信データを分析した上で、それでも足りない部分は実際に何度も現場へ足を運び、電波調査を繰り返しました。データと現場感覚の両輪で導き出したチューニングによって、観客が局地的に集まる中継所においても、電波をピンポイントで届けることができました。
すべての想いをつなぎ、未来のコースへ
万全の体制で迎えた第102回大会の本番当日、大手町、芦ノ湖、各中継所といった対策の主要エリアでは、2日間にわたり快適な通信環境を維持することができました。なかでも大手町では前回大会以上に安定した通信を実現、芦ノ湖においても増強策が功を奏して良好な通信環境を提供することができました。沿道には、寒空の下でライブ配信を見守る方や、混雑のなかで連絡を取り合う多くの観客の姿が見られ、結果として大会運営のスムーズな進行と、多くの観客の方の感動体験を通信の力で支えることができたのです。
予選会では「運営の安全」を、そして本番では「ファンの感動体験」を。ドコモが追求したのは、通信ストレスのない快適な環境を提供することでした。選手の激走、沿道で旗を振る家族や仲間、その感動をリアルタイムで共有したいという想い。そのすべてを通信でつなぎ、支えることができたのは、この国民的イベントに携わったドコモにとって何よりの喜びです。
今回の対策はゴールではなく、来年、再来年に向けた新たなスタートラインです。ドコモがめざすのは、イベント時においても既存のネットワークだけで誰もが快適に使える通信環境です。"臨時対策を行わなくても、快適な通信環境が構築されている"それこそが究極の理想であり、その実現に向けた恒久的なエリア構築への挑戦はすでにはじまっています。ドコモは、これからもその地域の環境やイベントの特性に合わせた対策を追求し、お客さまのかけがえのない驚きや感動をつなげることができる通信対策に取組んでいきます。
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株式会社NTTドコモ ネットワーク本部
エリアマネジメント部 エリア品質推進担当 主査髙橋 翔
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株式会社NTTドコモ ネットワーク本部
エリアマネジメント部 エリア品質推進担当森 崇
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株式会社ドコモCS 首都圏本部
エリア品質部 首都圏エリア担当太田 直崇
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株式会社ドコモCS 首都圏本部
エリア品質部 首都圏エリア担当武田 雄一郎
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株式会社ドコモCS 首都圏本部
エリア品質部 首都圏エリア担当原田 大輔