人と感動をつなぐ夏。「東北三大祭り」を支えたドコモの通信対策

「仙台七夕まつり」「青森ねぶた祭」「秋田竿燈まつり」は、「東北三大祭り」として全国的に知られる東北の夏の風物詩。お祭りの熱気と感動を求めて、毎年数百万もの人々が国内外から訪れて、地域に大きな賑わいをもたらしてくれます。その一方で、多くの人が集結するからこそ生まれる通信ひっ迫の課題が年々大きくなっていました。ドコモでは、お祭りに参加した人々の最高の瞬間を支えるために、東北三大祭りにおける快適な通信環境を実現するための対策に取組みました。
お祭りでもつながる。めざしたのは「通信容量1.5倍」
「仙台七夕まつり」「青森ねぶた祭」「秋田竿燈まつり」は、いずれも日本を代表する大規模なお祭りであり、通常時をはるかに超える通信混雑が発生します。加えて、近年お祭りの楽しみ方は大きく変化。スマートフォンでの写真や動画の撮影、SNSへのリアルタイム投稿は今やあたりまえとなりました。さらに、会場内の屋台や物販ではキャッシュレス決済の利用も増え、通信ネットワークへの負荷は来場者の増加とともに年々高まる一方でした。ドコモでは通信の混雑を緩和する対策を毎年実施してきましたが、2024年はそれぞれのお祭り会場の来場者が集中するエリアで通信がひっ迫し「つながりにくい」という状況が発生していました。

ドコモでは、この課題を解決するために「2025年8月に開催される東北三大祭り対策の設備容量を1.5倍に増強し、混雑時でも快適な通信を提供する※」という目標を掲げ、達成に向けた対策に取組みました。一口に「東北三大祭り」と言っても、会場の地理的条件やイベントの特性はそれぞれ異なるものです。そこで、それぞれのお祭りの実情に合わせて対策を一つひとつ最適化することで、この目標に挑みました。
仙台七夕花火祭:花火を楽しむ観客のための通信対策
豪華絢爛な七夕飾りがアーケード街を彩る「仙台七夕まつり」。多くの人々が訪れるこのお祭りのなかでも、通信が特に集中するのが、約45万人が集う前夜祭の「仙台七夕花火祭」です。2024年の花火祭では、新たに観覧席となったエリアも含めてLTEに対応した移動基地局車を2台配置して対策を行いました。しかし、想定以上のお客さまが入場され一部のエリアでは、来場者のスマートフォンがつながりにくくなる状況が発生しました。


〔右〕花火祭の会場に多くの観覧者が詰めかけた様子
この課題を解消するため、2025年は移動基地局車の機能を強化し、より高速で大容量の通信を実現させる5G通信機能を追加しました。さらに、こうした臨時的な対策と並行して、常設された基地局の整備にも注力。臨時と常設、両面からのアプローチによって、花火の観覧を楽しむ人が広範囲で快適な通信を利用できる環境をめざしました。

一方、お祭りのメイン会場である市街地の商店街には、異なる対策でアプローチ。市街地には、もとより多数の基地局が設置されており、通信を分散できる体制が整っています。そのため、既存の基地局がイベント時の大量の通信を効率的に処理できるように設定を最適化する、イベント用チューニングを実施しました。これにより、多くの人々がそぞろ歩きを楽しむ中心市街地での快適な通信を実現しました。
青森ねぶた祭:通信需要が高まる「ねぶた運行コース」での挑戦
「ラッセーラー」の掛け声とともに巨大な武者灯篭(ねぶた)が街を練り歩く躍動感あふれる「ねぶた祭」。最終日には盛大な花火大会が行われ、お祭りのフィナーレを飾ります。花火大会は、お祭り期間のなかでも特に多くの観客が一つの場所に集中するイベントです。そのため、2024年までは花火大会の会場を最優先にした通信対策を実施してきました。しかし近年、SNSへのリアルタイムの投稿、写真や動画撮影などお客さまのスマートフォンの使い方が変化したことから、お祭りのメインである市街地の「ねぶた運行コース」でもデータ量が急増。今まで特別な対策が必要のなかった運行コースでも通信がひっ迫し、お客さまがお祭りの感動をリアルタイムで共有しにくいという状況が起こっていました。

これを解決するために、2025年はねぶた運行コースへの本格的な対策に乗り出しました。当初、移動基地局車での対策が計画されましたが、街の中心部での場所の確保が非常に困難でした。そこで、周辺ビルの屋上や写真のようなわずかな空きスペースに臨時アンテナの設置交渉をするという新しいアプローチで通信対策を実行しました。もちろん、これまで接点のなかったビルのオーナーさまとの交渉は簡単ではありません。ゼロから関係を築き、地域のための取組みであることを真摯に説明し、理解を得る。地道な努力によって、この難題を解決に導くことができました。
秋田竿燈まつり:景観を守りながら、先を見据えた対策を
光の稲穂が夜空に揺れる幻想的な「竿燈まつり」。秋田市のメインストリート「竿燈通り」を舞台に、熟練の差し手たちが巨大な竿燈を自在に操る妙技で観客を魅了します。2024年は移動基地局車による臨時局の設置を行いました。会場となる竿燈通り周辺は、景観上の理由から電柱が地中に埋設されているエリアです。電源の確保や通信回線を電柱から引くことが難しく、臨時局を開設できたのは条件が整った1か所のみでした。そこでドコモは、2024年のお祭り直後から2025年にかけて、抜本的な対策に乗り出しました。

それはイベント専用基地局を会場近くに新設することです。新しい基地局を建設するには場所の選定・交渉、設計、建設と多くの工程を要するため、計画は2024年のお祭り直後からスタート。1年がかりで開設を進め、無事に2025年のお祭り開催前にサービスをスタートさせることができました。2025年は臨時基地局に頼ることなく、新設局と周辺の既設局によって、盤石の体制で来場者を迎えることができました。
最高の瞬間も、思い出も、つないでいくために
これらの対策によって「東北三大祭りにおける設備容量1.5倍※」の目標を達成、各会場において観覧者同士がスムーズに連絡を取り合えるほど快適な通信環境を実現しました。5Gを増強した「仙台七夕花火祭」では花火打ち上げのタイミングでも快適な通信が可能に。
また「青森ねぶた祭」では、ねぶたが通過する時間帯でも5Gを利用することで安定した通信が保たれました。
「秋田竿燈まつり」においても、竿燈が立ち並ぶメインストリート周辺で目立った通信ひっ迫は見られませんでした。

〔中〕青森ねぶた祭の臨時局前にて、DL580Mbps UL9Mbpsを計測
〔右〕秋田竿燈まつりの新設局のエリア内において、DL430Mbps UL15Mbpsを計測
ドコモがめざしているのは、単に通信品質の向上だけではありません。目の前で繰り広げられる熱気や感動を、その場にいない大切な人とリアルタイムでわかち合える。写真や動画をすぐに共有して、驚きや楽しさを伝えることができる。ドコモが支えたいのは人と人、そして人と感動をつなぐ、そうしたかけがえのない体験を“つなげる”ことです。通信の力で人々の驚きや幸せな瞬間をつなぎ、地域社会を豊かにしていきたい。ドコモはこれからも、お祭りやイベントなど、多くの人々が集まる場所の通信課題に正面から向き合い、快適な環境づくりを進めていきます。
- 「2025年度 ドコモの通信改善 取組み宣言」についてはこちらをご確認ください。

株式会社ドコモCS東北
ネットワーク運営部 宮城ネットワーク 一同

株式会社ドコモCS東北
青森支店 ネットワーク 一同

株式会社ドコモCS東北
秋田支店 ネットワーク 一同
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株式会社ドコモCS東北 福島支店ネットワーク
(竿燈祭の対策局を担当時:ネットワーク建設事業部
ネットワーク建設推進部 置局 東北置局設計)住谷 治樹
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株式会社ドコモCS東北
エリア品質部 エリア品質 エリア品質技術向口 瑠袈
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株式会社NTTドコモ 東北支社
ネットワーク部 ネットワーク計画 移動無線計画阿久津 裕大