変化の先を読む、広島駅の通信対策。ドコモが挑戦する新時代の最適化

広島駅は、世界に誇れる広島・瀬戸内の新しい玄関口をめざして、長年再開発が行われてきました。2025年3月、その核となる施設「minamoa(ミナモア)」が開業したことにより、旅行客やビジネスマンが訪れる駅ビル、ホテルや映画館を備えた大型商業施設、より快適に整備された駅周辺通路など、遠方から訪れる方はもちろん地元の方にとっても魅力あふれる駅エリアに生まれ変わりました。この新たな駅エリアでの通信体験をより快適なものにするために、ドコモはネットワーク環境の改善・最適化に継続して取組んできました。
新しい広島駅と、新しい通信課題
広島市はここ20年ほど、公共交通の利便性向上や広島駅周辺の都市化を促進する「駅からはじまるまちづくり」を進めてきました。その中心となるのが、広島駅南口に誕生した新駅ビル「minamoa(ミナモア)」。約50年の歴史を持つ旧駅ビルから生まれ変わったミナモアは、シネマコンプレックスやホテルを併設した、これまでの広島駅にはない大型複合施設です。


〔右〕2025年夏頃には、路面電車の乗り入れの計画も
最大の特徴は、2025年夏頃に開通予定の「路面電車の駅ビル2階への直接乗り入れ」。これにより、JR在来線や新幹線からの乗り換えがスムーズになり、利便性の大幅な向上が期待されています。しかしその一方で、人の流れが大きく変化することから、特定の時間帯やフロアに利用客が集中し、通信容量のひっ迫が生じることも予想されていました。ミナモアは、ショッピングや通勤・通学といった日常利用や、観光やビジネスでの宿泊利用など多様な人々が訪れる場所。だからこそ、単なる基地局の容量対策だけでは十分といえません。今回の対策においてドコモが定めた方針は「あらゆる利用シーンを想定し、それぞれのフロアごとに最適な対策を事前に行うこと」。ミナモアの開業に合わせて、先を見据えたさまざまな角度からの通信環境整備に乗り出しました。
インフラシェアリングでたどり着いた、きめ細かな最適化
今回の取組みで、ミナモアの管理運営を行う企業が求めているのは「ドコモに限らず、すべてのお客さまの通信環境がよくなる対策を行いたい」ということでした。この思いに応えられる対応策を検討し導入したのが「インフラシェアリング」の活用です。インフラシェアリングとは、複数の通信事業者が基地局などの通信インフラ設備を共同で利用する仕組みのこと。これを活用することにより通信事業者の垣根を越えて、すべてのお客さまに快適な通信を提供することができます。それに加えて、ただインフラを共有するだけでなく最大限に活かすためには、ビル全体の構造や利用者の動線を詳しく把握する必要があります。そこでドコモは、時間帯や場所ごとで異なる人の流れや利用傾向を細かく分析。そのデータをもとに、各フロア・エリアの状況に応じて、必要な通信容量を算出しました。その上で、最適な通信環境をつくるために必要なアンテナの台数や種類をエリアごとに検証を重ねました。

たとえば、多くの人が行き交う2階の路面電車乗り入れエリアには、より高速・大容量な通信ができるSub6周波数対応のアンテナを複数台設置することで、エリア全体を5G化。他のフロアでも、人の流入調査の結果を踏まえて、飲食店エリアには約15個、ホテルエリアには約4~6個など、利用者数に応じた最適な台数のアンテナを設置し、ストレスのない快適な通信環境をフロアごとに整えました。
こうした、多角的な視点からの一歩先を見据えた対策により、ミナモアでは利用客の多様なニーズに対応できる通信環境の最適化を実現しています。

事前に入念なエリア調整を行い、2025年3月に開業を迎えましたが、トラフィックが分散され受信環境も強いことが確認されました。路面電車乗り入れエリアでの実測調査ではダウンロード840Mbps、アップロード78Mbpsと、高品質な通信環境を実現しています。これは、周辺の5Gの平均値と比較してアップロード・ダウンロード速度は約4倍高速になっています。※
- ドコモスピードテストアプリを利用して、ラージモードにて、通信速度計測を実施した計測結果として表示しています。(計測日:2025年5月22日・計測機器:ドコモ5G対応機器)
- ベストエフォート方式による提供となり、実際の通信速度は、通信環境やネットワークの混雑状況やご利用になる機種に応じて変化します。
先を見据えた、きめ細かな対策を、これからも
広島駅エリアにおける最適化への取組みは、ミナモアに留まりません。ミナモアに並び広島駅で注目を集める北口駅ビル「ekie(エキエ)広島」では、特に通信品質が低下する「廣島ぶちうま通り」にインフラシェアリングによる迅速な改善を実施しました。さらに各施設へつながるように、人の流れを意識して整備された南口通路に対しても、通信環境調査を行い需要に合わせた対策を行っています。


中国地方の玄関口として、これからも進化していく広島駅エリア。ドコモでは将来的な人の流れの変化や通信需要の増大を見据えた先見的なアプローチで対応を続けていきます。広島駅の通信環境が快適であることは、広島に訪れる人の満足度を高めること。これからも地域社会やさまざまなパートナー事業者と連携を取り、通信環境の改善と進化に取組んでいきます。
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株式会社NTTドコモ中国支社
ネットワーク部
エリア推進 主査木村 利通
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株式会社ドコモCS中国
エリア品質部
エリア品質技術 主査竹内 悠
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株式会社NTTドコモ九州支社
ネットワーク部
ネットワーク計画移動無線計画 主査牛尾 嘉伸
