日々の取組み

「あたりまえにつながる環境」を全力でつくる。「りんくうプレミアム・アウトレット」での挑戦

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日々の暮らしのなかで「あたりまえにつながる通信環境」を提供することがドコモの使命です。この「あたりまえ」を守り、さらに進化させるために、ドコモでは日々ネットワーク品質の向上に取組んでいます。その具体的な取組みの一つとして、今回は大阪府泉佐野市にある「りんくうプレミアム・アウトレット」での通信容量対策をご紹介します。

「SNSにつながりにくい」賑わうモールが抱えていた課題

「りんくうプレミアム・アウトレット」は、大阪府泉佐野市にある西日本最大級のアウトレットモールです。JR関西空港線や南海空港線の「りんくうタウン駅」からわずか徒歩約6分、関西空港からも車やバスの利用で20分程度とアクセスにも恵まれ、年間約660万人が利用します。このりんくうプレミアム・アウトレットでは、特に大型連休や年末年始に、通信がつながりにくくなるという課題を抱えていました。

  • 2024年度延べ年間利用者数
年始にお買物するお客さまで混雑する様子

通信品質調査でわかったのは、つながりにくさの原因が施設のなかや周辺にある通信設備の「容量不足」にあるということ。近年、SNSや動画配信などのデジタルサービスの普及・多様化により一人あたりのデータ通信量は飛躍的に増加しました。そのため、りんくうプレミアム・アウトレットでも既存の基地局だけでは快適な通信を提供できず、SNSなどがつながりにくい状況に陥っていたのです。さらに、2025年は関西・大阪万博が開催されることから、今後関西地域を訪れる人の数が増えていくことも予想されました。そこでドコモは、2025年の初売りまでに対策を完了させることを目標に、この取組みをスタートさせました。

通信容量不足を解決するための「4つの対策」

今回、りんくうプレミアム・アウトレットが抱える通信容量不足の課題を解決するためには、4つの対策を連携して行う必要がありました。まず「新しい基地局の設置」です。モール敷地内に4Gと5Gの両方に対応する基地局を新たに設けることで、一度に通信できるキャパシティそのものを大幅に増強できます。続いて「周辺基地局への5G設備の追加」。これにより、より高速で高品質な5G通信の利用ができるエリアを拡大させることができます。

今回の対策で実施した「基地局設備の増設」と「アンテナ角度調整」

さらに「アンテナ角度の調整」。新たに基地局を設置した場合、そこから発する電波と既存の基地局の電波が互いに干渉し、通信速度の低下を招くことがあります。それを防ぐために電波シミュレーションを繰り返し、最適な角度を導き出す必要がありました。そして最後に「ソフトウェアチューニング」。特定の周波数帯や基地局へ通信が偏り全体の通信効率を低下させないため、最適な周波数帯を携帯電話に割り当てるようにソフトウェア上でチューニングを行います。これらの対策を組み合わせることで、基地局の能力を最大限に引き出せる環境を整えることができます。しかし、この対策を進める上で大きな壁となったのが、時間的な制約でした。

「工期短縮」という、大きな壁を乗り越えるために

通常、新しい基地局を建設するだけでも必要な工期は約18か月です。しかし今回のプロジェクトの期間はわずか12か月程度。大幅な工期短縮を実現させることは、ドコモにとっても大きな挑戦となりました。この挑戦を成功させる切り札となったのが、三菱地所が展開する「インフラシェアリング事業」の活用です。これは、ひとつのネットワーク設備を複数の通信業者で共同利用する形態のこと。複数の携帯キャリアが、基地局のインフラ設備を共用することで、それぞれが個別に設備を設置するよりも、より迅速なエリア展開を可能にします。

今回これを活用し、通常ドコモが一貫して行う工程を三菱地所と分担。並行して作業を進めることで劇的な工期短縮をめざしました。しかし当時このインフラシェアリングは、ドコモ社内にも確立されたスキームのない手探りの取組み。そのため、作業の分担やコスト、関係各所との連携などあらゆる面で課題に直面しましたが、その度に関係者を集めたミーティングを何度も実施。地道な解決策の模索と粘り強い努力、そして密な連携によって困難な工期短縮を達成、2024年12月までに対策を完了することができました。

「あたりまえ」につながる未来を、これからも

満を持して迎えた2025年初売り。りんくうプレミアム・アウトレットの通信環境は、最も混雑する日でも4K動画がスムーズに視聴できるまでに改善。具体的には、周辺平均値と比較してアップロード速度は約4.2倍、ダウンロード速度は約1.4倍向上しました。インバウンドの影響で来場者が増加するなかでも、快適な通信を維持できたことは大きな成果です。海外との玄関口にほど近いこの場所でドコモの快適な通信を体験してもらうことは、日本のネットワーク技術のポテンシャルの高さを世界に発信できる機会にもつながりました。

今や通信は、電気・ガス・水道に次ぐ「第4のインフラ」といわれるほど、日常生活に欠かせない存在になりました。だからこそ「あたりまえ」につながる環境を提供し続けることが私たちの役割です。社会やニーズの変化を見逃さず検証と改善を繰り返して、お客さまの驚きや喜び、幸せにつながる一瞬をより豊かなものにしたい。私たちの挑戦は、これからも続きます。

  • 株式会社NTTドコモ 関西支社
    ネットワーク部 ネットワーク計画移動無線計画

    山田 洋平

  • 株式会社ドコモCS関西
    ネットワーク建設推進部 置局設計

    小松 美早紀

  • 株式会社ドコモCS関西
    ネットワーク運営事業部
    エリア品質部 大阪エリア品質

    吉田 有花

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