日々の取組み

東北の春に、つながる実感を!「しばた桜まつり」と「弘前さくらまつり」で取組んだ通信品質改善

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宮城県の「しばた桜まつり」と青森県の「弘前さくらまつり」は、東北を代表する桜の祭典。ここ数年、国内外からの来場者で大きな賑わいを見せる一方で、会場内での通信のひっ迫という課題を抱えていました。一年に一度しかない桜の季節に、快適につながる環境を生み出すために始まった、ネットワーク改善の取組みをご紹介します。

賑わいを見せる桜の名所の「つながりづらい」を解消へ

コロナ禍が収束を迎え、インバウンド旅行者の数が増加の一途をたどる今、日本全国の行楽地は多くの人で賑わいを見せています。4月中旬から5月にかけて見ごろを迎える東北の桜の名所でも、ここ数年で人出が増加傾向に。そこで生まれた課題が、お花見スポットにおける通信のひっ迫です。なかでも、東北を代表する桜の祭典である「しばた桜まつり」と「弘前さくらまつり」では、2024年に会場内で多くの来場者のスマートフォンがつながりにくくなる状況が発生。そこで、ドコモは2025年の開花前までに「しばた桜まつり」における通信設備の容量を最大2.8倍に、「弘前さくらまつり」では最大3.5倍に増強することを目標に掲げ、対策に乗り出しました。

  • 最大2.8倍、最大3.5倍は、対策設備が複数ある場合の最も高い増強率を採用しています。
多くの人で賑わう「弘前さくらまつり」の様子

人が集中するイベント会場でネットワークの混雑に対処する際は、移動基地局車などを配置して通信容量を一時的に増やすのが一般的です。しかし、お花見スポットに大きな車両を配置すると会場の景観を損なう恐れがあることなどから、この手段を用いることはできませんでした。そこで、ドコモは景観に配慮した「専用の常設基地局」をそれぞれに設置することを決めました。

「しばたの桜」の景観を守りながら、通信を快適に

宮城県柴田町で開催される「しばた桜まつり」のメイン会場は、日本の桜の名所100選に選ばれた船岡城址公園。ここは山の地形を活かしてつくられた公園で、春には約1,300本ものソメイヨシノが山全体を桜色に染め上げます。この特色ある地形が美しい景観をもたらす一方で、平地に立つ周辺の基地局から電波を届きにくくする要因にもなっていました。そんな課題を根本から解決すべく着手したのが、園内への新たな基地局の設置です。

景観に配慮したコンクリートポール(上記画像①)と
省スペースでの設置を実現するパートナーポール
(上記画像②)

公園のなかに設備を配置するにあたっては、美しい景観を守りながら、限られたスペースのなかでいかに多くの基地局を立てられるかが最大のポイントでした。そこで、基地局の支柱には景観になじむ色に着色されたコンクリートポールを採用。さらに、基地局を省スペースで設置するためのパートナーポールも活用して設備拡充に取組みました。他にも、資材の手配や開局に必要な手続きなどを迅速に済ませることでスケジュールを大幅に短縮。開花前までにすべての整備を完了させることができました。

重要文化財が残る「弘前公園」でのネットワーク改善

「弘前さくらまつり」が開催される弘前公園は、青森県弘前市の中央部に位置する広さ約49.2ヘクタール・東京ドーム10個分以上の広大な公園です。園内には国の重要文化財に指定される弘前城の天守がそびえ、城を背景に咲き誇る約2,600本の桜が訪れる人を魅了します。そんな日本が世界に誇る桜の名所でも、通信のひっ迫が大きな課題となっていました。

公園内に現存する弘前城天守

国の史跡である弘前公園は様々な条例で保護されており、営利目的の設備や景観を損なう機材の設置が極めて難しい場所です。そこで、ドコモは「インフラシェアリング」の事業者である三菱地所をパートナーに、公園付近に新たな基地局を設置する取組みをスタートさせました。

公園付近の建物に新設した基地局

「インフラシェアリング」とは、ひとつのネットワーク設備を複数の通信事業者で共同利用する形態のこと。こうした設備の建設・提供を手がける三菱地所と連携し、各社でシェアできる公共性の高い基地局の設置を行いました。また、今回新設した基地局には、多数のユーザーが同時に接続しても安定した高速通信を提供できる「マルチユーザMassive MIMO」を導入。限られた条件のなかで最大限の効果を生み出す努力を重ねました。

5Gインフラシェアリングのイメージ

基地局の設置は寒さの厳しい時期に行われ、豪雪に見舞われた際は除雪をしながらの作業となり工事の遅延が発生しました。それでも、電力供給や通信工事などを担うパートナー企業や行政の協力を得て、お花見シーズンを迎える前に設置を完了させることができました。

大幅な通信改善で、一つひとつの感動をつなぐ

今回の取組みを通じて、「しばた桜まつり」では設備容量を最大2.8倍にするという当初の目標を達成し、公園内では5G通信で1Gbpsを超える高速通信も可能となりました。「弘前さくらまつり」でも設備容量を最大3.5倍に増強し、イベント当日に1.71Gbpsという数値を計測。どちらの会場でも、2024年に比べて通信環境を大幅に改善することができました。

  • 最大2.8倍、最大3.5倍は、対策設備が複数ある場合の最も高い増強率を採用しています。

今年も、たくさんの人が各地のお花見スポットを訪れ、この時期だけの特別な景色を写真や映像で誰かとリアルタイムで共有し、感動をわかち合っています。そんな一つひとつのつながりを支えるのが、私たちの使命。たくさんの笑顔と幸せが生まれる桜の祭典で、よりよい通信環境を提供するために、ドコモはさらなる取組みを続けていきます。

  • 株式会社NTTドコモ 東北支社
    ネットワーク部ネットワーク計画
    移動無線計画

    伊藤 文雄

  • 株式会社ドコモCS東北
    ネットワーク建設事業部 アクセスリンク建設部
    建設推進 主査

    永岡 豊

  • 株式会社ドコモCS東北
    ネットワーク建設事業部 ネットワーク建設推進部
    東北置局設計

    沼田 竜成

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