2025年シーズンの最終戦は、三重県・鈴鹿サーキットで開催されました。今大会は、例年とは異なり、二日間で決勝3レースを実施する特別なフォーマットで行われました。シーズン途中、悪天候により中止となった富士大会の代替レースが組み込まれたことで、タイトルの行方はすべて、この鈴鹿に委ねられる形となりました。
短期間で三度の決勝を戦うという過酷な条件は、ドライバーだけでなく、エンジニアやピットクルーを含むチーム全体に、高い集中力を求めます。マシンへの負担、戦略の組み立て、そしてわずかな判断の遅れが結果を左右する緊張感の中、シーズンの集大成にふさわしい舞台が整いました。
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鈴鹿 最終決戦 異例の3レースが生んだ、極限の舞台
最終戦の舞台となった鈴鹿サーキットには、週末を通して延べ約69,000人が来場しました。決勝3レースという異例の最終戦フォーマットに加え、タイトル争いが最終局面までもつれ込んだシーズン背景も相まって、この来場者数は、スーパーフォーミュラの歴史の中でも記憶に残る規模となりました。スタンドを埋め尽くしたファンは、最後の一周まで勝負の行方を見守り続け、その声援と熱量がサーキット全体を包み込む週末となりました。
ドコモ チーム ダンディライアン レーシングは、チームランキング首位で鈴鹿大会を迎えました。一戦一戦を全力で戦い抜く覚悟を胸に、チームは鈴鹿の3レースに挑みました。
決勝3レースの攻防 流れが交錯し、運命が揺れ動いた瞬間
今大会は、富士大会の振替開催となる第10戦を含め、二日間で3つの決勝レースが行われる特別なスケジュールとなりました。通常とは異なる進行の中で、ドコモ チーム ダンディライアン レーシングは一戦ごとに状況を整理しながら、シーズン最終局面を戦い抜くことになります。
午前中に翌日の第12戦を含め2度の予選を行った後、午後に第11戦決勝を迎えました。5号車 牧野任祐選手は7番グリッド、6号車 太田格之進選手は5番グリッドからスタートしました。スタート直後、牧野選手は抜群の加速でポジションを一気に上げ、オープニングラップで4番手へと浮上します。一方、太田選手はスタート時にアンチストールモードに入ってしまい、大きく順位を落とす苦しい展開となりました。
オープニングラップでポールポジションの岩佐選手(TEAM MUGEN)が接触アクシデントによりリタイア。早々にセーフティカー(以下「SC」)が導入され、レースは一度落ち着きを見せます。5周を終えたところでレースは再開されますが、9周目には1コーナーで再びアクシデントが発生し、二度目のSCが導入されました。このタイミングがピットウインドウのオープンと重なり、全車が一斉にピットへ向かう難しい判断を迫られます。
先行していた牧野選手に対し、太田選手はダブルストップを選択せざるを得ず、再び厳しい状況に立たされました。それでも太田選手はリスタート後、ライバルを次々とオーバーテイクし、驚異的な追い上げを披露。終盤には5番手まで順位を回復します。牧野選手も上位集団の中で粘り強い走りを続け、3位でチェッカー。両ドライバーは、最終日に向けてタイトル争いに踏みとどまりました。
一夜明け、迎えた最終日は2連戦。午前中に行われたのが、第10戦決勝です。本来は富士で開催される予定だった一戦であり、タイヤ交換義務のない19周のスプリントレースとして実施されました。牧野選手はポールポジション、太田選手は3番手という好位置からスタートします。
スタート直後、牧野選手は鋭い蹴り出しで主導権を握りかけましたが、1コーナーへのアプローチでライン取りの判断が影響し、フラガ選手(PONOS NAKAJIMA RACING)に先行を許して2番手に後退します。太田選手は冷静なスタートでポジションを守り、3番手のままレースを展開しました。
レースは序盤から、上位2台が抜け出す形となり、牧野選手はオーバーテイクシステムを駆使してフラガ選手に迫ります。しかし相手も巧みにこれを防ぎ、激しいせめぎ合いは最後まで続きました。太田選手もその背後から追走しますが、前走車のダーティエアの影響を受け、思うようにペースを上げられない苦しい時間帯が続きます。終盤には後方から迫るライバルを抑える展開となりましたが、牧野選手が2位、太田選手が3位でフィニッシュ。午後に控える最終戦へ、重要な流れをつなぐレースとなりました。
そして迎えた午後の第12戦決勝。2025年シーズンのすべてが決する最終戦です。牧野選手は5番グリッド、太田選手は4番グリッドからスタートを迎えます。スタート直後、牧野選手は素晴らしい加速を見せ、3番手へと浮上。太田選手も着実にポジションを維持し、上位でレースを進めました。
序盤、坪井選手(VANTELIN TEAM TOM’S)の動きを受けてチームは太田選手を早めにピットインさせる判断を下します。この戦略が奏功し、太田選手は坪井選手の前でコースへ復帰。一時は2番手につける展開となりました。一方、牧野選手はスティントを引き延ばす作戦を選択しますが、11周目にシケインでアクシデントが発生し、セーフティカーが導入されます。このタイミングで未交換勢が一斉にピットインする形となり、牧野選手は4番手でコースへ戻りました。
レース再開後は、上位5台が1秒以内にひしめく緊迫したバトルとなります。太田選手は17周目にポジションを落とす場面もありましたが、両ドライバーとも最後まで諦めることなく攻め続け、ライバルとの間で熾烈な戦いを繰り広げました。チェッカーを受けた時点で、太田選手は3位、牧野選手は5位。これにより、ドコモ チーム ダンディライアン レーシングは2025年シーズンのチームチャンピオン獲得を決定しました。
ドライバーとチームが流した、意味のある涙
最終戦を終えた後、太田格之進選手の表情には、悔しさとともに確かな手応えがにじんでいました。シーズンを通して、常にタイトル争いの中心で戦い続けてきたからこそ、その一戦一戦には大きな期待と責任が伴っていました。最終戦直後に見せた涙は、結果だけでは語り尽くせない、積み重ねてきた時間の重みを物語っているようでした。
牧野任祐選手もまた、シーズンを振り返りながら、自身の走りと真摯に向き合っていました。個人としての悔しさを抱えながらも、チームとして勝つために何ができるのかを考え続け、最後まで全力でハンドルを握り続けたこと。その姿勢は、最終戦まで続いた緊張感の中でも変わることはありませんでした。
二人の走りを見守り続けてきた村岡潔チーム代表にとっても、この最終戦は重い意味を持つ一戦でした。3レースすべてを俯瞰しながら下した判断の一つひとつが、チームの命運を分ける場面となり、レース後の表情からは、悔しさと同時に選手たちへの深い信頼が感じられました。
それぞれの立場で流した涙は、敗北を意味するものではありません。シーズンを通して本気で挑み続けてきたからこそ流れた、意味のある涙でした。
チームチャンピオンという、揺るぎない成果
2025年シーズン、ドコモ チーム ダンディライアン レーシングは多くの試練を乗り越えてきました。思うように結果が出なかったレースや、わずかな差で勝利を逃した悔しい瞬間。その一つひとつの積み重ねがあったからこそ、チームはより強固な存在へと成長しました。
最終的に、ドコモ チーム ダンディライアン レーシングはチームランキング首位を守り切り、2年連続でチームチャンピオンの座を獲得しました。ドライバーズランキングでは届かなかった頂点もありましたが、チームとして戦い抜いた証は、確かな形として残りました。
この成果の背景には、ドライバーだけでなく、エンジニアやピットクルー、そしてチームを支えるすべてのスタッフの存在があります。挑戦を止めず、最後まで走り抜く。その姿勢を、ドコモも見守り続けてきました。
スタンドから送られた声援、ピットに届いた応援の言葉。その一つひとつが、チームを前へと押し出す大きな原動力となりました。悔しさと誇り、その両方を胸に、ドコモ チーム ダンディライアン レーシングは次のシーズンへと歩みを進めます。
5号車 牧野任祐選手 5位 2025年ドライバーランキング 4位
スタートはよく順位を上げることが出来ました。
太田選手の戦略を見て、ピットインを伸ばし、フレッシュなタイヤで後半追い上げるつもりが、セーフティカーのタイミングが私にとって中途半端なタイミングになってしまい、自分の戦略通りに進める事が出来ませんでした。
今シーズン、最終戦までチャンピオン争いに残ることは出来たのですが、振り返ると落としているレースがいくつもあってドライバーチャンピオンに届きませんでした。
2年連続チームタイトル獲得という、チーム一丸となって目指した目標の一つに貢献できたことはとても嬉しく思います。
来シーズンこそはダブルタイトル目標に、さらに強くなれるよう前進します。
今シーズン、熱い応援をいただいた ファン、スポンサーの皆様、最高の環境を準備してくれたチームに感謝しています。
6号車 太田格之進選手 3位 2025年ドライバーランキング 3位
戦略は良かったのですが、岩佐選手を攻略するには至りませんでした。
今回鈴鹿については予選でフロントポジションを得られなかったことが響きました。
今シーズン、チャンピオンを取ることに集中して臨んできたので、ドライバーチャンピオンシップ3位については悔しい気持ちです。
シーズンを通して二人のドライバーをフリーファイトで戦わせてくれたチームに対し、シーズン最多3勝をあげてチームタイトルに貢献できたことは嬉しく、素晴らしいとこだと思います。
来シーズンはこれまでよりも更に強くなって、皆様に興奮するレースをお見せします。
支えられた挑戦、その先へ
鈴鹿で迎えた最終戦は、ドコモ チーム ダンディライアン レーシングにとって決して簡単な結末ではありませんでした。それでもチームは、結果から目を背けるのではなく、挑戦の過程そのものを大切にしてきました。
勝ちたい。頂点に立ちたい。
その想いを最後まで貫き、全力で戦い抜いたからこそ、悔しさが残り、涙がこぼれました。そして同時に、チームチャンピオンという確かな成果が、その戦いの価値を証明しています。
モータースポーツは、ひとりでは成り立ちません。ドライバー、エンジニア、ピットクルー、チームスタッフ、そしてサーキットで声援を送るファン。そのすべてがそろって、初めて一台のマシンは走り切ることができます。
挑み続けるチームを支え、最後までともに戦い抜く。
ドコモ チーム ダンディライアン レーシングの2025年シーズンは、その意義を改めて示す一年となりました。
この戦いは、ここで終わりではありません。
次のシーズンへ。さらなる高みへ。
チームの挑戦は、これからも続いていきます。
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