あなたと世界を変えていく。

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今や「世界」はリアルな世界だけではなく、メタバースなどの仮想空間へと拡張しています。通信の力で人と人をつないできたドコモは、確かな技術を基盤に、メタバースあるいは今後続々と増えていくであろうバーチャルな世界を豊かで楽しい場所に創り上げたいと考えています。

前篇のインタビューでは、ドコモがXRを通じて新しく楽しい未来をお客さまに提供するにあたり、XR事業のさらなる推進のためドコモが設立した新会社「NTT QONOQ(以下、NTTコノキュー)」の開発メンバー、濵地瞬が取組みの一端について語ります。

後篇では、新価値創造のパートナーのアノマリー代表取締役CEO・神田勘太朗氏とドコモのXR(※)事業を推進するコノキューで新たなビジネスの種を探しているコノキューマーケティング部・赤沼純が対談。二人が変えていこうとしている、XRの未来について語り合った。

※:XR(クロスリアリティ)

SYUN HAMACHI

濵地瞬

NTTコノキュー テクノロジー部門 共通モジュール開発担当。現在、顔写真ひとつから自分の分身となる3Dのアバターを作り、dアカウントなどのさまざまなアカウントに紐づけて管理できるプラットフォーム「ドコモ・アバターポータル」の開発に従事。アバターをメタバース空間上で使えるサービスを提供している。

KANTARO KANDA

神田勘太朗

株式会社アノマリー 代表取締役CEO

ダンサー兼実業家として2004年よりストリートダンスバトル「DANCE ALIVE」シリーズをプロデュース。動員数12,000人を誇る世界最大規模まで成長させ、日本式のダンスIPを発信し続けている。現在は日本発のダンスプロリーグ「D.LEAGUE」の株式会社DリーグCOO、一般社団法人FIDA JAPANの会長も兼務しており、ダンス経済圏の創生や知財等の権利を獲得すべく、世界に革新と熱量を生み出す事業に従事している。

JUN AKANUMA

赤沼純

NTTコノキュー マーケティング部門 パートナーリレーションズグループ 担当課長

新卒でNTTドコモに入社し、iモード事業、国際事業、アライアンス業務に従事。その後、リクルート、Amazon、楽天、カプコンなどの企業に転職。それぞれの企業で新規事業の企画・推進やマーケティングに従事。2019年NTTドコモに復帰し、現在はNTTコノキューにてメタバース、及びWeb3ビジネスを推進。

濵地瞬

「安心」な土壌だからこそ、
ユーザーやパートナーが集まる。

――最初に、NTTコノキューの事業内容について教えてください。

「メタバース」「デジタルツイン」「XRデバイス」の3つの事業を中心に、VR(仮想現実)・AR(拡張現実)・MR(複合現実)などXRを用いて、個人や法人のお客さまに対して、さまざまなサービスやソリューションを提供しています。

まず、「メタバース」は、音楽をはじめとするコンテンツの体験や、アバターを介したお客さま同士のコミュニケーションを可能にするマルチデバイス型メタバース「XR World」などのサービスを展開しています。現在、アニメやアイドル、アーティストの限定コンテンツの配信などにより、仮想空間ならではの表現や一体感を楽しんでいただける機会を創出しています。

次に、「デジタルツイン」ですが、リアルの世界とデジタルの仮想空間を行き来する「新たな現実」を拡張させるサービスを提供しています。たとえば、「XR City」は特定のエリアでスマートフォンをかざすと、キャラクターなどのARコンテンツを現実世界に登場させて遊べるようなサービスです。パートナー企業との協業で、エリアへの回遊促進・店舗誘客などを実現するソリューションとして活用していただけます。

そして、「XRデバイス」は自社開発のウェアラブルデバイスを手掛ける事業です。ドコモでは、サービスと一体で価値・体験を提供するべく、現在開発に注力しています。今後、ウェアラブルデバイスがメタバースやデジタルツインと一体となって、お客さまに新たな体験を提供したいと考えています。

濵地瞬

――NTTコノキューを立ち上げた背景とは?

これまでドコモをはじめNTTグループでは、各社が独自でXR事業に取組んでいました。NTTコノキューは、そのリソースを集約して、サービスや製品の開発からリリースまでのスピードを上げることを目的に設立しました。NTTコノキューには、研究・開発・営業などグループを横断して、さまざまなメンバーが集まっており、これまで蓄積した技術やノウハウを共有しながらXR事業を推進しています。

――コノキューが提供するメタバースは、どのような特徴があるのでしょうか?

ひとつは、コンテンツです。これまで、ドコモは日本国内のさまざまなお客さまとネットワークを築いてきました。こうした基盤をもとに、安心して参加できるコンテンツをメタバース上で展開しています。

また、メタバースでの限定コンテンツにも注力しています。たとえば、アーティストと個人のお客さまたちが一緒にメタバースで絵を描くなど、仮想空間ならではの楽しみ方を提供できるのではないかと思っています。

――まだメタバースを体験したことがない方も、フラットに参加できそうですね。

そうですね。ドコモがめざしているのは、「誰もがクリエイターになれ、みんなとつくり、みんなと遊べる」メタバースです。ひと言でメタバースと言っても、世の中にはいろいろなタイプのメタバースがあり、まだまだ馴染みが薄い分野だと思います。でも、スマートフォンの利用が当たり前になったように、そう遠くない未来には、ウェアラブルデバイスを装着してメタバースに遊びに行くことが珍しくない時代が来るのではないかと考えています。

そうした時代の到来を見据えながら、メタバースをより多くの人に楽しんでもらえるよう、専門的な知識がなくても、簡単に遊んだりモノづくりができたりするメタバースを構築したいですね。

濵地瞬

――ドコモは、コーポレートスローガン「あなたと世界を変えていく。」を掲げています。濵地瞬さんにとっての「あなた」とは?

あらゆるお客さまです。それは個人であり企業など、みなさんがパートナーだと思っています。具体的には、ファッションブランドとのコラボでメタバースに店舗を出す試みをしました。これが実用化されれば、自分の顔や体型を反映したアバターで買い物を楽しむことができます。このように、メタバースで実現できることは、まだまだたくさんあります。「もうひとつの世界」で何を叶えたいのか、好奇心とアイデアに富んだパートナーと世界を変えていきたいです。

濵地瞬

後篇では、具体的な「パートナー」のひとつであるアノマリー社と取組む、ダンスコンテンツの拡充に向けたプロジェクトを紹介します。

【パートナー様×ドコモ社員対談】
メタバース×ダンスで人をつなぎ、世界を変える

かつてのSFが今の現実に。
映画が描き、ゲームで変えたXRの世界。

――近年、XRに高い関心が寄せられています。お二人は、その背景に何があると思われますか?

赤沼:きっかけはゲームではないでしょうか。4G以降、一人ではなく複数人でゲームをプレイできる環境になりました。さらに、VRゴーグルで現実世界にいながらゲームの仮想世界に没入したり、AR技術を使って現実世界の中でゲームを楽しんだりと、いろいろなタイプのゲームが提供されています。このように、現実世界と仮想世界の融合が新しいエンタメとして一気に注目されるようになったと思います。

【パートナー様×ドコモ社員対談】

神田:僕は、いわゆるこの類の映画が好きなのですが、90年代の後半頃に、いずれはXRの世界が当たり前の世界になるだろうと、願望も含めて思っていました。それから時を経て「いよいよあの世界が近づいてきたな」と実感しますね。

赤沼:XRビジネスを手掛けているほとんどの人は、仮想現実をテーマにした映画をよく観ていますよね。ある映画の中で、登場人物が自分の脳にヘリコプターの操縦法をダウンロードして、操縦するシーンがありました。この映画を観たとき「こんな事ができれば、誰しもが何でも実現できる世の中になるのでは」と思いました。映画やドラマで描かれていた世界は、いつか現実のサービスにできるんじゃないかと考えていますね。

通信インフラ事業者とダンステック事業者、
両社のシナジーで世界の壁を超える。

――技術革新が後押しするかたちで、SFの世界が徐々にリアルで再現されはじめていますよね。では、ドコモがXRに取組むことになった理由をお聞かせください。

赤沼:ドコモは「iモード」で、世界初となる携帯電話のプラットフォーム化を実現させ、提供してきました。プラットフォームとは、突き詰めればコミュニケーションの場であり、その姿は時代とともにかたちを変えて進化しています。ドコモはXRを通して新しい時代の、新しいコミュニケーションの場を創造したいと考えて取組むことになり、そのXRを推進するためにコノキューを立ち上げました。
とはいえ、リソースや技術はまだまだ発展途上なので、神田さんをはじめとするさまざまなパートナー様の知見を集めて、通信技術を基盤に新しい世界を描いていきたいと思っています。

神田:XRに取組むのは、ドコモの使命かもしれないですよね。僕は、日本を代表する企業が、世界に名をとどろかせて、プレゼンスを発揮することを期待しています。今、「何だかわからないけど突破できない空気・覆い」が日本全体を包んでいると思うんですよ。それでも、ゆるく生きていければいいという人もいるでしょう。
でも、僕はやっぱり熱くならないとおもしろくない。その熱はドコモのようにリーダーシップを持っている企業が着火しないといけないんじゃないかって。それが、国を代表する会社の責務だと思うんですよね。

【パートナー様×ドコモ社員対談】

――アノマリーは、ドコモと業務資本提携というかたちでパートナーシップを組んでいますが、その目的について教えてください。

神田:僕が描いている「ダンス×XR」を含めた世界戦略の中で、どうしても通信技術をおさえておきたかったからです。日本企業が世界に進出する上で、通信インフラを担う企業と斬新なアイデアを持つスタートアップ・中小企業が組んで、シナジーを創出することが重要になります。ドコモと組んで、世界の壁を突破したいと思っています。
また、僕はXR領域も含めたWeb3.0の事業で最も重要なのはコミュニティだと一貫して主張しています。さまざまな分野のコンテンツコミュニティを持つ日本は、チャンスでしかないわけです。

赤沼:ダンスやジェスチャーはXR時代の新しいコミュニケーションのかたちとして重要だと考え、パートナーシップを組みました。XR、特に仮想世界であるメタバースには、国境の概念がありません。今後、メタバースの中では、国籍問わず、さまざまなユーザーがアバター(自分の分身となるキャラクター)を使って交流していくことになると思っています。
その際、AI翻訳機能を使えば会話もできますが、なかでもダンスやジェスチャーは重要な自己表現の1つです。会話をしなくても、簡単なジェスチャーだけで意思疎通ができると思っています。
また、ダンスはもちろん、日本のコンテンツやクリエイティブは、日本人が思っている以上に世界中で評価されています。ドコモのメタバースから発信された日本のコンテンツが、現実世界と仮想世界の両方で、世界中を席巻することをめざしたいです。

「XR World」でダンスを新しい時代の言語にしたい。
仮想空間で自在に遊び、自己表現を満喫する時代へ。

――パートナーとして具体的にどのようなことを成し遂げたいとお考えでしょうか?

赤沼:中長期的には、いろいろ考えていますが、短期的には、アバターにダンスのモーションデータを組み込むことからはじめていきたいです。

神田:僕は未来を想像しつつ、2016年からXRの事業化に取組んできました。そのひとつが、人や動物などあらゆるモーション(動き)をビッグデータ化し、さまざまな分野のイノベーションへと活用するウェアラブルセンシングのプラットフォームで、帝人フロンティアと共同で事業化の準備を推し進めて来た「MOTIONBANK™」です。その技術をWeb3.0領域に生かせるのではないかということですね。

【パートナー様×ドコモ社員対談】

赤沼:それこそ、先に話した、映画の中でヘリコプターの操縦方法をダウンロードしたことと同じように、自分のアバターに、ダンスモーションをダウンロードする。もし現実世界の自分が運動音痴でも、好きなダンサーのモーションデータを、自分のアバターにダウンロードしたら、仮想世界ではそのダンサーになれる。メタバースでそんなことを実現できるとおもしろいよね、という話をしています。

神田:たとえば、踊れない人が当たり前にダンスを楽しめるような人間拡張サービスをつくりたいですね。オフラインでできないことを、オンラインで実現させたい。また、絵文字を送るように、アバターが踊ることで感情を表現するような新しい言語としての使われ方もグローバルに拡げるサービスとしてはおもしろいと考えています。ドコモが手掛ける「XR World」で、小さな子どもから、普段運動をしない高齢の方まで、ダンスを楽しめるような場所があってもおもしろいですよね。

赤沼:「XR World」は小中学生のユーザーも多いんですよ。柔軟な発想を持つ子どもたちがアバターにいろいろなダンスをダウンロードしたら、どんな使い方をするんだろうと思うとワクワクします。

メタバースは一人ひとりが主役。
仮想空間で新たに生まれるカルチャーに期待。

――最後に、ドコモは「あなた(アノマリー)」と、世界をどう変えていくのか、展望を教えてください。

赤沼:仮想世界であるメタバースは、国や街に置き換えて表現できます。ただし、人種・国籍関係なくコミュニケーションできるので、現実世界ではできなかったことが、実現できる可能性がたくさんあります。じゃあ、このメタバースの主役は誰か。それは一人ひとりのユーザーです。自分が好きなことに取組む、興味があることに挑戦する、そんなメタバースの中でいつの間にか、自分を中心としたカルチャーができる。そんな新しい世界の基盤をドコモは提供していきたいです。

神田:世界の企業がメタバースやXRの事業に挑戦している今、たくさんの壁があると思いますが、いつでも答えは「おもしろいかどうか」だと僕は思っています。ドコモには僕たちみたいなパートナー企業との集合知で突破してもらいたいと思っています。足りない部分は補い、全力で一緒におもしろく世界を変えていきたいですね。

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