地域からのお知らせ(東海)

5G通信を活用した4K映像伝送システムとリアルタイム字幕解説を併用した
医療者教育における遠隔授業の実証実験
~高画質映像伝送機材を用いた遠隔医療の実現へ向けて~
<2022年6月16日>

東海国立大学機構岐阜大学
株式会社NTTドコモ東海支社

東海国立大学機構岐阜大学、株式会社NTTドコモ東海支社

東海国立大学機構岐阜大学(学長:吉田 和弘、以下:岐阜大学)と株式会社NTTドコモ(東京都千代田区、代表取締役社長:井伊 基之、以下:ドコモ)は、岐阜大学医学教育開発研究センターおよび岐阜大学医学部附属病院の協力を得て、5Gを活用した医療者向け遠隔授業支援を目的とし、4K映像伝送システム「LiveU(ライヴユー)」とリアルタイム字幕生成ソフトを用いた、医学生向け手技教育の授業をリアルタイム配信する実証実験(以下、本実験)を2022年6月23日(木曜)に実施いたします。

本実験は、岐阜大学医学部医学科生への遠隔授業による外科的手技教育を目的としています。この教育ではまず、消化器外科指導医がヘッドセットのカメラを通じて、外科縫合手技を実演かつ中継し、実況解説音声付き4K映像を「LiveU」からドコモの5G回線を介して伝送します。そしてこの映像を受信した別の外科医による副音声解説を自動で字幕化して映像に追加、これを別教室や自宅にいる学生へ「リアルタイム遠隔授業」として配信するものです。これにより術者目線での縫合糸と繊細な手元の動きと音声・文字情報を遅延なく、同一画面で視聴させることが可能となります。対面授業では伝えられなかったリアリティ溢れる視野で手技を学ぶ、新たな授業スタイルを検証する取組みです。

本実証実験のイメージ図

本実証実験のイメージ図

本実験により、学生は、手術手技映像を術者目線により、リアルタイムかつ文字情報付きで視聴することが可能になり、コロナ禍において失われた教育機会の補填以上の付加価値がもたらされます。岐阜大学は本実験を通過点と捉え、実証で得た課題などを分析し、さらなる医療者教育の発展を進めていきます。さらには、本実験により専門性の高い高難度手術手技の伝達・教育が可能となれば他病院の医師との連携や医師不足が指摘されている過疎地における医療支援、医療格差をも軽減できる可能性を秘めています。岐阜大学では診療科の枠を超えた遠隔医療支援、ICTによる教育のさらなる展開をドコモとともに進めていきます。またドコモは今後の医療現場における高精細リアルタイム映像伝送の利活用の可能性を探り、5Gを活用しさらなる低遅延かつ高精細な医用映像伝送の実現につなげていきます。

実証実験の背景

医療者教育においては、これまで映像技術等が積極的に取り入れられてきましたが、新型コロナウイルス感染症対策に伴い遠隔授業やICTを使った新たな教育環境の整備が急務となっていました。パンデミック下では、講義室の密集回避、病院内滞在時間の削減、そして手術室への入退室制限といった学生の行動の制約が生じました。とりわけ対面でないとできないような診療・技能学習の機会の確保が極めて困難になり、効果的かつ安全に技能を学習できる環境や、実習前に効果的に予習をさせて対面技能学習に臨ませる授業の工夫が喫緊の課題となっていました。そしてWeb会議システムなど急速に医療者教育に広まったICTツールを単なる対面授業の代替ツールとしてではなく、新たな付加価値を創造するツールとして利活用することが求められるようになった背景を受けて、技能学習の遠隔授業という今回の実験の着想に至りました。

実証実験の概要

実施内容

模型による実技授業をドコモが提供するモバイル型の4K映像伝送システム「LiveU」を利用して、別教室の医師へ伝送し、専門医がリアルタイムで字幕を音声入力します。また、字幕を付与した映像を、医学部生に配信し、遠隔授業を実現します。

  • 本実証では、セキュリティやプライバシーの観点から模型等を使用しての映像配信を実施予定です。
検証項目
  1. 5G通信を使い、外科縫合手技の実況解説音声付き4K映像を「LiveU」から伝送
  2. 映像を受信した別の外科医がさらに口頭で加えた副音声解説を自動で字幕化して映像送信
  3. これを別教室や他校舎にいる学生へ「リアルタイム遠隔授業」として配信
想定される活用方法
  1. 手術手技映像を、ドクター目線により、リアルタイムで、かつ文字情報付きで学生は視聴することが可能
  2. 専門性の高い高難度手術手技の映像の伝達・教育が可能
  3. 医師不足が指摘されている過疎地における医療支援、医療格差が軽減できる可能性
  4. AIを活用した映像解析と新たな教育映像教材・指導法開発

実証実験実施日

2022年6月23日(木曜)

実証実施拠点

岐阜大学 学術研究・産学官連携推進本部

実験に用いた機器

  • LiveU(映像送信機・受信機)
  • ドコモ通信回線(5G・4G回線)
  • Microsoft Teams
  • リアルタイム字幕生成ソフト:よこから解説アプリ
  • Ethicon 消化管自動縫合器
  • Sony デジタル4Kビデオカメラレコーダー FDR-X1000V/X1000VR

役割

岐阜大学 実験内容検討・手技確認・遠隔教育(映像発信・受信)・実証実験の調整、映像伝送機器・通信回線準備
ドコモ 実証実験の調整、映像伝送機器・通信回線提供、学生用端末の提供

共同研究者

  • 東海国立大学機構岐阜大学:吉田 和弘 学長
  • 東海国立大学機構岐阜大学:王 志剛 副学長
  • 岐阜大学医学部附属病院:秋山 治彦 病院長
  • 岐阜大学大学院医学系研究科:中島 茂 研究科長
  • 岐阜大学大学院医学系研究科医科学専攻外科学:松橋 延壽 准教授、佐藤 悠太 助教
  • 岐阜大学医学教育開発研究センター:西城 卓也 教授、早川 佳穂 特任助教
  • 岐阜大学産官学連携推進本部:利光 哲哉 特任講師、笠原 巧 特任助教
  • 岐阜大学情報連携推進本部:村上 茂之 教授
  • 岐阜大学工学部化学・生命工学科:大矢 豊 教授

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