名古屋大学附属図書館における近距離無線通信技術iBeaconを活用した図書館内案内サービスと、名大の授業NUOCW、JMOOC「gacco」等への連携サービスの提供について
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2014年10月31日 名古屋大学附属図書館 株式会社カーリル 株式会社NTTドコモ東海支社 |
概要
名古屋大学附属図書館と株式会社カーリル、株式会社NTTドコモ東海支社の3者は、名古屋大学大学院情報科学研究科の安田・遠藤研究室(安田孝美教授、遠藤守准教授)のアドバイスの下、近距離無線通信技術iBeaconによる位置情報に基づいた新たな図書館サービス及び、関連する学内外の講義と連携するサービスを開始する。これにより、中央図書館3階の学習用図書書架等から図書館利用者のiPhone等に下記の情報を提供する。
(1)蔵書検索システム(以下、OPAC)の検索結果から目的の書架(本棚)への道案内
(2)書架から関連する学術雑誌への案内
(3)書架から関連する名古屋大学オープンコースウェア「名大の授業NUOCW」のコンテンツ連携
(4)書架から関連するオープンなオンライン教育環境「gacco(ガッコ)」のコンテンツ連携
(5)図書館イベントの案内
(6)図書館内各エリアの初心者向け案内
解説
本サービスのために中央図書館3階の学習用図書書架、地下1階製本雑誌書架等にプッシュ型小型無線装置ビーコンデバイスを130個以上設置した。このビーコンデバイスが一定間隔で送出する電波をiPhone等で検出することで、図書館利用者のiPhone等の専用アプリ「カーリル図書館マップ」が現在位置を把握し、位置情報に基づく図書館サービスを行う。
上記のサービスを受けたい図書館利用者は自身のiPhoneやiPadにこのアプリをインストールするか、またはこのアプリを組み込んだiPadを図書館から借りて利用する。このアプリで閲覧したい図書を検索すると、アプリが図書館内の目的の書架まで道案内してくれる。さらに目的の書架にたどり着いた際に、アプリがその図書に関連する学術雑誌や「名大の授業NUOCW」、「gacco」内の関連する講義を紹介する。
昨年Apple Inc.から発表されたiBeaconを用いたアプリサービスと、今年から始まった「gacco」とを連携して提供するのは国内初である。また、1つの建物の中に設置されたビーコンデバイスの個数も非常に多く、きめ細やかなサービスができるようになっている。
なお、「gacco」については、一般では視聴不可能な閉講コンテンツの一部を、貸出用iPad及び館内に設置したgacco専用PCで視聴できるようにした。
効果
このサービスによって、学生と図書館の書架をスムーズに繋ぐことができる。また、従来の図書館では同じ分野の図書をより近くに配置するようにしているが、このサービスによって学生は目的の書架にたどり着けば、求めていた図書に関連した学術雑誌や、学内外での講義を知ることができる。また、関連する学内外の講義を視聴することによって、所属する学部の講義だけでは得ることが難しい知見を新たに学び、更なる発見につながるものとなる。これらによって学生の発展的な自主学修を促すことができる。
今後の展開
今後「カーリル図書館マップ」アプリのAndroidOSへの対応も予定している。また学生参加型のアプリ・コンテンツ開発によって上記以外のサービス展開も検討している。
用語解説
JMOOC
2012年にアメリカで複数立ち上がった「オンラインで公開された無料の講座を受講し、修了条件を満たすと修了証が取得できる」MOOC(MOOCs)という教育サービスの日本版。日本の大学・企業の連合によって2013年に設立されたJMOOC(日本オープンオンライン教育推進協議会)にはgacco(NTTドコモ社・NTTナレッジ・スクウェア社提供)、OpenLearning, Japan(ネットラーニング社提供)、OUJ MOOC(放送大学提供)がある。JMOOCは複数の講座配信プラットフォームをまとめるポータルサイト。
gacco
“NTTドコモ社、NTTナレッジ・スクウェア社が運営する日本初の大規模公開オンライン講座(MOOC1)提供サイト「gacco(ガッコ)」(http://gacco.org/)。
大学教授陣による本格的な講義を、誰もがパソコンやスマートフォン、タブレットによりオンラインで無料受講できる。一般的な大学の講義と同様に受講期間を設け、一定の修了条件を満たすと修了証を発行。一部講座では、オンラインで学習した内容をもとに対面で発展的な講義を行う「反転学習コース」を有料で提供。現在、会員数は7万人を超え、25講座が提供中/提供済み。2015年1月には京大 山中伸弥 教授監修のiPS細胞講座も開講予定。今回提供する図書館内案内サービスにおいて、連携しているサービス。
iBeacon
iPhoneのiOS7から標準搭載されたBluetooth Low Energy(BLE)を使った新しい近距離無線通信技術。Android4.3でも対応している。ビーコンデバイスからの電波に情報を載せたり、電波の強弱でデバイスからの距離を推計して現在位置を特定したりすることができ、特定位置に基づいたサービス展開が可能となる。
OPAC(蔵書検索)
Online Public Access Catalogueの略称。図書館の所蔵資料(図書、雑誌等)をオンラインで検索できる目録データベースのこと。所蔵資料の書誌情報(タイトル、著者名等)のほか、配架場所や利用の可否(貸出中かどうか等)を確認することができる。
オープンコースウェア(OCW)
インターネットなどを利用して、大学や大学院で行われる講義の情報や関連する資料を公開すること。講義ノートやレジュメのほかに、講義内容をそのまま動画コンテンツとして公開することもある。
カーリル図書館マップ
株式会社カーリルが提供しているアプリ。iBeaconを活用して図書館のOPAC検索から目的の書架への案内や、図書館イベント案内などが提供される。
ビーコンデバイス
ビーコンデバイス
iBeaconの技術を使って微弱な電波を出すプッシュ型近距離無線通信装置。小型で電池寿命が1年以上のものが多い。
名大の授業NUOCW
名大の授業NUOCW
名古屋大学が提供しているオープンコースウェア。名古屋大学の講義の一部を選び、そこで実際に使われている教材を電子化しインターネット上で無償公開している。授業教材をインターネット上で公開することで、普段は垣間見ることのできない名古屋大学の教育の一端を、社会へ広く情報発信しようとするもの。
本件に関するお問い合わせ
取組み全体のお問い合わせ/NUOCWに関するお問合わせ
名古屋大学付属図書館 情報システム課 萩
〒464-8601 名古屋市千種区不老町
TEL:052-789-3686 E-mail:sys-vd@nul.nagoya-u.ac.jp
図書館内案内サービスに関するお問い合せ
株式会社カーリル ふじた
〒509-9232 岐阜県中津川市坂下1645-15
TEL:0573-67-8105 E-mail:contact@calil.jp
gaccoに関するお問い合わせ
株式会社NTTドコモ 東海支社 企画総務部 広報室 宝来・山口
〒461-8565 名古屋市東区東桜一丁目1番10号 アーバンネット名古屋ビル
TEL:052-968-7171
1 2012年にアメリカで複数立ち上がった、オンラインで公開された無料の講座を受講し、修了条件を満たすと修了証が取得できる教育サービス
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iPhone、iPad、iBeaconはApple Inc.の登録商標または商標です。
iPhone商標は、
アイホン株式会社のライセンスにもとづき使用されています。
gaccoは株式会社NTTドコモの登録商標です。
AndroidはGoogle Inc.の登録商標です。
BluetoothはBluetooth SIG Inc.の登録商標です。
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