携帯電話向け三次元都市地図配信技術を開発
<2005年2月3日>
|
1 | Geographic Information System:地理情報システム。 |
実証実験の概要 |
1. 実施日・場所
2月7日・9日・10日の3日間、東京丸の内地区にて(実験区域は下図のとおり)
2. 実験内容
モバイル端末を多用するビジネス世代(20〜30代)を被験者1にして、配信システムを組み込んだ実験用携帯電話端末に三次元都市地図やルート案内情報、及びビル名称等のGISデータの配信を行い、目的地までの道案内を実施し、道案内等の動作、視認、使用具合等を確認し、従来の携帯ナビにはなかったリアルな三次元都市空間表示による観光・歩行者ナビゲーションシステムの実用化に向けた検証を行う。
1 | 被験者は事前登録制で決定済み。 |
開発の背景と概要 |
地図情報を表示して道案内などのサービスを行う場合、平面地図よりも立体的な三次元地図表示を行う方が視認性に優れています。しかし、ウェブサイト上で三次元描画を行う際に多く用いられているVRML1形式の三次元地図では、平面地図に比べてデータ量が数十〜数百倍と膨大で通信速度や端末のデータ容量が不足することから、携帯電話への配信サービスを実現した例はありませんでした。
そうした背景から、総務省の委託研究「次世代GISの実用化に向けた情報通信技術の研究開発」の中で技術開発し、実証実験を行うこととなったものです。
本実験では、市販の三次元都市地図の中から必要な情報を選別し、圧縮配信する独自方式に基づくデータ配信用ソフトウエアと携帯端末上で動作するソフトウエアを開発しました。これにより携帯電話利用者に対して平面地図では表示が困難であった空間表示による道案内などの新しいサービス提供に必要な三次元都市地図の配信・表示が可能となりました。
例えば、交差点における案内では現在地周辺の風景と同じ景観を写し出して指示するので、見えたとおりの分り易い道案内ができるようになります。
1 | Virtual Reality Modeling Language: インターネットのWWW上で三次元グラフィクスを表現するための言語。 |
主な特長と成果 |
1. 特徴的(重要)な地物を解析・登録し、優先的に表示
情報提供サービス用の三次元地図データベースを生成する際、元となる市販の三次元都市地図を解析し、道案内の場合であれば目印になり易い角の建物や駅の入口といった、用途に応じた建物や道路などの地物の重要度を評価し記録する処理を行います。これにより、実際の情報提供サービスでは、目印となる建物を優先的に表示することができます。
2. 携帯電話端末の処理能力に応じた最適なデータ配信
配信対象の携帯電話端末の処理能力を特定することで、最適なデータ量を自動算定し配信する伝送処理技術を開発しました。これにより、端末の処理能力に見合う最適なデータを配信します。
3. 建物画像の不要な部分の単純化により通信負荷を低減
三次元都市地図の表示データとして多くを占める建築物情報のうち、建物の外観の窓枠の並び方のパターンといった、人が建物を識別する際に目印とする情報を、単純な文字列情報に置き換えて表現することによりデータ量を削減し、通信負荷を削減できるようにしました。
4. 建物と地理情報のオブジェクトを自動レイアウト
三次元都市空間を表示する視点の位置に対応して、表示する建物の大きさや前後関係を元に、建物の説明といった地理情報を表現するオブジェクトを自動的にレイアウトすることにより、三次元都市地図と地理情報を複合して表示できるようにしました。
今後の展開 |
今回の開発成果は、地図情報などに立脚した様々な利用者サービスとして注目されているLBS(Location Based Services)を支える基盤技術のひとつです。引き続き3社共同で、道案内の他、緊急時の防災避難経路案内や、観光案内・設備点検業務の入力支援といった様々な用途に適用するための開発を進めています。
実験区域 |
表示画面例 |
システム構成のイメージ |
報道発表資料に記載された情報は、発表日現在のものです。仕様、サービス内容、お問い合わせ先などの内容は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。なお最新のお問い合わせ先は、お問い合わせをご覧ください。