700MHzから2.5GHzまでの8つの周波数帯に対応した電力増幅器を開発
<2010年1月8日>
NTTドコモ(以下ドコモ)は、LTE、W-CDMA、GSMなど国内外の複数の移動通信システムに対応させるため、700MHzから2.5GHzまでの8つの周波数帯に対応したマルチバンド電力増幅器1 の試作機を開発しました。
現在、1台の携帯電話機で複数の周波数帯に対応するため、それぞれの周波数帯に対応するシングルバンドの電力増幅器を複数搭載しており、今後、LTEの国際ローミングにともない対応する周波数帯が増加すると電力増幅器の搭載数も増加が見込まれます。
本装置は、電力増幅器の各整合回路2 内に複数の半導体スイッチ3 を設け、使用する周波数帯に応じて周波数特性4 を切り替えられる構成としたことにより、現行のシングルバンド電力増幅器と同等の出力電力5 および利得6 を達成した上で、1つの電力増幅器で8つの周波数帯への対応を実現しました。
本装置が実用化されれば、電力増幅器の搭載数を増加させないため、携帯電話機を大型化することなくLTE、W-CDMA、GSMなど、国内外のほぼ全ての携帯電話サービスに対応することが可能となります。
なお、本技術の詳細は、1月11日午前10時30分(日本時間1月12日午前1時30分)より米国ルイジアナ州ニューオリンズで開催される2010 IEEE Radio and Wireless Symposiumで発表される予定です。
ドコモは今後も本装置の実用化に向け、取り組んでまいります。
- 1 電力増幅器:
信号を通信に必要な所定の出力電力まで増幅する電子回路。今回開発したものは、携帯電話機から発信する際に用いる電力増幅器。 - 2 整合回路:
電子回路などを接続する場合、信号をそれぞれの回路の周波数特性に合わせるために設けられる回路。 - 3 半導体スイッチ:
トランジスタあるいはダイオードで構成する電子スイッチの総称。機械式のスイッチに比べ、オンオフの応答速度が速く、接点が磨耗しないため長寿命などの特長をもつ。 - 4 周波数特性:
携帯電話機の電子回路では、入力信号の周波数に応じて出力電力や利得など電子回路の特性が変わることがある。周波数に依存して変化する回路の特性を周波数特性と呼ぶ。 - 5 出力電力:
電力増幅器の出力端子にて得られる信号の電力。 - 6 利得:
信号をある電力(入力電力)で電力増幅器に入力した際に、電力増幅器の出力端子にて得られた電力(出力電力)と入力電力の比。(利得)=(出力電力)/(入力電力)
マルチバンド電力増幅器(試作機)の外観
初段、中間段、最終段と3つの段階で電力増幅を行うことで、入力信号の約1,000倍の電力の信号が出力されます。
報道発表資料に記載された情報は、発表日現在のものです。仕様、サービス内容、お問い合わせ先などの内容は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。