報道発表資料

(お知らせ)時速150kmの高速移動時に2.5Gbpsの5G無線データ伝送実験に成功
<2016年11月16日>

株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)は、Samsung Electronics Co., Ltd.(以下Samsung)と28GHz帯の周波数帯において第5世代移動通信方式(以下5G)の無線データ伝送実験を実施し、時速150kmで高速移動する自動車に搭載した端末に対して2.5Gbpsを超える無線データ伝送に成功しました。
両社は、2016年11月7日(月曜)に富士スピードウェイで本実験をおこないました。特急列車などで高速移動するお客様が5G端末を利用する想定で実施したものです。

これまで高周波数帯では電波強度の減衰が大きく、高速移動中の無線データ伝送は難しいと考えられていました。本実験では、Massive MIMOの特長である超多素子アンテナを用いて電波の放射エリアを特定方向へ集中させるビームフォーミング機能と、高速移動する端末の動きに合わせて電波の放射方向を制御するビーム追従機能を用いて、高速移動する端末への5Gの無線データ伝送が可能であることを検証しました。

また、ファーウェイと2016年10月3日(月曜)〜10月26日(水曜)に横浜市のみなとみらい21地区にて共同で実施した4.5GHz帯の周波数帯を用いた多数の端末接続、高速・大容量通信、低遅延伝送を実証する5Gの無線データ伝送実験では、屋外に配置した23台の端末との間で、合計で11.29Gbpsの高速・大容量通信を実現いたしました。

本実験では、Massive MIMOの特長である多数の端末を同時接続するマルチユーザMIMO多重技術と、各端末の通信状況に応じて、最適化した信号を超多素子アンテナから送信することで通信品質を最大化しつつ、他の端末への干渉を防ぐ送信プリコーディング技術の活用により、23台へ高速・大容量のデータ伝送を実現いたしました。

なお、これらの5G無線データ伝送実験の取り組みは、2016年11月17日(木曜)、18日(金曜)にドコモR&Dセンタ(YRP)にて開催する「ドコモR&Dオープンハウス」にて展示予定です。

ドコモは2020年の5G商用サービスの開始をめざしており、今後も世界主要ベンダーと協力し、5Gネットワーク技術の研究開発に取り組んでまいります。

別紙1 Samsungとの無線データ伝送実験

1. 実験概要

富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)において、グランドスタンドに設置した基地局から、サーキットコース上を時速150kmで走行する車両に搭載した端末に対して28GHz帯を用いた5G無線データ伝送実験を実施し、2.5Gbpsの無線データ伝送に成功しました。

2. 実施日

2016年11月7日(月曜)

3. 実験装置

実験装置一覧
基地局装置
  • 96素子アンテナ
  • 最大2ビーム送信で2ストリームのMIMO多重をサポート
端末装置
  • 8素子アンテナ
  • 最大2ビーム受信

4. 使用周波数帯

28GHz帯(帯域幅:800MHz)

5. 今回の実験の特徴

  • 総務省の5G向け周波数候補の一つである28GHz帯において、日本で初めて移動通信向けの無線データ伝送実験を実施しました。これまで高周波数帯は電波強度の減衰が大きく、高速移動中の無線データ伝送は難しいとされてきましたが、基地局および端末の双方のビームフォーミングにより、28GHz帯での無線データ伝送に成功しました。
  • 通信路の状態を把握する参照信号や、端末の通信方向を把握しビームを最適化するビーム制御信号の設計を変更し、時速150kmの高速移動に対応するビーム追従機能を開発しました。
  • これまでの実験(2015年11月に韓国で実施)では、基地局の正面方向に移動する端末に対して無線データ伝送を実現しておりましたが、本実験では、高周波数帯の伝搬測定実験をおこない、最適な実験環境を構築し、基地局を横切る方向に高速移動する端末に対して2.5Gbpsの無線データ伝送を実現しました。

6. 実験模様

<富士スピードウェイにおける高速走行実験風景>
<時速150km走行時の受信スループット>

別紙2 ファーウェイとの無線データ伝送実験

1. 実験概要

みなとみらい21地区(神奈川県横浜市)において、ビル上に設置した1台の基地局からおよそ200から600メートル離れた23台の端末に対して、5G無線データ伝送実験を実施し、23台合計で11.29Gbpsの高速・大容量通信の無線データ伝送に成功しました。

2. 実施日

2016年10月3日(月曜)〜10月26日(水曜)

3. 実験装置

実験装置一覧
基地局装置
  • 64ユニットのアンテナを用いたMassive MIMOを搭載
  • 最大24ストリームのMIMO多重(送信)
端末装置
  • 8ユニットアンテナ
  • 最大2ストリームのMIMO多重(受信)

4. 使用周波数帯

4.5GHz帯(システム帯域幅:200MHz)

5. 今回の実験の特徴

  • Massive MIMOの特長である多数の端末を同時接続するマルチユーザMIMO多重技術と、各端末の通信状況に応じて、最適化した信号を超多素子アンテナから送信することで通信品質を最大化しつつ、他の端末への干渉を防ぐ送信プリコーディング技術の活用により、23台への高速大容量のデータ伝送を実現しました。
  • 2015年11月に中国で実施した5GマルチユーザMIMO伝送の屋外実験の際に得られたセルあたりの周波数利用効率のおよそ1.8倍となる最大79.82bps/Hz/cellを実現。周波数利用効率を上げることで、通信容量の拡大に寄与しました。
  • 高速な信号処理デバイスや無線回路デバイスが開発されたことで、5Gでは無線区間1ミリ秒以下の低遅延とすることが検討されております。本実験では5Gで検討されている伝送時間間隔を採用したことで、0.5ミリ秒未満の低遅延を実現しました。
  • 実験エリアはおよそ10万平方メートル(サッカーコート約12面分)と国内の5G無線データ伝送実験のフィールドとしては最大規模となります。

6. 実験模様

<みなとみらい21地区での実験模様>

報道発表資料に記載された情報は、発表日現在のものです。仕様、サービス内容、お問い合わせ先などの内容は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

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