報道発表資料

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(お知らせ)妊婦の病気の予防に向けた研究において参加者募集が完了
-世界最大規模のライフログデータと生体データの統合解析を開始-
<2016年11月15日>

株式会社NTTドコモ
国立大学法人東北大学 東北メディカル・メガバンク機構

株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)と国立大学法人東北大学 東北メディカル・メガバンク機構(以下、ToMMo[トモ])は、妊婦に特有な病気の予防・早期発見方法の確立および発症原因の特定をめざして共同研究を実施してきましたが、2016年11月15日(火曜)をもって研究参加される妊婦の募集が完了しました。また、ドコモがこれまで各種時系列データの分析を通して培ったビッグデータ解析技術および機械学習等のAI(人工知能)技術と、ToMMoのゲノム1情報等解析技術および生命情報科学技術を組み合わせて、参加者から得られたライフログデータ2およびゲノム情報等の生体データ3の統合解析を本日より開始します。

両者は2014年11月19日(水曜)より妊婦の病気の予防・早期発見に向けた共同研究を開始し、2015年2月17日(火曜)からは、ToMMoの実施する三世代コホート調査4に参加された妊婦を対象に、「マタニティログ調査」の名称で本共同研究に参加いただく妊婦を東北大学病院にて募集し、同意いただいた方から順次、データ収集にご協力いただき、参加者数は目標を上回る300名以上となりました。

参加者からは、妊娠初期から産後1か月まで定期的に血液・尿・歯科検体などの試料を提供いただくとともに、ドコモが本共同研究向けに開発したスマートフォン用アプリ等を使用して血圧や体調などのライフログデータも登録いただいており、参加者自身で登録いただくライフログデータの登録率は約80%と高い水準でした。
全参加者のうち分娩を経て参加終了となった約100名から順次、血液・尿・歯科検体などの試料を用いて、ゲノム情報等の生体データ化に着手しております。
参加者から得られる毎日のライフログデータは最終的に約600万件、血液・尿・歯科検体などの試料は約8,000本にも及び、妊婦を対象とした研究で世界最大規模となります。

これらのライフログデータおよび生体データに対し、時系列を考慮した多層オミックス解析5をすすめることで、妊婦に特有な病気(妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群、早産など)の予防方法・早期発見方法を共同で開発してまいります。

今後、ToMMoは、本共同研究に多くの参加をいただいたことから、長期にわたってコホート調査の参加者の方々の健康状態等を定期的にご連絡しながら調査を継続し、更なる調査へのご協力をお願いするにあたり、本共同研究で培ったノウハウやデータを活用していきます。

また、ドコモは、妊娠中から子育て中のお客さまに対するサポートやサービスを充実させており、本共同研究を通して、正常分娩に至る妊婦の増加や、将来的に発症が懸念される生活習慣病の予防の実現にさらに取り組んでまいります。そして、パートナーとともに新たな価値を協創する「+d」の取り組みの一環として、ドコモはToMMoと共に、ひとりでも多くの妊婦が病気を経験することなく安心して出産を迎えられるよう、母子の健康確保に貢献してまいります。

なお、本解析の詳細や本共同研究の詳細データは別紙のとおりです。

  1. ゲノム:生物が持つ、遺伝に関わる情報の全体。
  2. ライフログデータ:血圧、脈拍、室温、体温、体重、活動量、体調、睡眠状況、胎動、食事内容、服薬内容など、個人の健康状態と生活習慣を反映した記録。
  3. 生体データ:血液・尿・歯科検体から得られる、ゲノム、代謝産物、タンパク質などの情報。
  4. 三世代コホート調査:東北大学 東北メディカル・メガバンク機構が実施する、妊婦・児とその家族が参加する長期健康調査。
  5. 多層オミックス解析:ライフログ、ゲノム、代謝産物、タンパク質など、対象が異なる個々の解析をつなぎ合わせ、全体において各情報の差異や共通性を解析すること。

別紙 本解析の詳細と本共同研究の詳細データ

1. 目的

妊婦に特有な病気の多くが、遺伝的な要因と環境からの要因が複合的に相互作用して発症することから、病気の原因を探るためには、日々の環境要因の変化を連続して把握する事が重要です。しかし、これまで行われてきた調査票等による環境情報の取得は、半年に1回程度の自己回答方式によるため、取得頻度と精度に限界がありました。
本共同研究ではゲノム、体内物質(タンパク質、代謝産物など)、日々のライフログデータ(血圧、脈拍、体重、体温、活動量、睡眠、食事など)、の3要素を組合せた、網羅的な統合解析を計画しており、高頻度かつ客観的な精度のライフログデータと体内の状態変化を捉えることで、遺伝要因と環境要因の複合的な相互作用の解明をめざします。これにより、妊婦に特有な病気(妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群、早産など)の予防方法・早期発見方法の開発を促進し、正常分娩に至る妊婦の増加、将来的に発症が懸念される母児の生活習慣病の予防の実現をめざしてまいります。

2. 解析手法

参加者より定期的に取得した血液・尿・歯科検体などの検体試料について、ToMMoのゲノム等の解析技術により生体データ化を行います。これらのデータおよび日々のライフログデータに対し、ToMMoの生命情報科学技術と、ドコモがこれまで培ってきた時系列ビッグデータ解析技術やAI技術を活用し、多層オミックス解析を実施します。さらに、体内の状態変化や環境要因として、三世代コホート調査で取得された参加者の各種生化学検査値や調査票データなどを加え、解析を実施します。
これにより、従来明確でなかった体内での状態変化を明らかにすることをめざし、発病の予測モデルを構築することで、病気の予防や早期発見方法の開発をめざしてまいります。

3. これまでの研究との違い(新たな研究手法)

従来の妊婦を対象とした研究では、採血やアンケートに重点が置かれ、ライフログを高頻度に取得する研究はありませんでした。また、妊婦300名以上の規模で血液だけでなく尿や歯科検体を含めて複合的な多層オミックス解析を行う研究はありませんでした。
本共同研究では、ドコモのモバイル・ヘルスケア基盤や本共同研究専用にドコモが開発したスマートフォン用アプリ等を活用することで、ライフログを高頻度に取得し、血液だけでなく尿や歯科検体を含めて複合的な多層オミックス解析を行います。妊娠から産後1か月にわたり長期に広範囲で高頻度なデータを用いる点が、これまでの研究と異なります。

4. 実施期間および場所

本共同研究の期間 : 2014年11月19日(水曜)から2019年3月31日(日曜)まで
実施場所 : 東北大学

5. 全体のマイルストーンでの今回の位置づけ

本共同研究においては参加者の募集を2016年11月15日(火曜)まで実施し、その後、2017年前半にかけて試料のデータ化を進める予定です。順次、データの解析を実施し、得られた研究成果については、学会などでの公表を予定しております。

<本共同研究のスケジュール>

6. 本共同研究での検体試料の取得状況および収集したライフログのデータ登録率

採血、歯科検体採取の頻度は妊娠中に2回、産後に1回であり、採尿の頻度は妊娠中および産後で約15回におよびます。本共同研究で最終的に利用可能となる検体総数は約8,000検体となります。
これまで取得したライフログのデータの登録率は以下の通りです。ライフログ入力項目数は延べ600万回以上となります。

<ライフログのデータの登録率>

7. 本共同研究への参加が終了した参加者の声

研究参加を終了された参加者に対してアンケートを実施し、回答率は95%となりました。
約90%の回答者からは、「妊娠中の健康管理に役立った」「計測が習慣化できた」「日々の変化に気づけた」「自分の体を見直すきっかけになった」など、健康維持にヘルスケアデバイス(血圧計、体重計、活動量計、体温計)やスマートフォン用アプリが役立ったと回答を得ており、毎日のライフログ計測とその結果の容易な一覧性が妊婦の意識変化と健康管理を促進することが示されました。

<参加者の感想>

<参加者の声>

  • 慣れると生活の一部となり、思いのほか負担にならなかった。
  • 毎日測定するのは大変かな?と思って始めましたが、毎日楽しくできました。
  • 毎日血圧を測っていたので、自分で妊娠高血圧症に気づき、早急に帝王切開で分娩することができました。
  • 活動量計は特に身に付けていて楽しかったです。
  • 妊娠中、体重のコントロールをする際、とても役に立ちました。
  • 毎日の体調をデータで残すことで、こんなにも意識が深まるのだと思いました。
  • 毎日計測することで、自分の体を見直すきっかけになりました。
  • 健康管理のための体重や血圧の計測が習慣化した。
  • 食事、服薬は毎日入力できるともっと自己体調管理がしやすくていいと思う。

8. 本共同研究向けにドコモが開発したスマートフォン用アプリの機能と画面例

スマートフォン用アプリの入力項目については、東北大学産科医の監修のもと、作成しております。

<本共同研究専用のスマートフォン用アプリの画面例>

イラスト制作:橋本さと子


報道発表資料に記載された情報は、発表日現在のものです。仕様、サービス内容、お問い合わせ先などの内容は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

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