報道発表資料

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In-Network Computingによる遠隔GPUリソースを活用した低遅延AI映像解析の実証に成功
-6G時代のAI・ロボットがその能力を最大限発揮するネットワークの実現に向けて前進-
<2026年3月2日>

株式会社NTTドコモ
NTT株式会社

発表のポイント:

  1. 分散配備されたGPUリソースと5GネットワークをIOWN APN1で接続するINCエッジ2を実装し、通信の制御に加えてAI推論処理3をネットワーク側で制御する技術を確立しました。
  2. 上記技術の実証実験を実施し、遠隔GPUリソースを活用したIn-Network Computingによって、6G時代の遠隔でのロボット制御に十分な低遅延を実現できる見通しをえました4

株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)とNTT株式会社(以下、NTT)は、分散配備された遠隔GPUリソースと5GネットワークをIOWN APNで接続するINCエッジを活用したIn-Network Computing5(以下、INC)により、低遅延なAI映像解析の実証実験に成功しました。
本実証実験では、5Gコアネットワーク上に実装したINCエッジにより、通信の制御に加えてAI推論処理をネットワーク側で制御しました。これにより、IOWN APNを介して接続された遠隔GPUリソースを用い、端末から転送された映像データを低遅延に解析できることを確認し、6G時代の遠隔でのロボット制御に十分な低遅延を実現できる見通しをえました。
なお本成果は、2026年3月2日(月曜)から5日(木曜)にかけてスペイン・バルセロナで開催されるGSMA主催「Mobile World Congress Barcelona 20266」のNTTグループブースにて展示いたします。ドコモおよびNTTは、今後も機能が簡素化された端末の普及に向けてINCの技術検討・実証および国際標準化を推進し、6G時代のAI・ロボットがその能力を最大限発揮するネットワークの実現をめざします。

1.背景

6G時代に向けて、没入型XRやAI/ロボットを活用した新たなサービスの展開が進むと言われています。これらのサービスでは、従来に比べ大容量・低遅延のデータ転送や大規模なデータ処理を必要とする場合があります。例えば、ロボットが自律的に動作する場合において、ロボット周囲の映像やセンサーデータを取得し、AIを用いてロボットの移動先の障害物などを解析し、ロボット制御に即時にフィードバックすることなどが考えられます。特に、小型のロボットや簡素なウェアラブル端末などでAIにおける学習や推論を用いるアプリケーションを利用する場合、お客さま体感を落とすことなくサービスを提供するためには、端末以外の処理リソースにおいてもリアルタイムに大量のデータを処理する能力が求められ、6G時代のネットワークには通信の処理だけでなく、サービスのデータ処理も含めた制御を実施し、品質を担保することが期待されています。
一方で、AI推論処理の分散実行は、従来、アプリケーションやサーバ側で制御されることが一般的であり、ネットワークは主にデータ転送を担う役割にとどまっていました。そのため、推論処理に用いるGPUリソースの配置や通信遅延がサービス品質に大きく影響し、通信遅延の面で有利である地理的に近い場所にある計算リソースの利用が前提となるなど、柔軟なリソース活用には課題がありました。
このような期待と課題からドコモとNTTは、6G時代のネットワークに必要な要素技術として、INCの研究開発を進めています。INCでは、ネットワークの中にGPUをはじめとしたさまざまなリソースが分散配備され、通信だけではなくサービスの計算処理もネットワークで制御し、AIなどのサービスを高品質で提供します。

2.実証実験の概要

本実証実験では、ネットワーク内に分散配備された遠隔GPUリソースと5GネットワークをINCエッジを用いてIOWN APNを介して接続し、5Gネットワークに接続された端末から送信された映像データのAI推論処理の検証を実施しました。
一般にAI推論処理を各リソースの処理負荷軽減のための分散実行するケースでは、GPUリソース間の通信遅延が推論処理全体の遅延に大きく影響するため、同一拠点内など地理的に近い場所にあるGPUリソースの利用が前提とされています。本実証実験では、INCエッジとIOWN APNを活用し、通信の制御に加えてAI推論処理をネットワーク側から制御することにより、地理的に離れた遠隔GPUリソースを用いた場合でも、高い推論性能を維持できるかを検証しました。
本実証実験にあたっては、INCエッジとして、新たにIOWN APNとモバイル網の接続機能に加え、AI推論処理を推論の前段にあたる処理と推論の実行部分に分け、前段処理後のデータを遠隔GPUリソースへ低遅延に転送・振分けするための仕組みをネットワーク機能として実装しました。また、映像データの転送には、AWS上に構築した商用5Gコアネットワークの優先制御機能を適用し、INCエッジの役割と組み合わせることで、5GネットワークおよびIOWN APNを活用した広帯域・低遅延なAI映像解析を実現しました。また、今回の実験において、通信とAI映像解析の合計処理遅延は、人間の周囲でロボットが自律制御に基づいて動作する場合に想定される要求遅延と比較して、要求遅延以内であることを確認し4、6G時代の遠隔でのロボット制御に十分な低遅延を実現できる見通しをえました。

スマホ・カメラなど 映像転送、基地局 パブリッククラウド 5Gコアネットワーク AI通信向け優先制御 dUPF(データ転送機能)AI推進通信 IOWN APNとの接続/最適分散推論を実現 AI Proxy(前処理・振分け) INCエッジ 5Gネットワーク、一般通信 インターネット IOWN APN APNによる低遅延通信 AI画像解析GPUリソース 遠隔GPUリソース AI画像解析結果(例) スマホ・カメラなど 映像転送、基地局 パブリッククラウド 5Gコアネットワーク AI通信向け優先制御 dUPF(データ転送機能)AI推進通信 IOWN APNとの接続/最適分散推論を実現 AI Proxy(前処理・振分け) INCエッジ 5Gネットワーク、一般通信 インターネット IOWN APN APNによる低遅延通信 AI画像解析GPUリソース 遠隔GPUリソース AI画像解析結果(例)
図1.実証実験のシステム構成

3.各社の役割

ドコモ

  • 実証実験全体の計画策定、全体管理
  • コアネットワークや無線基地局装置などの5G SA商用環境およびノウハウの提供
  • 実証実験におけるIOWN APNの設計検討・構築
  • 実現方式の検討およびネットワーク構成の設計

NTT

  • INC基盤の提供
  • 5GコアネットワークとINCをIOWN APNを介して接続・融合し分散推論を実現するエッジ機能INCエッジの提供
  • 実現方式の検討およびネットワーク構成の設計

4.今後の展開

本実証実験から得られた結果は、6G時代のAIやロボット向けのデータ転送・処理にも応用できることが期待されます。ドコモ、NTTは今後も6Gネットワークの要素技術として、機能が簡素化された端末の普及に向けて通信とデータ処理を包括的に提供するINCの技術検討・実証および国際標準化を推進していき、6G時代のAI・ロボットがその価値を最大限発揮するネットワークの実現をめざします。

5.関連する過去の報道発表

  1. IOWN構想に基づく光ネットワーク基盤であり、超低遅延・広帯域・低消費電力を特長とします。本実証実験では、5Gネットワークと接続することで、分散配備された遠隔GPUリソースを低遅延かつ安定的に接続する基盤として活用しました。
  2. 5Gコアネットワーク上に実装され、5GネットワークとIOWN APNを接続するとともに、通信の制御に加えてAI推論処理をネットワーク側から制御するエッジ機能です。INCエッジは、5GネットワークとIOWN APNおよびINCを接続するUPFであるdUPF(DPU offloaded dUPF)と、AI推論処理を推論の前段にあたる処理と推論の実行部分に分け、前段処理後のデータをIOWN APNを介して遠隔GPUリソースへ転送・振分けすることで分散推論を実現するAI Proxyから構成されます。
  3. AIが、事前に学習した知識やパターンを用いて、新しいデータ(画像、音声、テキストなど)に対して分析を行い、予測、分類、判断などの結果を導き出す一連の処理のことです。
  4. 2026年3月2日時点。ドコモ・NTT調べ。協働ロボットの安全要求事項を定義するISO/TS 15066内で定められた特定の条件(ロボットと人間の距離、人間の移動速度)における要求遅延の数値内で、本実証に成功。
  5. アプリケーションレイヤの処理機能を、ネットワークのデータ転送制御と一体で扱うことで、遅延や端末の消費電力を低減しつつ、高性能・高機能なサービスを実現する技術コンセプトです。ネットワークが通信だけでなく、情報処理の配置や実行の制御にも主体的に関与する点が特徴であり、ネットワーク内に配備されたアクセラレータや計算リソースへ情報処理をオフロードすることで、端末の負荷を低減することが期待されます。

報道発表資料に記載された情報は、発表日現在のものです。仕様、サービス内容、お問い合わせ先などの内容は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

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