報道発表資料
Coltテクノロジーサービス株式会社に対する過払い接続料の返還請求訴訟の提起について
<2025年3月24日>
株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)は、音声相互接続事業者であるColtテクノロジーサービス株式会社(以下、コルト)に対し、過払い分の音声通話(電話)に係る接続料を精算金として返還するよう求め、2025年3月24日(月曜)に東京地方裁判所へ訴訟を提起いたしました。
- 訴訟提起の背景
2014年に「カケホーダイ」プランを導入以降、ドコモのネットワークからコルトのネットワークへのトラヒック(通話量)が大幅に増加したことを受け、ドコモはコルトが設定する接続料※1の水準について、トラヒック増加により低減するはずの接続料がむしろ高止まりしている点を問題視し、合理的な説明と適正な水準への見直しを求めて協議を続けてきました。
しかし、2015年度以降※2、接続料水準について合意に至ることができなかったため、未合意期間中は相互接続協定に基づき、合意後に改めて合意した事業年度内に精算することを前提として、最終合意年度の接続料水準を暫定的に適用し、ドコモからコルトに対して暫定的な接続料を継続的に支払ってきました。
さらに、2021年にはトラヒック・ポンピング※3の疑いが発覚し、これ以降、ドコモはコルトに対して接続料算定根拠の詳細やトラヒックの内訳について説明を求めましたが、十分な回答が得られませんでした。このような状況を受け、ドコモは協議での解決が困難と判断し、2023年1月に電気通信事業法に基づく総務大臣裁定を申請しました。 - 総務大臣裁定の正当性と当社の主張
2024年7月、総務大臣裁定(「電気通信事業法第35条第3項の規定に基づく株式会社NTTドコモからの申請に係る裁定」)※4により、接続料に関する適正な水準が確定しました。この裁定において示された接続料水準は、電気通信事業法に基づき、総務省が策定した「接続等に関し取得・負担すべき金額に関する裁定方針」※5に従い、適法かつ適正な手続きのもとで算定されたものです。この裁定をもって、ドコモとコルト間の接続料に関する法的拘束力を持つ合意が成立しました。
総務大臣裁定で示された適正な接続料水準は、未合意期間中における暫定的な接続料水準を大幅に下回るもの、つまり、ドコモがこれまで暫定的に支払っていた接続料を大幅に下回るものであり、結果として、ドコモが2015年から約10年に亘り、過払い状態にあったことが明らかになりました。この過払い分は、法的拘束力を持つ合意に基づき精算金としてドコモに返還されるべき金額であり、コルトには速やかに返還する義務があります。
総務大臣裁定後、ドコモは、この裁定に基づく精算金の返還を求めて、コルトと協議を重ねてきましたが、コルトは一貫して返還に応じる意思を示さず、進展のない状況が続いています。このため、ドコモはやむを得ず裁判所を通じた法的判断を求めるに至りました。 - 今後の対応
ドコモは、今回の総務大臣裁定が適法かつ適正な手続きのもと行われたものであると認識しており、裁判の場で、精算金の返還を確実に実現するため最善を尽くしてまいります。
- 接続料とは、ドコモの電気通信設備とコルトの電気通信設備の接続に関して、発信元事業者(ドコモ)が発信先事業者(コルト)に支払う金額のこと。
- 各年度は、4月1日から翌年3月31日まで。
- トラヒック・ポンピングとは、着信インセンティブ契約を締結することにより、トラヒック量を意図的に増大させ、それに伴う接続料収入を増加させる行為のこと。(「
トラヒック・ポンピングの発生に係る着信インセンティブ契約に関する業務改善命令の適用に関するガイドライン」(総務省、2024年9月12日))
「電気通信事業法第35条第3項の規定に基づく株式会社NTTドコモからの申請に係る裁定」(総務省、2024年7月26日)
「接続等に関し取得・負担すべき金額に関する裁定方針」(総務省、2018年1月26日)
別紙 主な時系列
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2014年6月から2016年3月頃
- ドコモが「カケホーダイプラン」を提供開始。
- ドコモのネットワークからコルトのネットワークへのトラヒック(通話量)が大幅に増加。
- ドコモは、コルトに対し接続料水準の見直しに関する協議を開始し、トラヒック量の急増に関してコルトに質問するも明確な回答がなく、協議を継続するも、合意に至らず(IP電話は2015年度、ISDNは2016年度より未合意)。
- 未合意期間中、最終合意年度の接続料水準を適用し、暫定的に支払いを継続(以降、総務大臣裁定まで)。
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2021年7月から2022年12月頃
- 通信事業会社である株式会社BISの関係者の逮捕により、コルトによるトラヒック・ポンピングの疑いが判明。コルトにトラヒック・ポンピングに関して説明を求めた際、着信インセンティブ契約の存在は認めたものの、その内容については守秘義務を理由に開示拒否。
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2023年1月31日
- ドコモが、電気通信事業法第35条第3項の規定に基づき、総務大臣裁定を申請。
- その後、総務大臣は、裁定の手続きにおいて、ドコモおよびコルトに対して、適法かつ適正に答弁・意見提出の機会を付与し、調査を実施。
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2023年3月27日
- コルトから締結済の着信インセンティブ契約の解約を決定した旨の回答を受領。
- 着信インセンティブ契約の解約時期を境にドコモのネットワークからコルトのネットワークへのトラヒック量が激減。
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2024年3月22日
- 総務大臣が電気通信紛争処理委員会に対し、電気通信事業法第160条の規定に基づき、総務大臣裁定案について諮問を実施。
- その後、電気通信紛争処理委員会は、総務大臣、ドコモおよびコルトに対し質問への回答を含む意見書の提出等を求め、意見の聴収を行い、審議を実施。
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2024年6月27日
- 電気通信紛争処理委員会が総務大臣裁定案に関する答申を実施。
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2024年7月26日
- 総務大臣が裁定を実施。総務大臣裁定は電気通信事業法第35条第7項の規定に基づき、当事者間の協議が調ったものとみなされる(法的拘束力あり)。
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2024年7月から同年10月頃
- ドコモはコルトに対し、総務大臣裁定により確定した精算金の返還を求め、複数回協議を実施。
- コルトは返還に応じる意思を示さず、総務大臣裁定内容への不服を表明。
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2025年3月24日
- ドコモがコルトに対して、過払い接続料の返還請求訴訟(接続料精算請求訴訟)を東京地方裁判所に提起。
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