報道発表資料
(お知らせ)世界初、メタマテリアル技術を適用した反射板による、28GHz帯の5Gエリア拡大の実証実験に成功
<2018年12月3日>
株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)は、Metawave Corp.(以下、Metawave)と連携し、第5世代移動通信方式(以下、5G)の実現に向け、2018年11月29日(木曜)に、28GHz帯5G実験装置で構築された5Gトライアルサイト(東京都江東区)にて、メタマテリアル※1反射板※2を用いた5Gエリア拡大の実証実験(以下、本実証実験)に世界で初めて※3成功しました。
本実証実験に使用したメタマテリアル反射板は、ドコモが設置場所の選定・ビーム制御方向などを検討し、Metawaveが設計、開発しました。
5Gで利用が想定される高い周波数帯では、基地局アンテナの見通し外のエリア構築が難しく、解決策として電波の反射の活用が期待されております。これまで電波を反射させる技術として金属反射板がありましたが、反射波の角度のコントロールには電波の入射角の向きを踏まえて金属板の設置をする必要があるため、街中への設置が難しく、郊外における特定の用途に限定されていました。
今回、Metawaveが開発したメタマテリアル反射板は波長に対して非常に小さな構造体をアレー状に配置し、配置場所によって構造体を異なる形状とすることで反射波の方向やビーム形状を任意に設計することが可能なため、ビル壁面などに設置し特定の方向に反射波を誘導できます。これにより街中の設置場所も限定されることなく、高トラヒックエリアにおけるエリア拡大が可能となります。
本実証実験では、5Gトライアルサイトにメタマテリアル反射板を設置し、5G基地局装置が設置されているビルの足元に5Gエリアを形成するための試験を、5G移動局を搭載した車両を走行させて実施しました。結果としてメタマテリアル反射板無しの場合にはスループットが60Mbpsだった足元のエリアが、メタマテリアル反射板からの反射波により560Mbpsとなり、良好な5Gエリアを35mの範囲で拡大できることを確認しました。
ドコモは、今後も5Gエリアの効率的かつ柔軟なエリア構築手法の確立をめざし、メタマテリアルなどのエリア構築技術の研究・開発に取り組んでまいります。
- メタマテリアルとは、波長に対して十分小さい構造体を、アレー状に配置することで、任意の光学特性を有する人工媒質です。
- メタマテリアル反射板は「DOCOMO Open House2018」にて展示予定です。
- ドコモ調べ(2018年12月3日現在)。
別紙 本実証実験概要
1. 本実証実験内容
東京都江東区の5Gトライアルサイトにおいて、5G基地局(エリクソン製、東京国際交流館屋上に設置)と5G移動局(インテル製)を搭載した走行中の実験用車両との間で、28GHz帯の周波数を用いた5Gデータ通信を実施しました。実証実験にて用いたメタマテリアル反射板は、5Gトライアルサイトのエリアが拡大するように反射波の反射方向およびビーム形状を決め、そのビームを形成するように小さい構造体(以下、ユニットセル)を反射板面内で配置したものとなります。本実証実験では、メタマテリアル反射板からの反射波を活用して、東京国際交流館が遮蔽物となって見通し外になってしまうエリアに5Gエリアを形成しています。
2. 本実証実験成果
5Gデータ通信が不可能だったエリアが、メタマテリアル反射板の設置により約35mの範囲で通信品質が改善し、5G移動局を搭載した車両に対し、最大で500Mbpsの通信速度の向上(メタマテリアル反射板無しの場合:60Mbps、メタマテリアル反射板有りの場合:560Mbps)を実現しました。




3. 本実証実験期間
2018年11月19日(月曜)~2018年11月29日(木曜)
4. 使用周波数帯
28GHz帯(帯域幅:366MHz)
5. 本実証実験のシステム構成
実証実験装置・機器の主な仕様 | ||
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5Gシステム | 5G基地局装置 (エリクソン製) |
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5G移動局装置 (インテル製) |
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メタマテリアル反射板 |
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6. 各社の役割
企業名 | 役割 |
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ドコモ |
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Metawave | メタマテリアルの設計・開発 |
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