報道発表資料

新潟市におけるドローン実証プロジェクトに関する連携協定を締結
<2016年9月21日>

株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)は、新潟市、ベジタリア株式会社(以下、ベジタリア)、株式会社自律制御 システム研究所(以下、ACSL)及びエアロセンス株式会社(以下、エアロセンス)と、国家戦略特区である新潟市において、ドローンを活用した水稲のモニタリング及び栽培管理、海岸保安林のマツ枯れ対策及び維持管理の 手法開発を目的として、「水稲プロジェクト」と「海岸保安林プロジェクト」の2つのプロジェクトから成るドローン実証プロジェクトに関する連携協定(以下、本協定)を本日締結いたしました。

「水稲プロジェクト」は、ドコモ、新潟市、ベジタリア、ACSLの4者が、水稲の病害虫の発生状況の監視や収穫時期の予測を目的に、ドローンを活用し、米の品質向上・収穫量増加に取り組みます。
これまでいもち病1などの病害虫の発生及び収穫時期については、目視及び水稲向け水管理支援システム「PaddyWatch」などのセンサを活用して対応しておりましたが、今回ドローンに搭載したカメラで上空からも水田の状況を把握し、その空撮画像を分析することで、より精度の高い収穫予測が期待できます。

「海岸保安林プロジェクト」は、ドコモ、新潟市、ベジタリア、エアロセンスの4者が、海岸保安林のマツ枯れ対策や維持管理の手法開発を目的に、ドローンを活用し、伐倒駆除の効率化とマツ枯れ被害の防止に取り組みます。
全国の海岸保安林は、毎年約50万㎥2のマツ枯れ被害にあっており、これまで被害木の伐倒駆除にあたっては、被害状況を目視によって確認し、作業をしておりました。今回、ドローンに搭載したカメラからの空撮画像の 分析結果とGPSによる位置情報を用いて、より的確に被害木をピンポイントで特定することが期待できます。また、空撮画像を立体視して被害木の高さを測定する取り組みも予定しており、伐採業者による被害木の高さを測定する作業が省略でき、低コスト化につながります。

ドコモは、2つのプロジェクトに、ディープラーニング3を用いた高精度な画像分析技術で貢献いたします。ドローンからの撮影データと、地上でのセンサや人手により収集するデータを組み合わせ、ビッグデータとして分析することで、より精度の高い情報を抽出して、本実証プロジェクトに役立ててまいります。

ドコモは、パートナーとともに新たな価値を協創する「+d」の取り組みを推進しており、本協定を通じて、従来の取り組みに加え、ドローンを活用して、農業や林業における作業の効率化による品質や生産性の向上に貢献してまいります。

  1. 古来から稲に発生する定型的な病気であり、大幅な減収と共に食味の低下を招く。
  2. 林野庁「平成27年度 森林病害虫被害量」より。
  3. ディープラーニングとは、人が何かの画像を見たときには、過去の学習から特徴を照らし合わせ、脳内で無意識にプロセスをたどった結果として近いモノを関連づけ、画像が何かを判断します。この脳神経での情報処理メカニズムを参考に作られたのが「ニューラルネット」という機械学習手法であり、これを多層にして組み合わせたものを「ディープラーニング」と呼びます。

別紙1 実証プロジェクトの概要

1. 概要

国家戦略特区である新潟市において、ドローンを活用した水稲のモニタリング及び栽培管理、海岸保安林のマツ枯れ対策及び維持管理の手法開発を目的とする「水稲プロジェクト」と「海岸保安林プロジェクト」の2つのプロジェクトから成るドローン実証プロジェクト。

2. 新潟市および各社の役割

  1. 新潟市
    • 新潟市における水田や海岸保安林のフィールド提供
    • プロジェクトに必要な規制緩和の国への提案
  2. ドコモ
    • 画像データの分析1
    • 水稲向け水管理支援システム「PaddyWatch」に搭載する通信モジュールの提供
  3. ベジタリア
    • 植物医師によるドローンで撮影した画像の診断及び分析した画像データの評価
    • 立体視による新しい材積算出策定
    • 水稲向け水管理支援システム「PaddyWatch」/屋外監視計測システム「FieldServerⅤ」/葉面濡れセンサの提供
  4. ACSL
    • 「水稲プロジェクト」におけるドローン機器及びカメラの提供、機器操作
    • 空中からの画像撮影、撮影画像の提供
  5. エアロセンス
    • 「海岸保安林プロジェクト」におけるドローン機器及びカメラの提供、機器操作
    • 空中からの画像撮影、撮影画像の提供

3. 実施内容

  1. 水稲プロジェクト<新潟市、ドコモ、ベジタリア、ACSL>
    時期(予定) : 2016年9月21日(水曜)〜2018年3月31日(土曜)
  2. 海岸保安林プロジェクト<新潟市、ドコモ、ベジタリア、エアロセンス>
    時期(予定) : 2016年9月21日(水曜)〜2017年3月31日(金曜)
  1. 画像のデータ分析については、一部、株式会社オプティムと連携いたします。

別紙2 各社の概要

ドコモの会社概要
ドコモ
会社名 株式会社NTTドコモ
代表者 代表取締役社長 吉澤 和弘
所在地 東京都千代田区永田町2丁目11番1号 山王パークタワー
資本金 9,496億8,000万円(2016年3月末日現在)
営業開始 1992年7月1日
従業員数 7,616名/当社グループ26,129名(2016年3月末日現在)
事業内容
  • モバイル通信事業
  • スマートライフ事業
ベジタリアの会社概要
ベジタリア
会社名 ベジタリア株式会社
代表者 代表取締役社長 小池 聡
所在地 東京都渋谷区桜丘町26番1号 セルリアンタワー
資本金 5億673万円(2016年8月末日現在)
営業開始 2010年10月22日
従業員数 22名/当社グループ74名(2016年8月末日現在)
事業内容
  • IoT/M2Mセンサ事業
  • クラウド、データ解析事業
  • アプリケーション開発事業
  • 植物科学応用事業
  • 農業生産事業
ACSLの会社概要
ACSL
会社名 株式会社自律制御システム研究所
代表者 代表取締役 野波 健蔵
所在地 千葉県千葉市美浜区中瀬2丁目6番地1 WBGマリヴウエスト32階
資本金 4億7,200万円(2016年3月末日現在)
営業開始 2013年11月1日
従業員数 42名(2016年9月1日現在)
事業内容 自律制御型各種ロボットシステムのハードウェア、ソフトウェアの研究開発、製造および販売、運用および管理
エアロセンスの会社概要
エアロセンス
会社名 エアロセンス株式会社
代表者 代表取締役 谷口 恒
所在地 東京都文京区小石川5丁目41番10号
資本金 1億円(2016年9月1日現在)
営業開始 2015年8月3日
事業内容 自律型無人航空機によるセンシングとクラウドによるデータの処理、管理を組み合わせた産業用ソリューションの開発、製造、販売

参考 いもち病及びマツ枯れ被害について

1. いもち病について

  1. いもち病とは
    稲に発生する定型的な病気であり、大幅な減収と共に食味の低下を招く水稲の主要病害の一種。
    品質に関しては、主に気候の変動の影響が大きく、夏場の高温によって発生しやすい。
  2. 新潟市における被害状況
    新潟市は、耕地面積や米産出額が全国トップクラスの大農業都市であるため、一度被害にあってしまうと、品質だけでなく、農家の収入に大きな影響を与えてしまう。
  3. 検査方法
    • 目視での確認
    • 「PaddyWatch」などのセンサによる監視

2. マツ枯れ被害について

  1. マツ枯れ被害とは
    海沿いの暮らしを守るための海岸保安林のマツの樹体内でマツノザイセンチュウが活動し、通水阻害を起こしてマツが枯損。衰弱したマツに産卵するマツノマダラカミキリがマツノザイセンチュウを媒介することで、マツ枯れ被害が周囲に拡大。
    全国のマツ枯れ被害量は、昭和54年度(243万㎥)を境に減少傾向にあるものの、マツ枯れ被害は最大の森林病虫害であり全国各地で被害が発生している状況。
  2. 新潟市における被害状況
    年度によって被害状況に変化はあるものの、伐倒作業費には人手と膨大は費用がかかってしまう。
  3. 検査方法
    • 年2回(秋・冬)区単位で被害木調査を実施
    • 業者に委託または市職員による調査
<参考>新潟市におけるマツ枯れ被害(年度別)
年度 新潟市被害材積 新潟県被害材積
2015年度 1,808㎥ 15,625㎥
2014年度 4,590㎥ 27,217㎥
2013年度 4,909㎥ 41,310㎥
2012年度 5,402㎥ 25,639㎥
2011年度 5,906㎥ 22,856㎥
2010年度 1,770㎥ 6,014㎥

報道発表資料に記載された情報は、発表日現在のものです。仕様、サービス内容、お問い合わせ先などの内容は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

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