世界主要ベンダー3社とネットワーク仮想化の実証実験に成功
<2014年5月27日>
株式会社NTTドコモ(以下ドコモ)は、通信混雑時に通信のつながりやすさを向上させ、今後の新たな通信サービスを迅速に提供する、ネットワーク仮想化に基づく次世代モバイルネットワークの実現に向け、Alcatel-Lucent(以下ALU)、シスコシステムズ(以下Cisco)、日本電気株式会社(以下NEC)の3社と2013年11月にそれぞれ協力関係を構築し、この度ネットワーク仮想化技術に関する実証実験1 に成功いたしました。
ネットワーク仮想化技術とは、通信混雑時に通信のつながりやすさを向上させ、通信設備故障時に通信サービスの継続を可能とする新しい技術です。また、新たなお客様ニーズに即した通信サービスの迅速な提供や高い経済性も期待できることから、2012年より世界の様々な業界団体における標準化、及びベンダーにおける製品開発が進められています。
ドコモは、ETSI ISG NFV2 等の国際標準化団体でネットワーク仮想化に基づく次世代モバイルネットワークの標準化に関わる主導的な活動を行っております。
今後は、今回の実証実験結果に基づいて、更なる通信機器市場の活性化のため、ALU、Cisco、NECの3社に加え、その他ベンダーとの協力関係の構築を進めます。また、通信設備を構成するハードウェアやソフトウェアを複数のベンダーで自由に組み合わせた実証実験を行い、2015年度の商用化をめざします。
【実証実験の概要】
この度成功した実証実験では、LTEのデータ通信機能を担うEPC(Evolved Packet Core)3 のソフトウェアに仮想化技術を適用し、EPCの基本的な動作を確認いたしました。
加えて、EPCを管理するシステムからの制御により、お客様が利用するデータ通信量に応じて処理能力を増やす機能や、ハードウェアが故障した際に自動的かつ短時間で別のハードウェアを用いて予備構成を再構成し、データ通信を安定的に継続する機能の動作確認を行いました。
- 1 実証実験とは、概念実証実験(PoC(Proof of Concept))を指し、新たな概念の実現可能性を示すための実験のことを言います。
- 2 ETSI(European Telecommunications Standards Institute)のISG NFV(Industry Specification Group Network Functions Virtualisation)は、通信事業者が主導しEPCをはじめとしたネットワーク機能の仮想化を実現するアーキテクチャや要求条件をまとめることを目的として設立され、33社の通信事業者を含む計207社が所属しております。(2014年5月16日)
- 3 EPCとは、LTEをはじめとした多様な無線アクセスを収容し、お客様の認証や移動しながらもデータ通信が継続するための移動制御、課金機能等を提供する通信設備です。
別紙 実証実験内容の詳細
1. ネットワーク仮想化の概要
ETSI ISG NFVで実現をめざしているネットワーク仮想化では、これまで専用ハードウェア上で動作していたEPC等の通信ソフトウェアを、仮想化レイヤが搭載された汎用のハードウェア上で動作させます。仮想化レイヤ上での通信ソフトウェアの追加・切替等の制御は仮想化管理システムからのソフトウェア制御によって実現され、これにより、管理下に構築されたどのハードウェア上でも動作させることが可能となります。この度の実証実験では、ネットワーク仮想化の一形態として、EPC仮想化に関する実証実験を行いました。
2. 各ベンダーとの実験内容
- お客様が利用するデータ通信量に応じて通信設備の処理能力を増やす機能
本機能は、LTEデータ通信量が増加した通信設備が通信量増加の通知を送信し、その通信設備を管理する仮想化管理システムがその通知を受信し、他の通信設備の追加制御を行う指示を出すことにより実現いたします。
- 通信設備が故障した際に自動的かつ短時間で別の通信設備を用いて予備構成を再構成し、データ通信を安定的に継続する機能
本機能は、故障した通信設備の障害をその通信設備を管理する仮想化管理システムが検出し、別の通信設備への切替制御を行うことにより実現いたします。
3. 各ベンダーからのコメント
<ALU>
Sri Reddy, VP and GM of Alcatel-Lucent's Service Router Product Business Unit
Dor Skuler, VP and GM of Alcatel-Lucent's CloudBand Business Unit
ドコモと協力し、モバイル技術の仮想化を発展できることは大変光栄です。
本プロジェクトは業界のNFV商用導入へ向けた動きが加速している事実を示すものです。
当社のCloudBandプラットフォーム及び仮想化EPC(vEPC)はNFV環境で必要不可欠なオープン性、マルチベンダー性を実現していきます。
<Cisco>
Kelly Ahuja, Senior Vice President and General Manager, Mobility Business Group, Cisco
モバイルコミュニケーションにおける、ドコモのビジネス、テクノロジー両面でのイノベーションに関する継続的な取り組みは賞賛すべきものです。
今回、モバイルインターネットアーキテクチャー仮想化の実現に向けてドコモと協業できることを大変嬉しく思います。モバイル業界の世界的なリーダーが、利用者にとって価値を生み出す、ネットワーク仮想化を推進するのは、非常にエキサイティングなことです。
<NEC>
日本電気株式会社 執行役員常務 手島 俊一郎様
NECはドコモと協力して仮想化モバイルコア技術の実験が行えることを光栄に思います。
本実証実験において、仮想化プラットフォームがNFVで求められる機能を有していることを確認しました。NECは、引き続きドコモおよびNFV関連の業界全体と協力しつつ、柔軟、迅速かつサービスに最適なネットワークを実現するグローバルソリューションを提供していきます。
報道発表資料に記載された情報は、発表日現在のものです。仕様、サービス内容、お問い合わせ先などの内容は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。