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2026年7月

Activity Reports

2026年「日本ITU協会賞」受賞

2026年5月15日に開催された「第58回世界情報社会・電気通信日のつどい」において,無線アクセスデザイン部の増田 昌史が日本ITU協会賞「功績賞」を,6Gテック部の芝池 尚哉,サービスデザイン部の谷口 航介が日本ITU協会賞「奨励賞」を受賞しました.
日本ITU協会賞は,電気通信/ICTと放送分野に関する国際標準化や国際協力の諸活動において,これまでに優れた功績を遂げられた者ならびに今後の貢献が期待される者に贈呈されるものです.功績賞は,ITU(International Telecommunication Union)の活動または我が国のITU関係諸活動への貢献,世界情報社会サミットにおける基本宣言または行動計画の実現への貢献,情報通信,放送または郵便の分野における国際協力活動への貢献その他情報通信または放送に係る国際的な活動に関する功績が著しい者に贈られます.また,奨励賞は,功績賞に該当する諸活動にすでに参加し,今後これらの領域において継続して寄与することが期待される者に贈られます.
増田は,O-RAN ALLIANCE(無線アクセスネットワークのオープン化・インテリジェント化を推進する国際団体)幹部としてRANオープン化・標準化を主導し,世界初のマルチベンダ5G商用化や仮想化無線アクセスネットワーク(vRAN:virtualized Radio Access Network)/サービスマネジメント・オーケストレーション(SMO:Service Management and Orchestration)実用化を達成しました.さらに,エコシステム構築により新興国事業者などの導入障壁を下げ,ITU-D(ITU telecommunication Development sector)がめざす通信インフラ高度化とデジタル・ディバイド解消にも貢献をしたことが評価されました.
芝池は,3GPP標準化において,5G向け新無線方式(5G NR(New Radio))の上りリンク通信のスループット向上およびカバレッジ拡張を達成するための技術に関する標準仕様作成に向けた技術議論を主導しました.さらに,IMT-2020に対応する5Gおよび,その技術拡張としての5G-Advancedのモバイルブロードバンド高度化を実現する標準仕様策定に貢献したことが評価されました.
谷口は,NFV(Network Function Virtualization)とオープン無線アクセスネットワーク(O-RAN:Open Radio Access Network)の双方で標準化議論を牽引し,vRAN自動構築,省電力制御,汎用装置監視機能部(Generic EM(Element Manager))などの要件を具体化しました.さらに,主要オペレータ間の要望調整を主導し,両仕様の整合を確立することで,広域に展開されるvRAN仮想化基盤の実装容易化と運用自動化を促進し,仮想化技術の産業実装に大きく貢献したことが評価されました.

第71回「前島密賞」受賞

2026年4月9日に,サービスイノベーション部の越智 大介,宮木 健一郎,滝村 祥司,データプラットフォーム部の山田 直治,マーケティングイノベーション部の生田 友裕は,「人々の行動データに基づく顧客理解エンジンdocomo Senseの開発と実用化」の功績により,第71回「前島密賞」を受賞しました[1].
前島密賞は,逓信事業の創始者「前島 密」氏の功績を記念し,その精神を伝承発展せしめるため1955年に設けられ,情報通信および放送の進歩発展に著しい功績があった者に,公益財団法人通信文化協会により授与されるものです.
受賞者らは,スマートで豊かな社会の実現に向けて,約1億人のdポイントクラブ会員の行動データをサイバー・フィジカルの両面から横断的に解析し,行動を推定・予測する技術であるdocomo Senseを開発・実用化し,企業の収益向上のほか,地域活性化や被災地における支援などで幅広く活用されるなど社会に貢献している点が高く評価されました.
越智は,全体統括者として,位置解析技術およびスコアリング技術の深化,新しい事業領域への活用拡大および先端技術を取り入れた新技術探索を主導しました.具体的には,マーケティング活用促進,docomo Senseの機能を組み込んだプロダクト開発の促進,位置解析技術を用いた震災対応向けシステム開発などを牽引しました.
宮木は,サイバー・フィジカル空間の行動データを統合的に分析するスコアリング技術を担当しました.特に,顧客群を簡単に多面的に分析して特徴を抽出するプロファイリング分析技術の開発を主導しました.また,ドコモサービスをレコメンドするエンジンを開発し,お客さまの幅広い行動・潜在ニーズ把握と利便性向上に貢献しました.
滝村は,サイバー・フィジカル空間の行動データを統合的に分析するスコアリング技術を担当しました.特に,お客さまの興味関心や,引越し・結婚などのライフイベントを精度よく推定する技術を開発し,docomo Senseにおいて,お客さまの幅広い行動・潜在ニーズ把握を可能とするなど,事業拡大に貢献しました.
山田は,位置情報解析技術開発,システム開発,活用推進を主導し,特に位置情報解析技術開発では,コアとなる技術の特許を取得しました.また,システム開発では,dポイントクラブ会員約1億人のサイバー・フィジカル空間の行動データを統合的に分析するシステム開発を統括し,自治体の災害対応などへの活用を推進しました.
生田は,主に位置解析技術とスコアリング技術を担当しました.位置解析技術では,施設情報やイベント情報,路線・道路情報を活用することで,野球場などの訪問施設や,野球観戦といった詳細な行動を推定する技術の開発,また,商品購買情報などを活用した商品購買予兆者のスコアリング技術の開発に携わりました.
なお,本技術は2026年4月6日に2025年度情報処理学会業績賞も受賞し[2],社会・産業への貢献のみならず,技術的な成果と価値も世の中に広く認められました.

2025年度 情報処理学会「業績賞」受賞

2026年6月15日に一般社団法人情報処理学会より,サービスイノベーション部の越智 大介,冨樫 勇哉,山路 大樹,依田 玲央奈,データプラットフォーム部の山田 直治は,「人々の興味や行動を理解する顧客理解エンジンdocomo Senseの開発と実用化」の功績により業績賞を受賞しました.
業績賞は,産業界における顕著な業績を顕彰するため,平成13年度に新設され,情報技術に関する新しい発明,新しい機器や方式の開発・改良,あるいは事業化プロジェクトの推進において,顕著な業績をあげ,産業分野への貢献が明確になったものに対して贈られるものです.
受賞者らは,スマートで豊かな社会の実現に向けて,約1億人のdポイントクラブ会員の行動データをサイバー・フィジカルの両面から横断的に解析し,行動を推定・予測する技術であるdocomo Senseを開発・実用化し,企業の収益向上のほか,地域活性化や被災地における支援などで幅広く活用されるなど社会に貢献している点が高く評価されました.
なお,本技術は2026年4月9日に第71回「前島密賞」も受賞し[1],技術的な成果と価値のみならず,社会・産業への貢献も世の中に広く認められました.

映像情報メディア学会 第66回・2025年度「丹羽高柳賞 論文賞」受賞

2026年5月29日に一般社団法人映像情報メディア学会より,クロステック開発部の春山 知生,塚谷 俊介,北出 卓也が,共著論文「マルチモーダルデータを活用した映像の文脈考慮に基づく動画コンテンツにおけるミッドロール広告の挿入位置最適化」[1]に対する「第66回・2025年度 丹羽高柳賞 論文賞」を受賞しました.
丹羽高柳賞は,映像情報メディアに関する学術および技術の発展に大きく貢献した優秀な業績を表彰するものであり,論文賞は,過去5年以内に学会誌に発表された論文のうち,特に優秀で独創性に富み,学術的または実用的な価値が高いと認められた研究に授与されます.本論文の研究課題である動画広告挿入の最適化はデジタル社会における重要性と先駆性を有すること,また提案技術は創造性と新規性を有した上,被験者実験を通じて提案スキームの実用性を検証したことが評価され,今回の論文賞受賞に至りました.
具体的には,スマートフォンなどに付帯するセンサ情報を用いずに映像から取得されるマルチモーダルデータのみを対象とし,Transformerを用いた大域的な映像の文脈考慮および音声情報の解析を行うことで,視聴者の視聴体験を妨げないミッドロール広告の挿入位置を自動で決定します.ミッドロール広告は高い広告効果が期待できる一方で視聴者に嫌悪感を抱かせる要因となるため,映像の文脈に合わせて適切なタイミングで広告を挿入する手法を提案することで,視聴者と広告主の双方が満足できる新たな視聴体験の実現につながることが期待できます.
ドコモでは,映像配信サービスにおける付加価値の向上をめざし,AIやデータ解析を活用した映像・メディア技術の研究開発に取り組んでいます.今後も同分野における先行研究や技術革新を推進し,そこで得られた知見や技術を通じて,お客さまに新たな付加価値を提供できるよう取り組んで参ります.

  • [1] 春山 知生,塚谷 俊介,北出 卓也:“マルチモーダルデータを活用した映像の文脈考慮に基づく動画コンテンツにおけるミッドロール広告の挿入位置最適化,”映像情報メディア学会誌,Vol.79,No.4,pp.446-452,2025.
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/itej/79/4/79_446/_article/-char/ja別ウインドウが開きます
  • [2] 水野 涼介,春山 知生:“MIRU2025 展示紹介 〜スマート農業、映像コンテンツ解析、自動運転バス遠隔監視システムの研究開発と社会実装〜,”NTTドコモ開発者ブログ,Jul.2025.
    https://nttdocomo-developers.jp/entry/image-tech-00別ウインドウが開きます

電子情報通信学会 2025年度「通信ソサイエティ論文賞」受賞

2026年5月15日に一般社団法人電子情報通信学会通信ソサイエティより,6Gテック部の中村 敦也†,須山 聡,蒋 恵玲が,共著英文論文「Experimental Trials of 5G Transmission in 28 GHz and 3.7 GHz Bands and Investigation of Realistic Performances in Manufacturing Factory」に対する2025年度通信ソサイエティ論文賞のBest Paper Awardを受賞しました.本賞は,2024年10月から2025年9月までの1年間に電子情報通信学会通信ソサイエティの英文論文誌に掲載された論文の中で特に優秀と認められた論文に与えられるものです.
受賞の対象となった論文は,産業分野における5G活用の高度化をめざし,実際の製造工場において,ミリ波帯およびsub-6GHz帯を用いた5G実証実験の結果とその考察について述べています.実証試験では,工場内を走行する自律走行搬送ロボット(AMR:Autonomous Mobile Robot)を用いて,28GHz帯および3.7GHz帯における5G無線伝送特性を取得・評価し,製造工場におけるそれぞれの優位性を確認するとともに,特に下りリンクスループットおよび下りリンク遅延の観点で,ミリ波活用の有効性を明らかにしています.さらに,稼働中の工場で定点測定を行うことで,作業者や走行ロボットの動作が5G特性に与える影響を定量的に可視化・評価し,製造工場における5G活用の課題やその解決策についても論じています.
本論文のこれらの内容は,今後の産業ユースケースにおける5Gの普及・発展において重要性を有しており,実際の製造工場を用いて明らかにした実験結果や評価観点の新規性・先進性が高く評価され,今回の論文賞受賞に至りました.

† 現在,無線アクセスデザイン部

電子情報通信学会 第82回「論文賞」受賞および第8回「最優秀論文賞」受賞

2026年6月4日に一般社団法人電子情報通信学会より,無線アクセスデザイン部の木村 泰子,電波企画室の井上 祐樹,横浜国立大学の新井 宏之氏が共著した和文論文「八木・宇田アンテナを用いた28GHz帯室内基地局用マルチセクタアンテナの設計と伝搬試験評価」が論文賞および最優秀論文賞を,6Gテック部の富永 貴大,須山 聡,北尾 光司郎,久野 伸晃とNTTの猪又 稔氏,山田 渉氏,佐々木 元晴氏が共著した英文論文「High-Performances Color Images Method for Estimating Radio Propagation Characteristics of Outdoor Environments」が論文賞を受賞しました.
論文賞は,2024年10月から2025年9月までの1年間に電子情報通信学会の和英文論文誌8誌に掲載された論文の中で,電子工学および情報通信分野の学問・技術の発展に寄与する優秀な論文に贈呈される賞です.また,最優秀論文賞は,第82回論文賞として選定された12編の中から,最も優秀と認められた1編に贈呈される賞です.
「八木・宇田アンテナを用いた28GHz帯室内基地局用マルチセクタアンテナの設計と伝搬試験評価」の背景として,移動通信システムでは,5Gの高度化および6Gに向けて今後もトラフィックの増加が見込まれており,高速・低遅延・大容量通信を実現するため,準ミリ波帯をはじめとする高周波数帯の活用が進められています.一方,高周波数帯では遮蔽損失が大きく,通信可能な範囲が限定されるため,Massive MIMO(Multiple Input Multiple Output)による高利得アンテナが導入されています.しかし,Massive MIMOでは,アンテナおよび信号処理回路の規模が大きくなり,基地局装置の大型化や消費電力の増大が課題となります.この課題を解決する1つの方法として,3GPP(3rd Generation Partnership Project)仕様に基づくマルチビームアンテナ方式があります.
本論文では,少ないブランチ数で基地局の水平面全方位をカバー可能なアンテナ構成と,簡易に製作可能な高利得マルチセクタアンテナの実現を目的として,八木・宇田アンテナを用いた28GHz帯室内基地局用マルチセクタアンテナを提案しています.高利得素子を実現するため,誘電体基板上にバラン付き回路給電を用いたダイポール構成の八木・宇田アンテナ素子を採用し,さらに平面反射板を配置することで,サイドローブの低減と素子間結合量の抑制を図りました.これにより,アンテナ利得15dBi以上を達成しました.また,本アンテナ素子をV偏波用およびH偏波用として交互に合計12素子を円形に配置することで,直径150mm以下の12セクタマルチセクタアンテナを実現しました.さらに,室内オフィス環境を想定したシールドルーム内において伝搬試験を実施し,提案アンテナが各ブランチを活用したエリア構築に有効であることを確認しました.本論文は,コンパクトな高利得アンテナ構成により十分なMIMO効果が得られることを示すとともに,高周波数帯の有効活用に資する有望な技術を提示するものであり,今回の論文賞および最優秀論文賞受賞に至りました.
「High-Performances Color Images Method for Estimating Radio Propagation Characteristics of Outdoor Environments」が対象とする移動体通信システムにおいて,基地局から端末までの電波伝搬特性を高速かつ高精度に推定することができれば,基地局の最適な設置,基地局の動的なパラメータ最適化およびシステム全体の低消費電力化などに寄与できます.特に6Gシステムでは,さまざまな周波数を利用する膨大な数の基地局を最適化する必要があるため,より高速かつ高精度な電波伝搬特性の推定法が要求されています.これまで電波伝搬特性の推定にはレイトレース法が広く利用されてきましたが,計算時間と推定精度の両面に課題がありました.
本論文では,高速かつ高精度に電波伝搬特性を推定できる手法として,画像処理に基づいたカラーイメージ法を提案しています.提案手法では,電波が散乱する建物の壁を特定するために,あらかじめ評価エリア内の全建物の壁に対して異なるRGB色を割り当てます.その上で,送受信点のそれぞれから見た視界をRGB画像として作成し,それら2枚の画像間の色比較を行います.2枚の画像内に同色の壁が存在する場合,その壁を「電波が散乱する壁」とします.次に,当該壁のピクセル数をカウントします.このピクセル数は,送受信点から壁までの距離や角度に応じた「見かけの面積」に相当します.そのため,ピクセル数に送信電力とアンテナ利得を乗算することで,当該壁による電波の散乱強度を計算することが可能です.さらに,送受信点および当該壁の位置関係から,伝搬経路の遅延時間や角度情報も計算できます.複数の屋外環境および周波数における伝搬損失の実測結果を用いて,計算時間と推定精度の比較を行った結果,提案手法はレイトレース法に比べて計算時間を数百分の一以下に短縮でき,推定誤差の標準偏差を7dB以上改善できることを確認しました.このように本論文は,移動体通信システムに対する高速かつ高精度な電波伝搬特性の推定法の実現という課題に対して,画像処理という新たな視点を導入し,その解決の方向性を示すものであり,今回の論文賞受賞に至りました.

「2026 Japan AWS Top Engineers」受賞

2026年6月25~26日に幕張メッセで開催された「AWS Summit Japan 2026」において,サービスイノベーション部の中村 拓哉,北村 太知,小澤 遼が「2026 Japan AWS Top Engineers[1]」に選出されました.
なお,3人はAWS認定資格をすべて保持しているAWSエンジニアに贈られる「2026 Japan All AWS Certifications Engineers[2]」にも同時に認定されました.
今回の表彰プログラムは,APN(AWS Partner Network)参加企業に所属するAWSエンジニアを対象にした日本独自のもので,「2026 Japan AWS Top Engineers」は,特定のAWS認定資格をもち,AWSビジネス拡大につながる技術力を発揮した活動を行っている方,または技術力を発揮したその他の重要な活動や成果がある方が対象で,AWS Japanがそれらを審査し選出します.
中村は,ドコモグループにおいてパブリッククラウド活用を推進するチームであるCCoE(Cloud Center of Excellence)の技術リードとして,社内勉強会の開催やクラウドセキュリティ高度化のための統制基盤の開発,記事執筆やイベント登壇による知見の共有といった活動が高度な技術力を発揮していると評価され,「2026 Japan AWS Top Engineers (Service)」に選出されました.中村は今年で3年連続の選出となります.
北村は,ドコモグループにおけるCCoEの技術リードとして,社内勉強会の開催やAWSに関する記事の執筆,クラウドセキュリティ高度化のための統制基盤の改善,および社内のクラウドソリューションを社外へ商用展開する礎を築いたことが評価され「2026 Japan AWS Top Engineers (Service)」に選出されました.
小澤は,約9,000万人規模の4G/5Gネットワークを支えるAWS上の分析基盤において,通信機器が出力する制御データを分析可能な形へ変換する高度な機能の開発・刷新や,分析基盤の設計・開発をチームの技術リードとして主導しました.あわせて,社内のネットワーク系部署向け勉強会の運営や,参加者300名超のAWSユーザグループのカンファレンス「JAWS FESTA 2025 in 金沢[3]」への登壇,BigData-JAWSでのイベント主催,企業横断の勉強会の主催など,社内外でのコミュニティ活動にも取り組みました.これらが評価され,2年連続で「2026 Japan AWS Top Engineers (AI/ML Data Engineer)」に選出されました.

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