Activity Reports
世界最大級のAIデータ分析プラットフォーム「Kaggle」で金メダルを獲得
ドコモの鈴木 明作,宮木 健一郎らのチーム(以下,本チーム)は,世界最大級のAIデータ分析コンペティションプラットフォーム「Kaggle(カグル)」[1]で2025年7月から開催された国際コンペティション「Jigsaw - Agile Community Rules Classification」[2](以下,本コンペティション)において,全2,445チーム中11位に入賞し,金メダルを獲得しました.また鈴木は,この金メダル獲得に伴いKaggleのコンペティションに参加している約20万人*1の上位約1%に相当する「Kaggle Master*2」の称号を獲得しました.
Kaggleは,AIデータ分析コンペティションプラットフォームです.2,700万人以上*1のデータサイエンティストや機械学習エンジニアなどがKaggleに登録をしており,実社会の課題に対して最先端のアルゴリズムを活用し,その精度を競います.本コンペティションでは,コミュニティルール配下におけるテキスト分類がテーマであり,オンライン掲示板「Reddit」[3]に投稿されたコメントが,コミュニティごとに設けられたルール(広告掲載の禁止など)に違反しているかを判定するタスクが設定されました.本チームは,コミュニティのルールと投稿文に対して多様なAIモデルを適用し,投稿文がどの程度ルールに違反しているかを予測する手法を提案することでタスクの解決につなげることができました.
ドコモでは,ビッグデータを活用した広告ターゲティングのための顧客理解エンジン「docomo Sense®*3」[4]など,大規模言語モデルを始めとするAIを活用した技術開発に取り組んでいます.ドコモは,今後もデータサイエンス分野の人材育成に向け,Kaggleを始めとするさまざまなコンペティションへの社員参加を推奨し,最先端かつ世界最高峰のAI技術を習得してもらうとともに,そこで得られた知見や技術を活用した新たな付加価値をお客さまに提供できるよう取り組んで参ります.
文献
- [1] kaggleホームページ.https://www.kaggle.com/
- [2] kaggl:“Jigsaw - Agile Community Rules Classification.”https://www.kaggle.com/competitions/jigsaw-agile-community-rules
- [3] redditホームページ.https://www.reddit.com/
- [4] NTTドコモマーケティングソリューション:“顧客理解エンジン「docomo Sense」.”https://ssw.web.docomo.ne.jp/marketing/strengths/sense/
- 2025年11月21日時点.
- Kaggleでは個人のメダル獲得枚数に応じて4つのランクが設定されており,上から2番目のKaggle Masterは金メダル1枚と銀メダル2枚以上の獲得が条件となっている.
- 「docomo Sense」は,株式会社NTTドコモの登録商標.
世界最高峰のデータ分析競技会「RecSys Challenge 2025」で世界第3位入賞 ―ドコモのAI・ビッグデータ分析技術が世界で高く評価―
2025年9月22日に,サービスイノベーション部の滝村 祥司,橋本 雅人,明石 航,若元 亮樹,古山 凌,宮木 健一郎の計6名がRecSys Challenge 2025に参加し,世界第3位に入賞しました.
RecSys ChallengeはACM(Association for Computing Machinery)が主催する,推薦システム分野における世界最高峰の国際会議RecSys(ACM Conference on Recommender Systems)にて開催されたデータ分析競技会で,グローバル企業が実際に直面するビジネス課題に対してデータサイエンスや機械学習などの技術を用いた解決策を提案し,その精度を競うものです.
RecSys Challenge 2025のテーマは,AIモデルの開発や維持にかかるコストの増大という現代的な問題解決のために,ECサイトでの商品購買予測や休眠予測などの各種ユースケースにおいて,AIモデルを開発する際に共通して利用できるユーザの購買行動プロファイルであるUBP(Universal Behavioral Profiles)を構築することでした.そうすることで各ユースケースに特化したAIモデルの開発が不要となるため,結果的にコスト削減に繋がります.本競技会では,離反予測や商品購買予測など計6つのユースケースを課題として,参加者が作成したUBPを主催者の用意したAIモデルに入力することで各課題での精度を競いました.6つの課題のうち,3つは公開課題として内容が公開され,残り3つは非公開課題として競技期間中は非公開となっていました.
この課題に対しドコモは,ユーザの購入頻度や間隔などの統計情報から作成したユーザの購買特徴量と,ユーザと商品や商品同士の複雑な関係性をとらえるグラフ型AIモデルとを組み合わせるハイブリッド手法を考案しました.これにより,単独ではとらえきれない情報を購買特徴量とグラフ型AIモデルが相互に補完し,より多角的で正確なユーザ行動プロファイルを表現することで,3つの公開課題および3つの非公開課題すべてにおいて,単独のアプローチを上回る性能向上を達成し,その有効性を示しました.
ドコモはRecSys Challengeにおいて初出場でかつ初入賞となります.ドコモでは多数のデータサイエンティストを擁し,日頃からパートナー企業との共創の中で,AI・ビッグデータを有効活用し,さまざまな課題の解決に取り組んできたことが,今回の受賞に繋がりました.本大会で評価された世界最高レベルのAI・ビッグデータ分析技術を活用し,AI・ビッグデータ活用ビジネスの拡大とともに社会課題解決の取組みを促進していきます.
CEATEC AWARD 2025「経済産業大臣賞」受賞
2025年10月14~17日に幕張メッセで開催された「CEATEC® 2025」において,ドコモが開発する「“痛み”の共有による相互理解の深化を実現するプラットフォーム」が「CEATEC AWARD 2025」にて「経済産業大臣賞」を受賞しました[1].
CEATEC AWARD 2025は,日本中,世界中の最先端テクノロジが集まるCEATECにおいて,特にイノベーション性が高く,優れていると評価された出展製品・技術・サービスに授与されるものです.今回受賞した「経済産業大臣賞」は,3つある大臣賞の中でも,AIや量子コンピューティング,ロボット技術など先進テクノロジを活用して,デジタル社会・経済に新たな価値を生み,暮らしや社会,ビジネス,産業における課題解決と変革を促す案件,また革新的なものづくり,IoTを利活用したサービス,あるいは産業のDX(Digital Transformation)を推進する横断的な技術開発など,今後のデジタル社会の進展に最も寄与すると評価される応募者が表彰されます.
本技術は,痛覚に関するデータを把握する機器(センシングデバイス),痛覚の感度に対する個人差を推定し共有する「人間拡張基盤®」と,痛覚を再現する駆動機器(アクチュエーションデバイス)の3つを基本として構成し実現するものです.「人間拡張基盤」というプラットフォームに蓄積されたデータを基に,共有元と共有先の個人差の比較や評価を行い,共有先にとって最適化された形で感覚や動きを共有するドコモオリジナルの技術や,関連する技術を集め基盤を作り上げた取組みが評価されました.
「人間拡張基盤」は,人間の感覚をネットワークで拡張し,共有元の動作や感覚を共有先である他者の身体や感じ方に合わせて変換し共有する,ドコモオリジナルの技術です.個人の主観に依存し,感じ方に個人差があるために,伝えたくても伝えることができなかった感覚や感情などを相手に合わせて伝えることで,新しいコミュニケーション,そして真に「解り合う」世界の実現をめざして取り組んでいます.これまでには,動作や触覚,味覚を共有する技術の開発に取り組んできました[2].今回新たに開発した技術により,痛みの共有が可能となり,医療・福祉やエンターテインメント,誹謗中傷のような心理的ダメージが可視化されにくい領域など,さまざまな分野での活用が期待されています[3].
文献
- [1] NTTドコモ報道発表資料:“世界初!痛みを共有する「人間拡張基盤」が,CEATEC AWARD 2025 にて「経済産業大臣賞」を受賞,”Oct. 2025.https://www.docomo.ne.jp/corporate/technology/rd/pdf/topics_20251015_d1.pdf
- [2] NTTドコモ:“FEEL TECH®.”https://www.docomo.ne.jp/corporate/technology/rd/ft/001
- [3] NTTドコモ報道発表資料:“世界初!痛みを脳波から測定する技術と「人間拡張基盤」を連携し,相手の感じ方に合わせて痛覚を共有する技術を開発―動作,触覚,味覚に加えて,痛みも人間拡張基盤で共有可能に―,”Oct. 2025.https://www.docomo.ne.jp/info/news_release/2025/10/01_03.html
第13回(令和7年)電気通信協会「ICT事業奨励賞」受賞
2025年11月22日に,サービスイノベーション部の石井 啓之が「統合データ分析基盤IDAPの実用化」に関する功績により,「ICT事業奨励賞」を受賞しました.ICT事業奨励賞は,ICT事業の技術的推進・普及・発展のために顕著な貢献をしており,中心的かつリーダー的役割を果たしている個人を対象に,一般社団法人電気通信協会より授与されます.
ドコモは,通信ネットワーク関連データ,金融・決済,ヘルスケアなどのスマートライフ事業データ,そして1億人を超えるdポイントクラブ会員情報といった,通信事業者ならではの膨大かつ多様なファーストパーティデータを有しており*4,そのペタバイト級のビッグデータを一元的に集約・分析するための基盤として,統合データ分析基盤IDAP(Integrated Data Analytics Platform)を実用化しました.IDAPは,約3,000名の社員と約350のプロジェクトに利用され,量子コンピューティングを用いたネットワーク設定の最適化や顧客行動データを活用した高度なマーケティングDX(Digital Transformation)支援など,コア事業の効率化とイノベーション推進の両方を支える「両利きの」データ基盤として,国内では類を見ない規模での活用が行われています.
石井は,社内に分散していたペタバイト級のビッグデータを一元管理する,統合データ分析基盤IDAPの実用化において,中心的かつリーダー的な役割を担いました.IDAP実用化の初期においては,主にネットワーク領域におけるデータ活用の高度化に尽力し,データ活用事例の創出や,SQL(Structured Query Language)やPythonを用いたデータ活用人材の育成(2015年からの5年間で2,000人規模に拡大)に大きく貢献しました.また,2020年以降は,IDAPの開発運用を行うチームのリーダーとして,全社的なDX推進と基盤の継続的な進化を主導したことが評価され,今回の受賞となりました.
- データの活用においては,正当業務行為としての利用やお客さまから事前の許諾を頂いた上での利用など,プライバシーに配慮した上で行っております.
第58回「電気通信産業功労賞」受賞
知的財産部の𠮷本 貴司,6Gテック部の巳之口 淳が「電気通信産業功労賞」(業務改善,改良・開発)を受賞し,2025年11月21日に開催された第58回電気通信産業功労賞贈賞式において表彰されました.
同賞は,電気通信技術の普及・啓発活動などに取り組む一般社団法人電気通信協会(昭和13年設立)が表彰しているもので,電気通信事業・放送事業またはこれに関連する事業に永年従事し,優秀な技能と善良・勤勉な人格をもって事業の発展に寄与した方,あるいは創意工夫,機器の改良開発により事業の発展に貢献された方々を選考して,その功績を顕彰するものです.
𠮷本は,1997年シャープ株式会社に入社し,通信・放送機構(TAO:Telecommunications Advancement Organization)*5が推進した国家プロジェクト「超高速マルチメディア移動体通信のミリ波用位相同期発振器開発」に従事したほか,第4世代移動通信システム(4G)の等化技術,無線LANの変復調技術などの研究開発,4Gの標準化・知財活動も担当しました.
2017年ドコモに入社後は,知的財産分野で企業として初めてとなる内閣総理大臣感謝状(2025年)[1]の受賞理由となった「標準化と知財の一体的活用」の取組みの中核メンバとして,第5世代移動通信システム(5G)の標準化・知財活動を推進しました.このように4G,5G双方の技術普及(5G標準必須特許シェア世界3位[2])に貢献しています.
これらの功績が評価され,今回の受賞となりました.なお,標準化・無線技術・知的財産の三軸で高い専門性を有するドコモ社員として,エキスパートの1人にも認定されています.
巳之口は,1996年,NTT移動通信網株式会社*6に入社し,第2世代移動通信システム(2G)から第6世代移動通信システム(6G)まで,モバイル通信システムにおけるコアネットワークおよびアーキテクチャの研究開発・知財取得・標準化活動に従事しました.3GPP SA/CT(3rd Generation Partnership Project Service and Systems Aspects/Core Network and Terminals)では,継続的に寄書および会議に貢献するとともに,特にCTでは副議長を務め,5Gコアネットワーク技術の確立を主導しました.4Gにおいて高音質通話を実現するVoLTE HD+の日本初となる商用サービス開始に貢献したほか,5Gにおいて世界第3位・通信事業者首位の必須特許保有数実現に貢献しました.これらが評価され,今回の受賞となりました.
文献
- [1] 特許庁:“産業財産権制度140周年記念 内閣総理大臣感謝状.”https://www.jpo.go.jp/news/koho/tizai_koro/document/2025_tizai_kourou/naikaku-sori-daijin-kanshajou_02.pdf
- [2] 株式会社サイバー創研:“プレスリリース:サイバー創研、「5G-SEPと5G実現特許、5G標準化寄書での新たな動き」の調査・分析報告を発表 ~5Gは無線機能の実装技術へ移行、新機能は6Gアーキテクチャへのシフトを期待~,”May 2024.https://www.cybersoken.com/topics/922/
- 現在の情報通信研究機構(NICT:National Institute of Information and Communications Technology).
- 現在の株式会社NTTドコモ.
MCPC award 2025において「テクノロジー賞」「セキュリティ委員会特別賞」「優秀賞」を受賞
2025年11月26日,モバイルコンピューティング推進コンソーシアム(MCPC:Mobile Computing Promotion Consortium)が主催する「MCPC award 2025」の表彰式が開催され,「ユーザー部門」表彰として,ドコモ,日本航空株式会社,株式会社ジャルカードが「秘匿クロス統計システム」にて「テクノロジー賞」と「セキュリティ委員会特別賞」を受賞しました.本部門では,モバイルイノベーションテック部 社会予測技術開発担当主査の野澤 一真が代表して登壇し,表彰状と楯が授与されました.
また,サービス&ソリューション部門において「HealthTech基盤(ヘルスケアAI)」が優秀賞を受賞しました.本部門では,クロステック開発部 医療・ヘルスケア技術開発担当部長の河田 隆弘が代表して登壇し,表彰状と楯が授与されました.
MCPCでは2003年以降,「MCPC award」を開催し,モバイルシステムの導入により,IoT/AI分野での「業務効率化」「業績向上」「顧客満足度向上」「社会貢献の推進」「先進的なモバイル活用」などの成果を上げた事例を表彰し,モバイルソリューション,IoT/AIシステムのさらなる普及促進を図っています.
「秘匿クロス統計システム[1]」は,組織を横断して安全にプライバシーが保護された統計情報を作成するシステムです.本技術の安全性は,NTTが保有する「高速・安全なデータ結合処理技術(セキュアマッチングプロトコル)」とドコモが保有する「差分プライバシーに基づくプライバシー保護技術」を組み合わせることで実現しています.また2022年より,日本航空およびジャルカードと連携し,秘匿クロス統計システムを用いた企業横断でのデータ活用の共同実証を開始しています.航空機の定時出発率の改善[2]や,北海道道東エリアの人流創出による地域活性化[3][4]などを通じて,顧客体験価値の向上や社会課題の解決に貢献する知見を獲得してきました.さらに,2025年より関係人口創出による地域活性化をめざす実証実験[5]を開始しています.
「HealthTech基盤(ヘルスケアAI)」は,生活習慣などを基にサービス利用者の健康リスクを日常的に推定・可視化するシステムです.近年,健康寿命の延伸,60兆円を超える医療費・介護費の低減の観点から,国民1人ひとりが自身の健康状態を把握し,主体的に健康行動に取り組むことが重要となっています.ヘルスケアAIは,サービス利用者の同意のもと,負担なく自動的に収集できるスマートフォンログを活用することで,生活習慣と密接に関連する健康リスクを推定し,それを利用者に効果的に提示することにより,健康行動へと自然に誘導する技術です.さまざまなヘルスケアAI(フレイル推定AI[6],血圧上昇習慣推定AI[7],免疫力推定AI[8],脳の健康チェックAI[9],健診予測AI[10]など)を集約・搭載したHealthTech基盤を通じて,ヘルスケア業界のみならず,食品やゲームなどのさまざまな業界向けにも商用提供しています.
ドコモは今後も,「秘匿クロス統計システム」において,異業種事業者の安全なデータ連携の実現を通じて社会価値の創造と有用性の検証に取り組み,また「HealthTech基盤(ヘルスケアAI)」において,提供先パートナーを拡大し,より多くの利用者の健康増進や社会課題の解決に貢献して参ります.
文献
- [1] NTTドコモ:“秘匿クロス統計技術.”https://www.docomo.ne.jp/corporate/technology/rd/aggregation/001/
- [2] NTTドコモ:“JAL、JALカード、ドコモが、顧客体験価値向上と社会課題の解決に向けて、「秘匿クロス統計技術」を用いた企業横断でのデータ活用の実証実験を開始~各社が保有するデータを相互に開示せず作成した統計情報を活用する国内初の取り組み~,”Oct. 2022.https://www.docomo.ne.jp/binary/pdf/corporate/technology/rd/topics/2022/topics_221020_00.pdf
- [3] NTTドコモ:“JAL、JALカード、HAC、ドコモ、「秘匿クロス統計技術」を用いて北海道内の移動ニーズを把握する実証実験を開始~道東エリアへの人流創出による地域活性化をめざす~,”Aug. 2023.https://www.docomo.ne.jp/binary/pdf/corporate/technology/rd/topics/2023/topics_230822_00.pdf
- [4] NTTドコモ:“JAL、JALカード、ドコモ、「秘匿クロス統計技術」を用いて地域活性化につながる知見の獲得に成功~空港からの訪問エリアを越えた移動を促す施策により、道東エリアの広範囲の人流創出をめざす~,”Dec. 2024.https://www.docomo.ne.jp/info/notice/hokkaido/page/241202_00.html
- [5] NTTドコモ:“JAL、JALカード、ドコモ、「秘匿クロス統計技術」を活用し、「関係人口」の創出による地域活性化をめざす実証実験を開始~地域と人々の関わりを明らかにし、社会価値の創造をめざします~,”Jul.2025.https://www.docomo.ne.jp/binary/pdf/info/news_release/topics_250731_c1.pdf
- [6] 山内,ほか:“スマートフォンログによる要介護リスク低減を目指したフレイル推定AI,”本誌,Vol.30,No.4,pp.46-52,Jan. 2023.https://www.docomo.ne.jp/binary/pdf/corporate/technology/rd/technical_journal/bn/vol30_4/vol30_4_007jp.pdf
- [7] 池添,ほか:“スマートフォンログを用いた血圧上昇習慣推定AIの開発,”本誌,Vol.31,No.4,Jan. 2024.https://www.docomo.ne.jp/corporate/technology/rd/technical_journal/bn/vol31_4/003.html
- [8] 小林,ほか:“スマートフォンログから免疫力のセルフケアを実現する免疫力推定AI,”本誌,Vol.32,No.4,Jan. 2025.https://www.docomo.ne.jp/corporate/technology/rd/technical_journal/bn/vol32_4/005.html
- [9] NTTドコモ:“スマートフォンを活用した「脳の健康チェックAI」「脳の健康トレーニングAI」を開発,”Jan. 2023.https://www.docomo.ne.jp/binary/pdf/corporate/technology/rd/topics/2022/topics_230126_00.pdf
- [10] NTTドコモ:“健康診断データと生活習慣データから検査値の悪化リスクを推定する「健診予測AI」を開発~自治体向けヘルスケアサービス「健康マイレージ」での提供を開始~,”Feb. 2025.https://www.docomo.ne.jp/binary/pdf/info/news_release/topics_250205_00.pdf
国際会議APCC 2025「Best Paper Award」受賞
ドコモ北京研究所の王 帆,侯 暁林,李 翔,陳 嵐は,2025年11月26~28日に,日本の大阪で開催された国際会議APCC 2025「The 30th Asia-Pacific Conference on Communications」において「Best Paper Award」を受賞しました.
本会議は,IEEE-CS(The Institute of Electrical and Electronics Engineers-Communications Society),CIC (China Institute of Communications),IEICE-CS (The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers-Communications Society),KICS(Korea Information and Communications Society)が共催する,アジア太平洋地域の通信分野の重要な会議です.本年度のAPCCには108件の論文が採録され,「Best Paper Award」はこの中から,特に業績が優れていると評価された3件の論文に授与されたものです.
受賞対象となった論文は,「Efficient CSI Feedback with Nested Codebook for 6G MIMO Energy Saving」です.本論文の研究課題(6G MIMO(Multiple Input Multiple Output)における省エネルギーCSI(Channel State Information)フィードバック設計)が重要性と先見性を有すること,提案技術が創造性と新規性を有している上,コンピュータシミュレーションを通じて提案スキームの有効性を検証したことが評価され,今回の受賞に至りました.
6G MIMOにおいて省エネルギー化は重要な研究課題の1つです.基地局が動的アンテナスイッチングにより省電力化を実現するためには,既存技術(3GPP Release 18方式)では,複数のアンテナポート構成(16/32/64/128など)に対応する複数セットのCSIをUE(User Equipment)側で測定・フィードバックする必要があり,オーバヘッドの増大が課題となります.本論文では,この課題に対してネスト型コードブック構造*7に基づく革新的なCSIフィードバック方式を提案しています.本方式では,UEは複数のCSIサブモジュールを含む全アンテナポート向けの1セットのCSIのみをフィードバックし,基地局側で所定の組合せ規則に基づいて各アンテナポート構成に必要なCSIを生成します.これにより,UEのフィードバック・オーバヘッドを大幅に削減できます.リンクレベルシミュレーションの結果,提案方式は3GPP Rel-18方式に比べてスループット性能を維持したまま,CSIフィードバック・オーバヘッドを約44%削減できることが示されています.これにより,6G MIMOの省エネルギー化をより効率的に支援することが可能となります.さらに,中・低負荷のネットワーク環境においては,基地局の動的アンテナスイッチングにより約30~50%の消費電力削減が期待できます.
ドコモ北京研究所は,6G標準化の本格的な開始に向けて,6G無線要素技術の研究および標準化を主導的に推進していきます.
- ネスト型コードブック構造:階層構造を有するCSIコードブック構造.比較的少数のアンテナポート数(例えば2/4/8)に対応するCSIコードブックの集合を,所定の規則に基づいて柔軟に組み合わせることで,より多いアンテナポート数(例えば64/128/256)に対応するCSIコードブックの構成が可能.