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2025年10月

Activity Reports

2025年度「情報通信技術賞TTC会長表彰」「情報通信技術標準化奨励賞」「功労賞」受賞

2025年6月16日に一般社団法人情報通信技術委員会(TTC:The Telecommunication Technology Committee)より,R&D戦略部の石川 寛が「情報通信技術賞TTC会長表彰」を,6Gテック部の山内 健太が「情報通信技術標準化奨励賞」を,R&D戦略部の笹部 晃秀と,コアネットワークデザイン部の永徳 はるかと佐藤 隆之が「功労賞」を受賞しました.
TTCは,情報通信ネットワークにかかわる標準の作成とその普及を図ることを目的としており,その目的に沿う事業の遂行に多大な貢献をした者に対して毎年表彰が行われています.「情報通信技術賞TTC会長表彰」は,情報通信ネットワーク分野にかかわる標準の作成または普及に多大な貢献を行ったと認められる者に贈られます.「情報通信技術標準化奨励賞」は,情報通信ネットワークにかかわるグローバルな標準の作成または普及に積極的に取り組み,今後この分野での標準化に貢献すると期待される者に贈られます.「功労賞」は,TTCの事業として相当期間,標準の作成維持などに積極的に参画しその功績が著しい者に贈られます.
石川は,標準化団体である3GPP(3rd Generation Partnership Project)の副議長として,5Gコアネットワークの仕様策定を主導し,多岐にわたる革新的仕様を策定・実現したほか,3G~5Gのコアネットワークの国際標準化活動において中心的役割を担い,多大な貢献を果たしてきたことが評価され,今回の受賞となりました.
山内は,コアネットワークの将来技術検討および標準化活動に従事し,3GPPにおいて,5GにおけるXR(Extended Reality)サービスのユースケースや要件の議論・取りまとめを主導,6Gの初期仕様策定に貢献してきたことが評価され,今回の受賞となりました.
笹部・永徳・佐藤は,国内複数の音声役務提供事業者で共通して利用できるIP相互接続仕様の国内標準化を推進し,笹部は初期標準策定を主導,永徳と佐藤は公衆交換電話網(PSTN:Public Switched Telephone Network)マイグレーションの仕様更新を通じてその完遂に貢献したことが評価され,今回の受賞となりました.

第36回電波功績賞「電波産業会会長表彰」受賞

2025年6月26日に開催された第36回電波功績賞表彰式において,ドコモ(代表 中村 武宏),日本電信電話株式会社(代表 高橋 宏行),日本電気株式会社(代表 北島 克也),富士通株式会社(代表 多木 俊裕)が,「6Gに向けたサブテラヘルツ帯での100Gbps超高速伝送の実現」の功績により電波産業会会長表彰を受賞しました.
電波功績賞は,一般社団法人電波産業会(ARIB:Association of Radio Industries and Business)により,電波の有効利用に関する調査,研究,開発において画期的かつ具体的な成果を上げた者,あるいは電波を有効に利用した新しい電波利用システムの実用化に著しく貢献した者に対して授与されるものです.
受賞者らは,6Gの大容量通信実現に向け,100GHz帯で高出力・高効率を実現するトランジスタと多素子アクティブフェーズドアレーアンテナなどを開発し,世界最高クラスとなる屋外距離100mでスループット100Gbps以上の伝送を実証した.また,300GHz帯でも世界最高出力,最高効率の電力増幅器などを開発し,屋内距離100mでスループット100Gbps以上の伝送を実証し,これらの取組みにより電波の有効利用に大きく貢献したことが評価され,今回の受賞となりました.

世界最高峰のデータ分析競技会「KDD CUP 2025」で入賞―ドコモのAI・ビッグデータ分析技術が世界で高く評価―

2025年8月3日に,サービスイノベーション部の宮木 健一郎,橋本 雅人,クロステック開発部の福島 悠介,吉川 裕木子,データプラットフォーム部の鈴木 明作の計5名がデータ分析競技会であるKDD CUP 2025に参加し,2部門において特別賞に入賞しました.
この特別賞は,3つのタスク(テキストのRAG(Retrieval Augmented Generation)検索,テキスト&画像のRAG検索,複数質問におけるテキスト&画像のRAG検索)を横断し,4つの質問カテゴリ(単純な質問,複数の情報を要する質問,複数の情報の比較を要する質問,推論を要する質問)のそれぞれで最も高い精度を達成したチームに与えられるものです.ドコモチームは,複数の情報を要する質問,推論を要する質問の2つの質問カテゴリそれぞれで受賞しました.
KDD CUPは国際計算機学会(ACM:Association for Computing Machinery)が主催するデータマイニング分野の国際会議KDD(Knowledge Discovery and Data Mining)で開かれるデータ分析競技会で,1997年,まだビッグデータやデータサイエンティストという言葉が無い時代から続く世界最高峰かつ最も歴史のあるデータ分析競技会です.
2025年の競技会は,スマートグラスを活用した高度なAIアシスタントの実現を見据えた3つのタスクが出題されました.これらのタスクでは,VLM(Vision Language Model)とRAGを活用し,画像への質問に対して回答を生成する性能が競われました.本競技会では,応答時間や計算機環境への厳しい制限も課せられ実用的な実装が求められました.
ドコモチームは,Llama3.2 11B-Vision-Instructを用いたVLMモデルを軸に,独自データセット作成によるVLMの教師あり学習,思考連鎖(Chain-of-Thought)を用いた推論モデル(Reasoning model)作成,RAG検索結果のリランキングによる検索情報フィルタリング,ハルシネーション抑止のための自己検証(Self-Verification)機構の追加といった取組みにより,この成果を達成しました.
ドコモは2016年からKDD CUPへの参加を続け,今回は2024年の入賞につづく,7回目の入賞となります.ドコモでは多数のデータサイエンティストを擁し,日頃からパートナー企業との共創の中で,AI・ビッグデータを有効活用し,さまざまな課題の解決に取り組んできたことが,今回の受賞に繋がりました.本大会で評価された世界最高レベルのAI・ビッグデータ分析技術を活用し,AI・ビッグデータ活用ビジネスを拡大するとともに社会課題解決の取組みを促進していきます.

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