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2025年7月

Activity Reports

第70回「前島密賞」受賞

2025年4月10日に,NTN推進室の井上 雅広,鴨川 健司,プロダクト技術部の丹野 元博は,「S帯LTE over Satellite衛星移動通信システムの開発・実用化」の功績により,第70回「前島密賞」を受賞しました.
前島密賞は,逓信事業の創始者「前島 密」氏の功績を記念し,その精神を伝承発展せしめるため1955年に設けられ,情報通信および放送の進歩発展に著しい功績があった者に,公益財団法人通信文化協会により授与されるものです.
受賞者らは,S帯を用いる国内衛星移動通信「ワイドスターⅢ」システムを開発しました.本システムは海上での必要不可欠な通信手段として,また,陸上の災害対策用や携帯電話の不感地帯用として利用されています.また,世界に先駆けてLTE(Long Term Evolution) over Satelliteによる衛星移動通信システムを開発・実用化しました.
井上は,ワイドスターⅢの商用システム,サービスおよび新世代の静止通信衛星N-STAR e号機の導入を全体統括し,衛星技術仕様を策定し,衛星性能試験やエリア品質評価試験などを行い,実運用への周波数リソース配置やエリアチューニングを実施し,N-STAR e号機の能力を活かした64ビーム化による,同時接続数従来比6倍の大容量化を実現しました.
鴨川は,ワイドスターⅢの商用システム・無線アクセスネットワーク装置開発を統括し,システム技術条件仕様の策定やLTE方式設計のカスタマイズなどのほか,無線アクセスネットワークの商用装置類の開発を実現しました.また,情報通信審議会における技術支援を主導し,ワイドスターⅢの国内法令制度の策定へ貢献しました.
丹野は,ワイドスターⅢの衛星端末,端末関連機器の開発を統括し,端末技術仕様の策定,端末単体試験やネットワーク結合試験,実網による総合試験などを実施し,緊急呼を含む音声通信,高速データ通信,SMSなどのサービス提供に必要な機能・品質を備え,スマートフォンをハンドセットとして利用可能にする新たな端末機器などを開発しました.

「前島密賞」受賞の様子

産業財産権制度140周年記念「内閣総理大臣感謝状」受賞

2025年4月18日に行われた産業財産権制度140周年記念「内閣総理大臣感謝状」贈呈式で,ドコモは通信企業としては初めて「内閣総理大臣感謝状」を受賞しました.
内閣総理大臣感謝状は,今年が産業財産権制度140周年の節目にあたることから,産業財産権制度の普及・発展に極めて顕著な功労や功績があった企業などへ特別に贈呈されたものです.
受賞の対象となった取組みは「標準化と知財の一体的活用」です.ドコモは,モバイル通信の国際標準化が加速した3G(W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access))から現行の4G(LTE(Long Term Evolution)),5G(NR(New Radio))のモバイル通信に至るまで,世界の主要プレーヤーと連携して国際標準化をリードし,自社で培った最新モバイル技術を利用したビジネスの早期導入を図りつつ,国際標準必須特許も確保し事業で活用していく計画や戦略を長中期で継続し,かつ強化しています.
3Gから5Gに至るまで国際標準必須特許の全体件数が急増してきた中,特に5Gの標準必須特許シェアにおいて,ドコモは世界有数の地位(通信事業者としては世界首位)を確保しています.6Gにおいてもこの傾向は継続し,世界の主要プレーヤーによる知財取得の競争激化が見込まれています.今後も標準化で世界をリードし,国際標準必須特許獲得においても主導的立場となれるよう,R&Dと知財の標準化チームで一丸となって,6Gの標準化・知財を戦略的に進めていきます.

産業財産権制度140周年記念「内閣総理大臣感謝状」受賞の様子

2025年「日本ITU協会賞」受賞

2025年5月16日に開催された「第57回世界情報社会・電気通信日のつどい」において,ドコモ・テクノロジの澤田 政弘が日本ITU協会賞「功績賞」を,ネットワーク部の清水 和人,無線アクセスデザイン部の閔 天楊,6Gテック部の吉岡 翔平が日本ITU協会賞「奨励賞」を受賞しました.
日本ITU協会賞は,電気通信/ICTと放送分野に関する国際標準化や国際協力の諸活動において,これまでに優れた功績を遂げられた者ならびに今後の貢献が期待される者に贈呈されるものです.功績賞は,ITU(International Telecommunication Union)の活動または我が国のITU関係諸活動への貢献,世界情報社会サミットにおける基本宣言または行動計画の実現への貢献,情報通信,放送または郵便の分野における国際協力活動への貢献その他情報通信または放送に係る国際的な活動に関する功績が著しい者に贈られます.また,奨励賞は,功績賞に該当する諸活動にすでに参加し,今後これらの領域において継続して寄与することが期待される者に贈られます.
澤田は,第3世代移動通信システム(3G)から第5世代移動通信システム(5G)にかけて,ITU,3GPP(3rd Generation Partnership Project),5GAA(5G Automotive Association)などの国際標準化活動に従事,全体アーキテクチャや接続時間短縮,リソース効率化や品質制御などの改善機能を提案し,長年にわたり移動通信の発展と実用化に多大な貢献をしたことが評価されました.
清水は,携帯電話の業界団体GSMA(GSM Association)において,IoT(Internet of Things)機器の国際ローミングが普及する将来を正確に予測し,IoT機器に特化したガイドラインの必要性を訴求,自ら中心となり策定しました.また,追加必須な技術要素を明確化し3GPPにて追加仕様の提案および策定を実現し,日本および世界におけるITU策定のIMT-Advancedの発展に多大な貢献をしたことが評価されました.
閔は,ITUで策定されたIMT(International Mobile Telecommunications)-Advanced(4G)・IMT-2020(5G)を実現するため,3GPPにおいてセルラドローン,産業IoTの技術議論を主導して仕様策定を行うとともに,無線によるバックホール技術およびフェムトセル議論を主ラポータとして牽引し,標準化に多大な貢献をしたことが評価されました.
吉岡は,3GPP標準化において,5G NRの物理制御チャネル,V2X(Vehicle to X)/端末間通信,NTN(Non-Terrestrial Network)向け通信などの標準仕様策定のための技術議論を主導し,ITUで定義されたIMT-2020(5G)の産業創出・ソリューション協創を実現する標準仕様策定に多大な貢献をしたことが評価されました.

「第57回世界情報社会・電気通信日のつどい」の様子

2024年度情報処理学会「業績賞」受賞

2025年6月11日に一般社団法人情報処理学会より,モバイルイノベーションテック部の野澤 一真,佐々木 一也,寺田 雅之,日本電信電話株式会社(現在 ,NTT株式会社) 社会情報研究所の長谷川 慶太氏,紀伊 真昇氏は,「異業種間の安全なデータ連携を実現する「秘匿クロス統計技術」の開発と社会課題への応用」の功績により業績賞を受賞しました.
業績賞は,産業界における顕著な業績を顕彰するため,平成13年度に新設され,情報技術に関する新しい発明,新しい機器や方式の開発・改良,あるいは事業化プロジェクトの推進において,顕著な業績をあげ,産業分野への貢献が明確になったものに対して贈られるものです.
受賞者らは,異業種間の安全なデータ連携を実現するために,互いに自らのデータを相手に開示することなく,プライバシーが保護された安全な統計情報を作成する「秘匿クロス統計技術」を開発しました.本技術は,準同型暗号,隔離実行環境,差分プライバシーを効果的に組み合わせることにより,これまで困難であった技術的安全性と法的な整合性を確保した上で異業種間のデータ連携に成功した国内初の社会実装例です.実証実験では,航空機の搭乗客のスムーズな移動や地域活性化に向けた人流創出に繋がる知見が得られるなど,本技術の今後のさらなる活用が期待されます.

2024年度情報処理学会「業績賞」受賞の様子

「2025 Japan AWS Top Engineers」「2025 Japan AWS Jr. Champions」受賞

2025年6月25~26日に幕張メッセで開催された「AWS Summit Japan 2025」において,サービスイノベーション部の中村 拓哉,小澤 遼が「2025 Japan AWS Top Engineers[1]」を,サービスイノベーション部の長野 孝亮,千歩 野亜が「2025 Japan AWS Jr. Champions[2]」に選出されました.
なお,中村と小澤はAWS認定資格をすべて保持しているAWSエンジニアに贈られる「2025 Japan All AWS Certifications Engineers [3]」にも同時に認定されました.
今回の表彰プログラムは,APN(AWS Partner Network)参加企業に所属するAWSエンジニアを対象にした日本独自のもので,「2025 Japan AWS Top Engineers」は,特定のAWS認定資格をもち,AWSビジネス拡大につながる技術力を発揮した活動を行っている方,または技術力を発揮したその他の重要な活動や成果がある方が対象で,AWS Japanがそれらを審査し選出します.また,「2025 Japan AWS Jr. Champions」は応募時点で,社会人歴1~3年目の突出したAWS活動実績がある若手エンジニアを選出するもので,AWSを積極的に学び,自らアクションを起こし,周囲に影響を与えているAPN若手エンジニアを選出し,選定されたエンジニアによるコミュニティを形成するものです.
中村は,ドコモグループにおいてパブリッククラウド活用を推進するチームであるCCoE(Cloud Center of Excellence)の技術リードとして,社内勉強会の開催や「2025 Japan AWS Jr. Champions」の選出に向けた若手エンジニアの育成,クラウドセキュリティ高度化のための統制基盤の提供およびAWS Summit Japan 2024[4]の事例セッションへの登壇による知見の共有などの活動が高度な技術力を発揮していると評価され,「2025 Japan AWS Top Engineers (Security)」に選出されました.
小澤は,5GSA(Stand Alone)基地局 - 携帯電話端末間の大規模なネットワークデータを分析する基盤システムの最難関機能の商用化主導,内製開発アプリの商用化により,運用コストを年間3,000万円削減したことや,「2024 Japan AWS Jr. Champions」に選出されたエンジニアとして若手社員の育成に貢献し,チームでの開発の取組みを国際イベント[4]で発表したことなどが評価され「2025 Japan AWS Top Engineers (AI/ML Data Engineer)」に選出されました.
長野は,AWSユーザグループの運営・社外イベントへの発表といったコミュニティ活動や,AWSのコスト削減ツールの開発・外販活動およびXRコンテンツのクラウドレンダリングシステムの商用化活動といった技術領域の活動が評価され「2025 Japan AWS Jr. Champions」に選出されました.
千歩は,「Amazon API Gateway」「Amazon CloudFront」を利用している社内チームからの要望を,「AWS re:Invent 2024」中に行われたEBC(Executive Briefing Center)にてAWSの製品チームに直接伝えたことや,社内勉強会・報告会における活動,社外イベントでのLT(Lightning Talk)やパネルディスカッションに登壇したことが評価され「2025 Japan AWS Jr. Champions」に選出されました.

「2025 Japan AWS Top Engineers」「2025 Japan AWS Jr. Champions」受賞の様子

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