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2025年4月

Activity Reports

国際会議APCC 2024「Best Paper Award」受賞

ドコモ北京研究所の劉 娟,劉 文佳,侯 暁林,陳 嵐は,2024年11月5~7日に,インドネシア バリ島で開催された国際会議APCC 2024「The 29th Asia-Pacific Conference on Communications」において「Best Paper Award」を受賞しました.
本会議は,IEEE-CS(The Institute of Electrical and Electronics Engineers-Communications Society),CIC(China Institute of Communications),IEICE-CS(The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers-Communications Society),KICS(Korea Information and Communications Society)が共催する,アジア太平洋地域の通信分野の重要な会議です.本年度のAPCCには105件の論文が採録され,「Best Paper Award」はこの中から,特に業績が優れていると評価された5件の論文に授与されたものです.
受賞対象となった論文は,「An OFDM Compatible Sensing Waveform Design for 6G ISAC System」です.本論文の研究課題(6G ISAC(Integrated Sensing and Communication)波形)が重要性と先見性を有すること,提案技術が創造性と新規性を有している上,コンピュータシミュレーションを通じて提案スキームの有効性を検証したことが評価され,今回の受賞に至りました.
通信感知波形設計は,6G通信センシングにおける重要な研究課題の1つです.本論文では,OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)を代表とする通信波形とChirpを代表とする感知波形の長短所を全面的に分析し,独創的な統一波形設計スキームを提案しました.3GPP標準との親和性を考慮し,提案スキームは4G/5G通信波形であるOFDMをコアとし,IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)モジュールの前に周波数領域処理モジュール(DFT(Discrete Fourier Transform)+周波数領域拡張)を導入することで感知波形Chirpを実現でき,感知のカバー性能を向上できます.
本論文ではリンクレベルシミュレーションによって,提案スキームとOFDM波形に基づく感知手法の性能比較を行い,提案波形設計スキームの性能ゲインを検証しました.提案スキームはHAPS(High Altitude Platform Station)感知に適用可能であり,典型的な環境(キャリア周波数2GHz)においてHAPS感知のカバレッジを半径約8kmから約24kmへ拡大することができました.これにより,6Gの重要なユースケースであるNTN(Non-Terrestrial Network)の効率的な実現に向けた要素技術を確立しました.
ドコモ北京研究所は,2025年に始まる6G標準化に向けて,6Gの先行研究における技術革新を推進していきます.

「ETSI NFV Excellence Award」受賞

2024年12月9日に開催された欧州電気通信標準化機構(ETSI:European Telecommunications Standards Institute)の第48回NFV(Network Functions Virtualisation)会合において,ドコモユーロ研のAfaf Arfaouiが「ETSI NFV Excellence Award」を受賞しました.
ETSI NFV Excellence Awardは,ETSI NFVと業界における目覚ましい貢献を称えるものです.Arfaouiは, NFVの新しいインフラリソースの検討をテーマとした,NFV標準仕様であるNFV Release 6を構成するWork Item,「NFV-EVE(Evolution and Ecosystem)Group Report 023」のラポータであり,NTN(Non-Terrestrial Networks)向けのデータセンタ,SmartNICs(Smart Network Interface Cards),メタサーフェス,ハイパースケーラなどの検討に対する主導的な貢献および,卓越した献身と専門性を体現する高品質な提案が評価されて,今回の受賞となりました.
今後も,ドコモは引き続き標準仕様策定を通じた通信業界の発展に取り組みます.

2024年度SCAT表彰「優秀賞」受賞

2025年1月23日に開催された2024年度SCAT表彰式において,クロステック開発部の檜山 聡,河田 隆弘,山内 隆史が,「スマートフォンログを活用した多様な健康状態推定AIの開発とHealthTech基盤を通した社会実装」の功績により,SCAT表彰「優秀賞」を受賞しました.
SCAT表彰は,一般財団法人テレコム先端技術研究支援センター(SCAT:Support Center for Advanced Telecommunications Technology Research)が,ICT(情報通信技術)の研究開発により国民生活の安全・安心に寄与するなど多大な貢献のあった研究者に対して,2019年度より授与しているものです.
受賞者らは,「日常生活を通して誰もが健康を維持・増進できる安全・安心な社会」の実現をめざし,世代を問わず広く国民に普及したスマートフォンから自動的かつ非侵襲的*1に取得できるログを活用することで,さまざまな健康状態を推定し,健康行動に繋げるフレイル*2推定AI[1]などの技術を開発しました.また,血圧の上昇リスクを推定する「血圧上昇習慣推定AI[2]」,風邪や感染症の罹患に影響を及ぼす免疫力の低下リスクを推定する「免疫力推定AI[3]」,加齢による認知機能の変化傾向をスコア化する「脳の健康チェックAI」,個人に適した介入方法の選択に影響を与える性格因子を推定する「性格推定AI」など,多くの国民の健康の維持・増進に繋がる多様な健康状態推定AIを開発しました.さらに,これらのAIを集約・搭載したHealthTech基盤を開発し,商用でのサービス提供を開始し,国民の安全・安心の向上に多大な貢献をしたことが評価されました.

文献

  1. 非侵襲的:検査などにおいて身体に傷をつけたり損傷を与えたりしないこと.
  2. フレイル:加齢に伴う心身の虚弱の状態.
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