4.1 東京国際空港ターミナル株式会社

「2020年を見据えた翻訳アプリケーションの開発:てがき翻訳」目次

  1. 実験概要

    2015年9月より東京国際空港ターミナル株式会社と協力し、訪日外国人のお客様へのご案内の充実を目的に、羽田空港国際線旅客ターミナルのコンシェルジュが常駐する案内カウンターに「てがき翻訳」を導入し、実証実験を行った[4]。
    本実証実験では、日本に到着し、行き先などに困っている外国人のお客様に「てがき翻訳」を用いて、滞在予定先への行き方や、地図を描いて空港内の施設案内などを行った。また、案内コンシェルジュの方に「てがき翻訳」を利用した感想をヒアリングした。

  2. 実験結果による課題

    実験の結果、雑音環境下や意思疎通が難しい場面で「てがき翻訳」は有効な手段であることは確認できたが、手書きによる入力と翻訳にかかる時間は、多数のお客様が訪れる中求められる応対スピードに対して遅すぎる場合があることが明らかとなった。

  3. 改善策

    対策として、頻繁に利用する定型文を一覧表示し、ゆびさしで意思を表示、コミュニケーションを図る「ゆびさし会話集」や、手書きした単語から定型文を呼び出す「サジェスト機能」、音声での機械翻訳、オペレータによる通訳を可能とする「はなして翻訳for Biz」との連携機能を実装した。

これらの機能を応対者が状況によって使い分けることで、外国人との最初の対応では「ゆびさし会話集」による迅速な応対、「ゆびさし会話集」で解決が難しい場合は「てがき翻訳」で「書く」、または「はなして翻訳for Biz」で「話す」ことでコミュニケーションをとるといった使い方を可能とした(図6)。

図6 東京国際空港ターミナル株式会社との実証実験アプリ

図6 東京国際空港ターミナル株式会社との実証実験アプリ

また、スムーズにコミュニケーションができるよう画面回転機能の追加や、翻訳された文章の意図が理解できない場合にスムーズに再入力を依頼できるUIへの変更なども行った。

4.2 東京海上日動火災保険株式会社

本記事は、テクニカル・ジャーナルVol.24 No.3(Oct.2016)に掲載されています。

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