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FOMAコアネットワークパケット処理ノードxGSNの開発〜4.xGSN開発上の工夫とポイント

xGSNの開発は、MMSの既存機能の継承を行うとともに、物理ノードの分離による適切な機能配分とIP化による新しいインタフェースの規定が必要であり、単純な機能分割、インタフェースのIP化以外の数々の工夫を行った。本章ではこれらの代表的な例に的を絞って説明する。

4.1 位置登録方法の改善

xGSNが既存MMSのPS機能を継承するためには、36万BHCA(Busy Hour Call Attempt)以上の処理能力が必要であった。このためには高性能のCPUによるマルチプロセッサ構造を用意するだけでなく、ソフトウェア処理の冗長部分を取ることにより低負荷化を行い処理容量の増大を図る必要があった。また、xGSNのFOMA網導入にあたり、3GPP(3rd Generation Partnership Project)標準を遵守しつつも既存システムへの影響を極力抑える必要があったため、移動通信網において処理負荷のかなりのウェイトを占める位置登録処理について見直しを行った。

CS/PSの両機能を具備する既存MMSでは、ネットワークリソースの利用効率性を考慮して、ネットワーク統合位置登録方式を採用している(図41)。ネットワーク統合位置登録方式は、ノード構成比が移動通信制御局(MSC:Mobile Switching Center)/VLR(Visitor Location Register):SGSN=1:1の場合に最も効率的に適用されるため、既存MMSでは回線交換位置登録エリア(LA:Location Area)とパケット交換位置登録エリア(RA:Routing Area)は同一構成になっている。

PS分離後においては、MMSとxGSNの処理能力の構成比から1MMSに複数xGSNを接続する形態が望ましく、また3GPP標準での位置登録方式(図42)ではネットワーク統合位置登録方式と比較してHLR(Home Location Register)向けの信号量およびプロファイルの処理回数の増加がHLRの処理負荷に影響を及ぼすため、現状の大容量移動通信サービス制御装置(NMSCP:New Mobile Service Control Point)の設備コストが増大することが懸念された。よって新しい位置登録方式を導入することとした。

xGSNで導入した位置登録方式(図43)は、3GPP標準位置登録方式をベースとするネットワーク統合位置登録方式であり、共通線信号網への信号量を抑えつつ、物理ノード構成に依らず適用できる方式となっている。

また、既存MMSではMSC/VLR-SGSN間は内部インタフェースであったが、SGSNの別ノード化に伴い、新たにGsインタフェースを規定する必要があった。Gsインタフェースには、3GPP標準のBSSAP+(Base Station System Application Part+)プロトコルを用いることでMSC/VLRSGSN間の円滑な連携を取っている。

図4 位置登録処理概念図

本記事は、テクニカル・ジャーナルVol.12 No.3に、掲載されています。