
モバイル技術で力加減を伝送?
遠隔操作・AIロボット・メタバースの新境地!
概要
触覚フィードバック技術は、遠隔操作ロボットやメタバースの分野で注目されています。たとえば、ロボットが遠隔地の物体を掴んだ時の手応えを操作者にフィードバックすることで、卵のような壊れやすい対象を潰さずに掴むことができます。また、VRグローブを介して、対象の硬さを伝達することで、よりリアリティのある仮想空間体験が提供できます。
ドコモでは、これら触覚情報の伝達・活用に関する研究開発を推進しています。たとえば、低遅延無線通信技術により、正確な触覚情報のリアルタイム伝送を実現します。さらに、触覚情報を記録し、メタバースやロボットAIのために簡単に利用できるプラットフォームを開発しています。これらの技術を通して、ロボット遠隔操作による危険作業からの人の解放、AIロボットによる労働力不足の解消、仮想空間を介した新たな教育体験の提供などに寄与してまいります。
手応えを再現できる力触覚
リアルハプティクス*1は物に触れた際の手応え=力触覚(力覚と触覚を併せた感覚)を伝達できるユニークな技術です。物体表面のざらざら感などを振動で伝える一般的な触覚技術と異なり、物体の硬さや柔らかさなどを伝えることができます。この技術により、微妙な力加減を要求する医療行為を遠隔から行うなどの活用が期待されています。さらに、遠隔で行った作業での力触覚情報を記録し、仮想空間上で再現することで、リアリティのあるトレーニングを行うことも期待できます。
- リアルハプティクスは慶應義塾大学が開発した独自技術です。

力触覚を鮮明に再現する通信
遠隔操作で鮮明な力触覚フィードバックを再現するには、通信遅延を極限まで減らすことが大切です。4Gや5Gの遅延量で十分だと思われるかもしれませんが、力触覚をリアルタイムで伝えるという点では、まだ十分なレベルとは言えません。ドコモは、手応えのある遠隔操作の実用化に向けて、最新のRAN(Radio access network)技術を組み合わせた実証実験、遅延対策アプリケーションの研究開発など、多角的にアプローチしています。リアルハプティクスや過去の実証実験については、「NTTドコモテクニカルジャーナル」をご覧ください。

MECで実現するフレームワーク
私たちは、独自のクラウドコンピューティングサービス「docomo MEC®」*2を中心としたフレームワークの提供をめざしています。docomo MEC®(Multi-access Edge Computing)では、インターネットから切り離された閉域ネットワーク内の利用者に近いサーバーで計算処理が行われます。この仕組みによって、セキュアな環境で不正アクセスによるロボットの乗っ取りを防ぎ、リアルタイムな通信でロボットを正確に制御することが可能です。
- 「docomo MEC®」は、5G時代に求められるMEC(Multi-access Edge Computing)の特長である、低遅延、高セキュリティなどの機能を持つドコモのクラウドサービスです。

モバイル技術で切り拓く未来像
私たちは、優しい力加減ができる無線遠隔操作ロボットやフレームワークをコンセプトに、3つの未来像を描いています。

リモートワーク革命
公衆モバイル網で遠隔操作できるロボットは、私たちの仕事や生活に大きな変化をもたらします。たとえば、高所作業などの危険な作業を遠隔地から安全に行うことが期待できます。また、人命救助の現場で求められる専門的な処置を、遠隔地にいる医師が瞬時に行うことも可能になります。
労働力不足への挑戦
遠隔操作で収集した繊細な力加減のデータは、AIロボット開発の強力な手助けとなります。精密な作業を遠隔で繰り返し行うことで、豊富なデータが蓄積され、これをAIロボットの学習に役立てることができます。このようにして学習したロボットは、人の繊細な力加減を要求する仕事を人に代わって行っていくことが期待できます。
ドコモのプラットフォームでは、こうしたAIロボットの学習を容易かつ安全に行う環境の提供を目指します。プラットフォームでは、ロボットの遠隔操作だけでなく、これに付随する操作データの記録や学習も行えるようにします。また、記録や学習をdocomo MECで実施することにより、これらのプロセスを安全な閉域ネットワーク内で完結することもできます。このような仕組みを提供し、システム構築のハードルを下げ、かつAIモデルの盗難リスクを低減することで、AIロボットの普及に寄与してまいります。
自由な学びや驚きを。
遠隔操作で集められたデータがメタバース向けにアセット化されることで、これまでの学びや体験の常識が大きく変わります。たとえば、希少な生物や壊れやすい物体に直接触れるような体験学習が、もっと手軽にできるようになります。さらに、力触覚を通じたコミュニケーション空間が生まれることで、遠方にいる人とも「握手」ができるようになります。これは、現実だけでなくバーチャルの世界ともつながり、私たちに新しいコミュニケーションの形と驚きをもたらすと考えています。

まとめ
ドコモは、5G Evolution & 6Gとdocomo MECを基盤に、遠隔操作・AIロボット・メタバースで活用できるフレームワークを提供します。多様な分野で新たな価値を創造することで、あんしん・安全で、より豊かな社会の実現に貢献します。
<リリース>
<Web発信>
<出展・イベント対応など>
- docomo business Forum’24(2024/10)
- docomo Open House’24(2024/01/17-18)
- docomo Open House’23(2023/02/02-03)
- e-messe Kanazawa 2022(2022/05/12-14)
- docomo Open House’22(2022/01/17-19)