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無線アクセス
技術

1.無線技術

概要

ITU-Rが進行中の6G標準化のスケジュールに合わせて、6G要求条件の実現可能性を検証しています。このため、NTTや国内外のパートナーと連携し、無線アクセス技術の技術検討と実証実験を進めています。
本プロジェクトでは、要素技術の継続的な検討と実証を通じて、6G向けの無線技術の実用化と高周波数帯の開拓を行っており、New Radio Network Topologyの検証も進行中です。特に、RIS(Reconfigurable Intelligent Surface)とメタサーフェス技術は、高周波数帯におけるカバレッジ改善を目的としています。
メタサーフェス技術では、窓を電波レンズ化して屋内カバレッジを拡大し、メタマテリアル反射板によってミリ波のカバレッジも向上します。また、ユーザ追従型メタサーフェス反射板の実証実験では、移動する受信機に対して最大20dBの利得を得られることを確認しています。
加えて、透過型メタサーフェスを用いた実証実験では、特定方向への電波透過によって屋外カバレッジを改善しています。

創出する価値

この取組みが創出する価値は、次世代の通信技術の発展を推進し、社会全体に多大な恩恵をもたらします。まず、6G通信技術の実用化により、100Gbpsに達する超高速通信が可能になり、ユーザー体験が大きく向上します。これに伴い、動画ストリーミングやAR/VRなどのデータ集約型サービスの利用がスムーズになり、新たなビジネスモデルやサービスの創出が期待されます。
さらに、RISやメタサーフェス技術を活用した高周波数帯のカバレッジ改善は、通信の安定性を高め、都市部や遠隔地でもつながりやすくなります。これにより、ショッピングモールや工場といった大規模施設での業務効率が向上し、IoTデバイスの普及を支える基盤が築かれます。
加えて、技術開発の効率化により、6Gの迅速な標準化と普及が進み、通信インフラの進化を加速します。この進展は産業界の技術革新を支えるだけでなく、地域社会の活性化とデジタルデバイドの解消に寄与します。この取組みは、情報化社会のさらなる発展を支援する重要な役割を担っています。

2.EMC

概要

EMCは「Electro-Magnetic Compatibility」の略語であり、「電磁環境(または電磁的)両立性」あるいは「電磁環境適合性」と訳されています。移動通信においては、携帯電話基地局や端末の出す電波が人体やほかの機器に何らかの影響を与えないような電磁環境を実現する必要があります。
EMCを確保することは移動通信の普及・発展において最も重要な技術課題の1つであり、ドコモでは特に次の2つのEMC関連技術に注力して検討を行っています。
1つ目は、携帯電話基地局や端末の出す電波の強さを評価する技術であり、電波の強さが、人体の保護を目的とした指針※の基準値以下であることを確保し続けることに貢献します。国際電気標準会議(IEC)における評価技術の国際標準化に参加し、一般社団法人電波産業会(ARIB)電磁環境委員会が実施している携帯電話の電波の安全性に関する調査・研究活動にも正会員として協力しています。
2つ目は、携帯電話端末の出す電波が医療機器や産業機器などの電子機器の動作に与える影響を評価する技術であり、電子機器の近くでもあんしんして携帯電話端末をご利用いただくことに寄与しています。

  • 国際的なガイドラインや日本の電波防護指針の基準値以下の強さの電波は、健康に悪影響をおよぼすおそれはないと世界的に認識されています。
創出する価値

ドコモが検討してきた上記2つの技術は、IECにおける国際標準化や国内における電波法関連法令等の改定、また医療機関における携帯電話等の使用に関する指針※の策定にも役立っています。
5GEおよび6Gに向けて、カバレッジの拡張、周波数領域のさらなる広帯域化、周波数利用の高度化などの無線技術の発展、新たな形態の基地局や端末の増加、新たなユースケースの拡大が想定されています。これらを踏まえ、既存の移動通信に引き続き5GEおよび6Gについても、基地局や端末の出す電波が人体やほかの機器に何らかの影響を与えないような電磁環境を実現する必要があります。
今後も、お客さまがあんしん・安全にサービスをご利用いただけるように、新たな無線技術などに対応したEMC関連技術を検討・確立していきます。

  • 電波環境協議会が策定した、携帯電話端末と医療機器の推奨離隔距離などを定めている指針。

3.シミュレータ

概要

Gシステムレベルシミュレータは、6G通信システムの性能を評価するために設計されたツールです。このシミュレータは、100Gbpsを超える超高速通信を可能にするシナリオを評価し、ショッピングモールや工場などの多様な環境での6G性能を検証します。
具体的には、100GHzのSub-THz帯の周波数とMassive MIMO技術を使用して、1ユーザーあたり100Gbps以上の通信速度を実現します。また、分散MIMO技術を利用することで、最大3つの基地局と同時に接続が可能となり、電波の直進性に対する強い対応力を持つ複数の基地局からの見通し波を活用し、スループットの大幅な向上を可能にします。これにより、6Gの基盤技術を実用化への道へ進めるための詳細なパフォーマンス評価を支援します。

創出する価値

6Gシステムレベルシミュレータは、6G通信の実現に向けてさまざまな価値を提供します。100Gbpsを超える高速通信の実現は、ユーザー体験を飛躍的に向上させ、ショッピングモールや工場のような大規模施設でも高速で安定した通信を可能にします。これにより、業務効率の向上や新たなサービス提供が期待できます。
分散MIMO技術の適用により、電波の直進性の制約を克服し、広範囲のエリアカバレッジを拡大することが可能です。さらに、シミュレータを使用することで、実際の使用環境における性能評価が容易になり、技術開発の効率が向上します。
これにより、6Gの標準化活動が促進され、技術の普及と世の中の認知が進むことで、6G通信システムの早期実現が期待できます。

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