
AI Centric NW
近年、AI技術は驚異的なスピードで進化を続け、さまざまな分野でその活用が広がっています。
そして、ネットワーク分野でもAIを取り入れた研究開発が急速にすすんでいます。ドコモは6Gの技術的中核として「AI-Centric Network」を掲げています。AI-Centric Network は AI for Network と Network for AI の二つ検討領域から構成されます。ここでは各検討領域の詳細をご紹介します。
1. Network for AI
「Network for AI」は、AIをモバイルネットワークに接続し、そのパフォーマンスを最大限に引き出すネットワーク基盤をめざしています。従来のモバイルネットワーク、特に4Gおよび5Gは、主に人間を中心としたスマートフォンやIoTデバイスとの接続を通じて、さまざまなサービスを提供してきました。2030年に向けては、AIやロボットなど人間以外を中心としたサービスがさまざまなシーンで活用されることが予想される中、これらをネットワークに接続するだけではなく、進化し続けるAIやロボットがその能力を最大限に発揮するためのプラットフォームとして、ネットワークの役割が一層重要になると考えています。
たとえば、AIにおける学習や推論をより大規模かつ効率的に実施するうえでは、リアルタイムで大量のデータを処理し、フィードバックを行う能力が求められています。これを実現するためには、従来のネットワーク性能の限界を超える規模でのデータ収集や計算処理などが必要とされ、そのために更なるネットワークの高速性、大容量、低遅延性、信頼性の向上、また、省電力および持続可能性にも配慮することが重要です。
このような背景から、AIやロボットの進化に不可欠となる次世代ネットワークとして、6Gネットワークの必要性が求められています。6Gは、単なる通信手段としての役割を超え、AIやロボットが社会のさまざまな場面で活躍するための基盤となることが期待されます。データのスピードと量、そしてスマートな処理能力が、次世代技術の進化において重要な役割を果たすことになるでしょう。
私たちは、これらの新たな技術がもたらす可能性を最大限に引き出すために、6Gに向けた革新的なアプローチと技術的な挑戦を進め、持続可能な社会を築くことをめざします。AIとロボットの力で、より便利で効率的な社会を実現するための6Gネットワークを構築していきます。
Network for AI

2030年ごろには、人が暮らしの中でAIを意識せずに利用し、ロボットが生活の中のあらゆる場面で活躍していること想像されます。6Gネットワークが、大量のデータ収集やネットワークでの計算リソースなどをサポートしながら、人・AI・ロボット・機械の調和のとれた世界(Harmonized Intelligence)を実現します。
2. AI for Network
「AI for Network」は、モバイルネットワークにおける通信制御や保守運用そのものにAI技術を適用し、より効率的かつ高度なネットワーク運用を実現する取組みです。この取組みは、必ずしも6Gから始まるものではなく、従来の4Gや5Gにおいても多くの発展を遂げてきました。
具体例として、通信トラフィックが集中するエリアでの周波数バンドの分散や、自動最適化機能、そしてネットワーク運用の自動化が挙げられます。これらを用いることで、より円滑な通信環境が実現されています。しかし、従来のアプローチにはいくつかの課題が浮上しています。ネットワーク装置が多機能化し複雑化する中で、大規模災害や予測できない事態が発生した場合の復旧に時間がかかることや、影響の広がりが懸念されています。このような状況において、速やかに対処できることが、課題となります。
「AI for Network」では、これらの課題解決に向けた検討を加速しています。特に、人為的ミスのゼロ化や、障がいの起こりにくいネットワーク(Zero Outage)をめざした取組み、新たな技術を駆使しながらお客さまの体験を最大化することを掲げており、これらにAIを適用する事で、更に信頼性の高いネットワークの通信制御や保守運用を、柔軟かつ効率的に実現することが期待されます。
AI for Network

モバイルネットワークで提供するサービスが拡大する一方で、ネットワークの複雑さや運用にかかる時間・コストも 効率化が求められます。一方でAI技術は、目覚ましいスピードで進化を続けており、AI技術をネットワークに適用することで、効率的または迅速的にネットワークの変化を捉え、自動的に最適なネットワーク運用できることをめざします。
たとえば、AIを活用した無線インタフェースの伝送効率の改善の取組みとして、「AI-native Air Interface(以下AI-AI)」があります。これは電波伝搬環境に応じたインタフェース変調方式を設計し、無線インタフェースへ適用することで通信性能を改善します。また、通信機器と基地局における送受信機間の電波伝搬チャネル推定の信号が、AIを用いることで不要となり高い伝送効率が達成できるようになります。
