超多人数接続技術
背景・課題
「メタコミュニケーション構想」では、元々は一般的なクラウドレンダリング(クラウドゲーミング)技術によるコミュニケーション空間の実現を、モバイルネットワークの進化やモバイルエッジコンピューティングを見据えて検討していました。しかし、一般的なクラウドレンダリングでは、一人一人に高価なGPUサーバーが必要となる上、大人数でのコミュニケーションにおいてはスマホやPC上と同様に接続人数の問題が出てきます。そこで、コストと接続数の問題を解決するための独自の超多人数接続技術の開発を進めました。
さらに開発を進めるなかで、この技術は単なるコストや接続数だけでない、後述する様々なコミュニケーション体験価値の提供につながることが見えてきました。
現在、「メタコミュニケーション」の実験的なサービス提供を行っている「MetaMe」でこの技術が活用されており、様々な観点でコミュニケーションの在り方を探っています。さらにこの技術は、MetaMeのパートナープログラムでオープンな開発資材として提供されています。みなさまもぜひ新しいコミュニケーションサービスの可能性を探るためにご活用ください。
技術の概要
従来のクラウドレンダリング技術だとGPUサーバー1台あたり2、3ユーザー収容となるところに100ユーザー収容を実現しました。さらに実験では、100台のGPUサーバーの並列処理により、1万人が同一空間上でコミュニケーションをとることができることを実証しました。また、コストと同時接続数以外にも、以下のようなコミュニケーションの価値を高める副次的な効果を見出すことができました。
- 従来のやり方では、ユーザーの接続からアプリが利用可能になるまで(あるいは複数の空間を切り替えるための大容量データの読み込みに)数十秒かかっていたところを、1秒に短縮⇒リッチな空間体験のコミュニケーションとして即時性を実現。
- 超多人数が入れる=人だけではなく、AIのキャラクターも大量に投入できる(従来サービスはそのような利用はBOTとして利用規約で明示的に禁止されているケースが多い)⇒今のAIのトレンドに先駆けて、自律型AIのサービス展開を実現、多数の知財も獲得。
- 従来技術での多人数同時接続の場合、コミュニケーション情報を多対多(N:N)の経路で扱う必要があり情報量が指数関数的に増加、一方で開発技術では一対多(1:N)の線形的な情報量の増加にとどまる⇒従来難しかった、センシングの入出力やマルチモーダル情報といった大容量の情報の取扱いが行えるようになり、リッチなコミュニケーション表現が可能に。
技術の詳細
従来だと一つのバーチャル空間のアプリに1人のユーザーが接続する作りになっています。それに対して、開発技術では、1つのアプリに大勢を接続し、コミュニケーションを処理するCPUとレンダリングを処理するGPUを最大限活用する処理効率を実現しました。さらに一つの視点を複数人で共有したり、複数のGPUサーバーにまたがって一つの大きなバーチャル空間を構築し、ユーザーがバーチャル空間上の場所に応じて接続先のサーバーをどんどん切り替えていくことで、体験の連続性(場所の切り替えにローディングが発生しない)や場所の同一性(たとえば従来だと1000人同時接続といっても50人の空間が20個用意されるといったケースも多く、その場合友達と同じ空間に入れる確率は単純計算だと5%になってしまう)を損なわない形での巨大なバーチャル空間を実現できます。
また、人と同じ仕組みでAIも空間に入ることができ、コミュニケーションの情報も人とAIで同じ構造となっているため、AIのキャラクターを使ったコミュニケーションサービスが手軽に実現できます(AIサービスをゲームエンジンなどのバーチャル空間側の開発の理解を必要とせずに開発できる)。また、AIが人と同じように空間を知覚するための情報も提供されるため、AIによる空間的なコミュニケーションの実現も容易です。
まとめ
超多人数接続技術の進化により、世界中の人とAIが同じ空間で自然に出会い、学び、遊び、そしてともに創り出す未来が開かれます。
これまで物理的な距離やシステム上の制約に阻まれていた「大人数での交流」が当たり前になり、教育の現場では多国籍の生徒とAI教師が同じ教室で学び合い、ビジネスの場ではグローバルなチームがシームレスに協働することが可能となります。
エンターテインメントでは、現実を超える規模と臨場感を持つライブやイベントが日常化し、人とAIが一体となった新しい文化や価値観が生まれていくでしょう。
この技術は、単に「同時接続数を増やす」ものではなく、人とAIがともに暮らす社会の基盤を形づくる革新です。