説明会資料
講演要旨・主な質疑応答(個人投資家向けIR説明会)
実施日:2014年2月14日
2014年2月14日に実施した「個人投資家向けIR説明会」の講演の主な内容と質疑応答をテキストでご覧になれます。
内容につきましては、ご理解いただきやすいように加筆・修正をしております。
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講演要旨
1. モバイル通信市場の現状
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当社はNTTの連結子会社であり移動通信事業会社です。売上高はNTTグループ全体の約4割、営業利益は約7割を占めます。世界の主な移動通信事業者の中で、売上高では世界第5位に位置しており、国内の契約数シェアは、44.3%で第1位となっています。
日本の上場企業の中では営業利益ランキング第3位、総合企業ランキング(ナイセス)第4位となっています。総合企業ランキングは、昨年1位だったところから今年度は4位に転落しており、まだ1位奪還を目指して取組みを進めたいと考えています。当社の携帯電話の加入者数は、1G、2Gのiモードの時代の急速な増加を経て、段々と飽和状態になってきています。また市場は変化しており、現在はLTEの契約者数が伸びていると共に、市場の競争環境も厳しくなってきています。当社の収入は、音声収入は通話時間減少と料金の低廉化により減少傾向にあり、パケット収入はスマートフォンの普及により伸びています。
2. 競争力強化に向けた取組み
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(1)スマートライフのパートナーへ
我々は、お客様一人一人の"スマートライフのパートナー"になる、ということを目指しています。"スマートライフのパートナー"とはなんでしょうか。モバイル通信を通じて安心で安全な生活をお届けするということは当然ですが、それだけでなく日々の生活をもっと便利で効率的に、またもっと楽しみや喜びをご提供できる、そんなサービスの提供を目指しています。利用者の生活によりそい、先回りして提案する、そんな"コンシェルジュ"のような役割を、携帯電話が担えればいいなと思います。そのためには、ネットワークなど我々のサービスの根幹であるモバイル領域と、新領域での取組みの両輪を回していくことが重要と考えています。これまでも取り組んできていることですが、ネットワークをきちんとし、よい端末・良いサービス・使いやすい料金と対応力の高いお客様窓口、これらすべてをきちんと提供するという原点を大切にし、競争力の強化を図ります。(2)「攻め」に転じる各種施策・取組み
ネットワークについてです。各社とも"LTE"というのを打ち出してサービス展開を行っていますが、ドコモのLTEはクアッドバンドという4つの周波数帯を効率的に利用し、ネットワークを展開しています。都市部では、1.7ギガ帯や1.5ギガ帯という周波数帯を用いて、人が集中するエリアでもつながるネットワークを提供しています。LTEエリア拡大は順調に進んでおり、新幹線全駅や主な集客施設、山手線といった生活で重要な拠点もLTEを十分に提供しています。さらに、ドコモの技術力が結集した"6セクタ基地局"を活用し、通常の基地局の6倍の人をつないで、快適なLTEエリアの実現を可能にしています。
端末については、スマートフォンおすすめ3機種ということで、店頭でも選んでいただきやすいご案内をするともに、まだまだご愛顧いただいているフィーチャーフォンについても、年に一度は新しい機種を出していく予定です。わたくしも通話はフィーチャーフォン、株価の確認やデータサービスの利用にはスマートフォンと使い分けています。iPhoneについては、当初は在庫が潤沢でなく、サービスも一部ご利用いただけないものがありご迷惑をおかけしましたが、現在では在庫も充実し、おかげさまで12月の純増シェアは国内一位となりました。このような結果、スマートフォン利用数はすでに2,200万を突破しています。
ドコモショップ等の販売チャネルにおけるお客様対応力の高さは、当社の競争力の源泉です。写真にあるのは全国のドコモショップのスタッフの方を対象とした応対コンテストで優勝された方です。素晴らしい対応力です。またコールセンターの満足度についても、国内No.1となっています。お客様のスマートフォン画面をオペレーターの手元の画面で共有して問い合わせにお答えする"スマートフォンあんしん遠隔サポート"も好評です。
現在、"ドコモの学割"を展開中です。学生およびそのご家族を対象にした割引施策で、春商戦に向けて積極的な販売促進を行っています。
スマートフォンを通じて提供するサービスには、メニューの一覧をご提供するこれまでの"プラットフォーム"モデルに加え、主にdマーケットを通じ、サービスそのものを提供するモデルが拡大しています。
そのdマーケットでは、食品や日用品といったリアルな物品のご提供や、教育、旅行といった分野にも展開しています。健康、という分野も重要視しています。"からだの時計"というサービスは、睡眠・食事等、さまざまな分野において、お客様一人一人にあった提案を行うというものです。hitoeという新素材は、NTTと東レ様が共同で開発したもので、機器を体に装着しなくても、その素材で作られたシャツを着るだけで心拍数などのデータを測定できます。これに、ドコモの"わたしムーヴ"という健康サービスを連携させ、ムーヴバンドという機器を通じてスマートフォンでデータを測定する、という新たなサービスを開発中です。教育分野ではABCクッキングスタジオという大手の料理教室との連携、dキッズというタブレットやスマホを活用した子供向けコンテンツなど、あらゆる世代に便利なサービスを展開しています。また、M2Mという分野にも注力しています。人同士の通信だけでなく、機械や、犬などの動物にも通信を提供します。この"牛温恵"は、牛の体内に装着し、分娩の兆候などを遠隔で通知することで、子牛の死産という、畜産農家様にとって大きな痛手の防止をサポートすることができます。この"ペットフィット"というサービスは、昨日発表いたしました。愛犬家の皆様に、犬の首輪にこのような装置をつけておくことで、運動量等の健康管理を行えるだけでなく、自宅周辺から外れると検知し、GPSで居場所を探す、という機能を提供します。
グローバル事業もスマートライフの実現を目指して展開しています。海外には、すでにコンテンツの提供する仕組みを持っている企業など、ノウハウのある企業があります。それらとうまく連携することで、より効率的に、質の高いサービスの提供が可能になります。また我々と同じ通信事業者とも、様々な協業を進めています。
このような新領域での事業を積極的に展開し、2015年度には売上高一兆円を目指しています。3. 更なる成長に向けた取組み
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中期経営指標として、2015年度までにスマートフォン契約数4,000万、パケット収入1.5倍(対2011年度)、新領域収入1兆円、スマートARPU約2倍(対2011年度)を目指します。経営体質の強化として、2015年度に2,500億円(対2011年度)のコスト削減をめざしており、2013年度は第3四半期においてすでに目標を前倒し達成しました。設備投資はXiのネットワークにソースシフトし7,000億円を目処に実施。また、経営体質の強化をめざし、ことしの7月から新事業領域、および法人営業部門への大幅な人員シフトを行います。営業利益はできるだけ早期に9,000億達成を目指します。株主還元については、今後も国内トップレベルの安定した配当を維持していく方針です。ドコモは、 ①6,200万の顧客基盤 ②ネットワーク品質・先進サービスに対する高い信頼 ③世界をリードする研究開発力 ④強固な財務体質 ⑤国内トップレベルの配当性向 以上のような強みをもとに、お客様により良いサービスを提供できるよう努力していきます。
主な質疑応答
Q1 端末の購入代金は、他社に比べてドコモはまだ高いのではないか。ランニングコストは決して高くないのだから、もっとアピールすべきでは。
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A1 ドコモの料金が決して高くないということをまだお客様に訴求しきれていない。常にお客様にとってお使いいただきやすい料金設定を考えている。端末代金についても、実質ゼロ円とするなどあらゆる工夫をしている。できるだけわかりやすく、安心な料金体系を今後も考えていきたい。
Q2 iPhoneの導入が遅すぎたのでは。NTT固定回線とのバンドルも対応が遅すぎる。
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A2 まずiPhoneについて。今日ご紹介したような生活を便利にする様々なサービスを構想している段階ではiPhoneではそれらのサービスをお届けできない、というのが大きかったが、可能となったので取扱いを開始した。結果的に遅くなってしまったかもしれないが、そこは妥協できない点であった。
NTT光回線とのバンドルについては、できないわけではない。しかし現在の法制度においては、NTTとだけバンドルできず、NTTとバンドルしたら他のすべての事業者にも同じ割引をしないといけない。結果ただの業界全体の値下げにつながる。また、NTTおよびNTTドコモには"支配的事業者"ということでハンデが課せられているが、これからその点については議論がされる予定。今しばらくお待ちいただきたい。Q3 ソフトバンクはSprint買収など海外展開に積極的だが、ドコモはどうか。
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A3 昔に欧州の事業者や、アメリカのAT&Tワイヤレスなどに出資し、iモードという日本で大成功したモバイルインターネットのビジネスモデルを世界中に展開したいと思ったが結果的に大きな損失を出してしまった。しかし、多くを学んだ。現在、アジアを中心に仲間となりうる出資・提携先はあり、キャリア(通信事業者)への更なる出資についても、いいところがあれば応じる姿勢でいる。なにぶん相手があってのこと。ソフトバンクのアグレッシブな展開は評価している。大変なことも多いだろう。我々は現在、いわゆる"クールジャパン"と呼ばれる和食、アニメ、デジタルコンテンツ等の日本発の文化は、仕組みさえあれば世界に発信できる。その分野に強いところと組んでやっていきたい。すでにドイツやイタリアにも子会社がある。Sprintへの出資ほど大きく見えないかもしれないが、神経細胞のように提携のネットワークを張り巡らせ、頑張っていきたいと思う。
Q4 株主優待は考えていないのか。
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A4 株主様に公平に還元していきたい、と考えている。そのためには持ち分に応じて、配当という形できっちりお返ししていきたい。