日本の携帯電話市場は成熟期を迎えた。成長期においては、新規顧客の獲得に重点があったが、現在の成熟した市場環境では既存のお客様を重視し、ご満足いただけるサービスを提供することが重要だ。
a. 「2010年度 顧客満足度第1位」獲得に向けて
ドコモは、2008年4月に公表した「新ドコモ宣言」に基づき、ドコモ全体で結束し、あらゆるビジネスプロセスを見直し、お客様満足度に繋がる施策を実行している。お客様にご満足いただけるサービスの提供を徹底し、2010年度には顧客満足度第1位を獲得したい。
b. 変革の成果
「変革」の取組みの成果は、解約率の低下や純増シェアの回復という形で経営指標にも表れている。特に、解約率については、2009年度第1四半期で0.44%という驚異的な水準となっており、お客様満足向上に手ごたえを感じている。
ドコモのチャレンジとは、ドコモの成長に向けた取組みである。「リアルタイム性」「個人認証」「位置情報」といった携帯電話の特性を活かし、様々なプレイヤーとの連携を通じてイノベーションを起こすことで、新たな価値の創造を目指していく。コスト削減についても引き続き取り組んでいく。
ドコモの主なチャレンジ
・パーソナル化の推進と更なる進化
・ソーシャルサポートサービスの展開
・融合サービスの導入、推進
・動画サービスの発展と推進
・次世代ネットワークの導入
・端末の更なる進化-オープンOS端末の推進
・グローバル展開の推進
・国内出資、提携の推進
「変化とチャレンジ」の取組みによって、2012年度に営業利益9,000億円以上を目指す。
株主還元は経営の最重要課題の一つで、配当性向は国内トップレベルの水準にある。
2009年度は1株当たり5,200円へ400円の増配を予定している。
A1 社長に就任してから6月で1年が経ったが、その間に「変革とチャレンジ」を掲げ、ドコモの1社化、コーポレートロゴの変更、端末シリーズの見直し、パケ・ホーダイ ダブルの提供開始、お客さまからのエリア申告に対して48時間以内訪問など具体的な取組みを実現してきた。
社長に就任してから1年間で120箇所ほどお客様と接する現場を訪問する中で感じたのは、ドコモはお客さまの心を徐々に掴めてきているということだ。ドコモ変革の手ごたえを感じている。
A2 株価の低迷については、株主の皆様にご心配をおかけして大変申し訳なく思っている。株価低迷の要因はいくつか考えられるが、市場の飽和や競争激化への危惧、不透明な景気などが影響しているのではないかと思う。
株価は市場が決めるものだが、株価上昇には、いかにドコモが成長路線を示し、実行していけるかが鍵だと思っている。
そうした意味で、いま進めている「変革とチャレンジ」を着実に実行することが重要だと考えている。
先ほどお話した通り、2012年度営業利益9,000億円の達成を目指しているが、2009年度はその実現に向けた弾込めの年と位置づけており、成長に向けた基盤作りをしっかりと進めていく。
A3 ドコモの収益成長のためにはデータ通信収入の拡大が必要だが、その最大の原動力が動画の普及だ。「BeeTV」は動画普及に向けたチャレンジの一つで、力を入れて取り組んでいる。お客様に楽しいと思っていただける動画のコンテンツを数多く作り、多くのお客様にパケット定額制にご加入いただきたいと思っている。
A4 昨年度の第1四半期(4-6月)は新販売モデル導入による影響で一時的に大きな利益が出た特別な年だった。今年度の第1四半期は、昨年と比較すると減益に見えるが、事業は順調に推移している。第1四半期の利益は計画通りの水準だ。通年では、事業計画通り、8,300億円の営業利益を出せるという自信を持っている。