持続可能な農業を支える。ドコモのAI・ロボット開発最前線

docomo EVERYDAY2026.08.05持続可能な農業を支える。ドコモのAI・ロボット開発最前線

私たちの毎日の食卓を支える農業。その現場では、農家の高齢化や担い手不足が大きな課題となっています。ドコモのクロステック開発部は、AIやロボティクス技術を活用し、約8年にわたって農業現場の課題解決に取り組んできました。その活動は「NTT GROUP サステナビリティカンファレンス」で最優秀賞を受賞。現場に何度も足を運び、農家との対話を重ねながら生まれた技術について、開発メンバーに話を聞きました。

なぜドコモが農業の課題に向き合うのか?

── クロステック開発部が農業に取組みはじめたきっかけを教えてください。
水野:私たちのチームはドコモの中でも動画像認識を専門とするAI・ロボティクスの開発チームです。
松村:2016年頃、ドコモのグループ会社から「農家の除草作業をなんとかできないか」という相談が来たのがはじまりです。実際に話を聞いてみると農業の現場では少子高齢化による担い手不足が深刻で、夏場のビニールハウスは気温が40~50度にもなります。高齢の農家が、そんな環境で長時間にわたって除草作業をしているんです。

── それで、画像認識の技術が使えると?
松村:「この技術で何が解決できるか」を考えたとき、農業領域に貢献できると確信しました。農家の平均年齢が65歳を超えているなかで、農薬を減らしながら担い手不足を解消する。持続可能な農業の実現に向けて、チームで技術開発を続けています。この取組みは、環境負荷を減らしながら持続可能な農業を実現する国の方針とも重なるものです。

現場で気づいた「意外な壁」

── 実際に農家の現場に入ってみて、どんな気づきがありましたか?
水野:一緒に現地作業することで農家さんが判断している観点をはじめて理解できるということです。北海道で農家さんと一緒にAIの学習データを集めていたとき、何度も「これが見つけたい対象だよ」と教えていただいたのですが当初は違いが全くわからなかったです。指摘されながらも理解を深めたところ、ある日「君もすぐ現場出れるよ」と言ってもらえてあの言葉は今でも一番印象に残っています。

── ロボット開発の面ではいかがでしたか?
小圷:シミュレーション上では完璧に動くロボットが、実際の畑ではうまく動かないんです。原因を調べるために毎週北海道に出張する日々が続きました。作物の成長具合や太陽の当たり具合、土の状態、地形のわずかな違いなど、様々な要因に対して試行錯誤を繰り返しました。また、農家さんから「AよりBの方がいい」という具体的なフィードバックをもらいながら、実際に利用いただく農家さんや一緒に開発を進めていた大学の研究知見も取り入れて少しずつ改善してきました。

実際にどんな技術がある?

── 現在、農業現場に導入されている技術を教えてください。
佐藤:大きく3つあります。まず「小型除草ロボット」です。畑を自律走行しながら、作物列の間を除草機で耕しながら雑草を取り除きます。このロボットを2回ほど走らせるだけで人の手で行う除草作業を50%以上削減できる効果が確認されています。北海道から鹿児島まで、さまざまな農家・農業法人と実証実験を進めており、農家さんからも一定の評価をいただき、2025年度からは有償で利用いただく段階に進んでいます。

── ほかにはどんなものがありますか?
佐藤:「ドローンによる画像認識AI」と「トラクターの自動運転制御」です。ドローンは上空から映像を撮影し、撮影した画像からAIによって雑草や病気の株を自動で見つけ出しマップに起こします。農薬の使用量削減にもつながっています。トラクターは北海道の大豆畑で、ハンドルを全く触れずに数百メートルの畑の列を走り切ることができます。現場から想定外のフィードバックをもらうこともあり、自分たちが想定していないような新たな可能性に気づかされたこともありました。

生産性向上に資するAIロボティクス技術を説明する図
生産性向上に資するAIロボティクス技術を説明する図

これからどこへ向かうのか?

── 2026年5月28日に行われた「NTT GROUP サステナビリティカンファレンス」で最優秀賞を受賞されました。率直な感想を聞かせてください。
水野:正直、驚きと同時にとてもうれしかったです。8年間、現場に通い続けてきたことが形として認められた気がしました。一方で、これはゴールではなくスタートだと思っています。グループ全体から大きな期待をいただいていると受け止めて、チーム一丸となって取組みを続けていきます。

NTT GROUP サステナビリティカンファレンスでの集合写真

── ドコモならではの強みはどこにあるのでしょうか?
加藤:センシング技術やAIロボティクス技術はほかの会社でも使えます。でもドコモだからこそできることがあると思っています。山の中など通信がつながりにくい場所でも、通信・衛星技術を組み合わせることでロボットを遠隔で操作・監視できるんです。農業だけでなく、獣害対策や林業など、活用できる領域はどんどん広がっています。

── 最後に、チームとしての想いを聞かせてください。
水野:私たちがチームとして大切にしているのは、技術を作るだけで終わらないことです。実際に農家さんの現場で使ってもらって、「便利になった」と実感してもらう。その積み重ねのなかで、ドコモの強みを活かした新しいものをしっかり作り続けていきたいと思っています。毎日の食卓に届くまでの農家さんの苦労を、少しでも減らしていけるよう、これからも現場と向き合い続けます。

チームの集合写真
  1. R&Dイノベーション本部 クロステック開発部 複合価値創出
    • 写真上段 佐藤(左)、小圷(左から2番目)、北出(右)
    • 写真下段 水野(左)、加藤(中央)
  2. サービスイノベーション部 開発推進
    • 山谷(写真下段右)
  3. ドコモ・テクノロジ サービスインテグレーション事業部
    • 松村(写真上段右より2番目)
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