
docomo EVERYDAY2026.04.30「聞きたいけど、聞けない」をなくす。AI×ミラーが変えた、アパレル店舗の新しい買物体験
「店員さんに話しかけるのが少し気まずい」「何を選べばいいか分からない」そんな買物の“迷い”を感じたことはありませんか。
2026年3月、新宿Flagsでは、鏡の前に立つだけでAIがスタイリングを診断する次世代型デジタルミラーの実証実験が行われました。
この体験が生み出したのは、AIによる接客の代替ではなく「思わず相談したくなる」新しい買物の入口。
ドコモ発スタートアップcoordimateと商業施設・ブランドが挑む、リアル店舗の進化を現場レポートとインタビューでお届けします。
「服選びの不安」をなくすスタートアップ
coordimateとは?
株式会社coordimate(コーディメイト)は、「服選びに迷う」という日常の悩みに寄り添い、新しい買物体験をつくるスタートアップ企業です。
2024年4月、NTTドコモが運営するアクセラレーションプログラム「docomo STARTUP」※のSTARTUPコース適用第一号案件の1社としてスタート。CEOの飯野 健太郎さん自身の「洋服の買物に行っても何を選べばいいかわからない」という素朴な体験がこのサービスの原点になっています。
- 社員のアイデアを事業化する、ドコモグループの新規事業創出プログラム(
https://startup.docomo.ne.jp/)
CEOの飯野 健太郎さんは、Forbes JAPAN主催「FTS ENTREPRENEURS AWARD 2024」をドコモ現役社員として初受賞するなど、業界内外から注目を集めています。
●coordimateの主なサービス
ファッション相談アプリ:日常シーンでの服選びをAIがサポート
服選び支援AIエージェント:パーソナライズされたスタイリング提案
次世代型デジタルミラーソリューション:リアル店舗のお買物体験をアップデートする鏡型デバイス
お客さまが店員へ
思わず話しかけたくなる体験をつくる
2026年3月、JR新宿駅東南口直結の商業施設・新宿Flagsにて次世代型デジタルミラーを活用した実証実験を実施しました。
ミラーの前に立つだけで、AIがコーディネートをリアルタイムで診断。スコアとともにおすすめアイテムがスマートフォンにも表示され、買物中いつでも見返せます。
この仕組みの核心は「お客さまが自分から話しかけたくなる状態をつくること」。
coordimate CEO 飯野 健太郎さん:「話しかけたくないと思っている体験を、"話しかけたくなる体験"に変えればいいと考えました」
従来の接客では、スタッフ側から「こちらがおすすめです」と一方的に提案する流れが一般的でした。
しかし、今回の実証実験に関わった店舗スタッフによると、次世代型デジタルミラーを体験したお客さまは「こういうコーディネートがしたいのですが、このアイテムはありますか?」といったように、具体的な要望を持って自らスタッフに話しかける場面が見られるようになったといいます。
まるで美容院で「こんな雰囲気にしたい」と写真を見せるように、お客さまからスタッフへ声をかけ、次世代型デジタルミラーをもとにコーディネートを相談する新しい購買フローが生まれています。
また、実証実験の受け入れ先である株式会社小田急SCディベロップメント 新宿営業室 副支配人※・前田 貴男さんは、導入の意義をこう語ります。
- 役職は取材時のものです。
「コロナ禍以降、お客さまの消費行動は“物から事”へとシフトし、わざわざリアル店舗に来てくださる方は非常に高い期待を持っています。店舗での時間を有効に活かせるcoordimateは新宿エリアとの相性が非常に良いと感じました」
年間約620万人が来館する新宿Flagsでは、そのうち約200万人が実際に商品を購入。限られたスタッフ数でより多くのお客さまに対応するためにも、AIの活用は「自然な流れ」だったといいます。
前田さんが強調するのは、「店舗の主役はAIではなくあくまでスタッフ」という考え方です。
それは、お客さまの思いや要望を受け止め、より良い提案につなげる存在として、スタッフの役割を大切にしたいという意味でもあります。
AIはそのための補助的な仕組みとして、現場での気づきを共有し、より良い接客体験につなげる役割を担っています。
新宿営業室 副支配人 前田 貴男さん
実際に体験してみた!ドコモ若手社員3名が新宿Flagsへ潜入
実証実験の現場を、NTTドコモ首都圏支社の若手社員3名が実際に体験しました。
新宿Flags入口に設置されたミラーを前に、まず体験したのは浦塚さん。QRコードを読み取ると即座にAI診断がスタートし、結果は15点満点中11点という高得点!続く國貞さんも11点、関さんに至ってはなんと12点をマーク。あまりの高得点ぶりに、coordimateのCo-Founder/CSO 佐藤 瑠生さんから「昨日厳しく設定したばかりなのに…」と苦笑いがこぼれる場面も。
●体験者の声
浦塚さん:「スコアと合わせておすすめ商品も表示されるので、実際にお店に見に行きたくなりますね」
関さん:「AIが接客を置き換えるのではなく、スタッフの提案を後押しする形で活用されている点が印象的でした」
國貞さん:「自分に似合うファッションが正直わからない私にとって、こんな便利なサービスはないですね。かかわる人すべてが幸せになる取組みだと思います!」
ミラーは新宿Flags内の「OSHMAN'S」にも設置されており、こちらはブランド特化型の仕様でおすすめ商品をレコメンド。dポイントとの連携キャンペーンも実施中で、購買促進にも力を入れています。
現場マネージャー※の服部 詩織さんも、導入後の変化を実感しています。
- 役職は取材時のものです。
「テナントの方々から『新しいことに挑戦したい』という声が多く聞かれました。これは従業員のやる気を引き出す“攻めのES(従業員満足)”につながると感じています」
新宿営業室 マネジャー 服部 詩織さん
CEOが描く「未来の買物」
AIは選択肢を広げ、人が最後の納得をつくる
CEO・飯野さんは、今回の実証実験をこう位置づけています。
「この実験の意義は、デジタルな仕組みを置くことではなく、人の接客がより活きる入口をつくることにある」
実証実験を通じて判明した重要なデータがあります。それは、体験時間が30秒を超えるとお客さまが離脱してしまうという事実。いかに30秒で体験を完結させ、かつ「良い体験」にするか、機能を徹底的に削ぎ落とし、磨き上げた結果が今のミラー体験です。
飯野さんが描く未来の買物体験は、3つのフェーズがシームレスにつながるものです。
1.事前相談:アプリやAIエージェントで「何が似合うか」を整理
2.店舗体験:次世代型デジタルミラーで客観的に確認・診断
3.購買決定:スタッフの本質的な提案を受けて、納得して購入
「AIが最初の迷いを受け止めて、人が最後の納得をつくる。そういう役割分担になっていくと思っています」
AIが進化するほど「最後にその人の背中を押す体験」の価値が高まる。それが飯野さんの確信です。
「買物が楽しくなる世界」をリアルな現場から一歩ずつ形にしているcoordimate。新宿Flagsでの実証実験は、その未来への大事な一歩となりました。
株式会社 coordimate
CEO 飯野 健太郎さん
Co-Founder/CSO 佐藤 瑠生さん
これからの挑戦。
現場から広がる買物の未来
新宿Flagsに続き、たまプラーザテラスでも実証実験を実施※。今後も、より多様な来館者や店舗環境の中で、買物体験の可能性を探り続けていきます。
- 2026年4月30日(木曜)まで。
「買物の迷いを、前向きな楽しさに変えたい」。
AIと人、それぞれの強みを生かしながら、リアルな現場から少しずつ未来を形にしていく。coordimateの挑戦は、これからも続いていきます。