
docomo EVERYDAY公共交通の未来を担う自動運転実用化への挑戦
実用化に向けて着々と進化を遂げている自動運転。その技術開発にドコモも貢献していることをご存じでしょうか?交通サービスに安全・快適な自動運転を導入するためには、システムを安定して稼働させるための通信ネットワークや、車両をリアルタイムで監視し必要に応じて対応する遠隔管制システムなどの技術が欠かせません。そこでドコモは、これまでに培ってきた通信技術の知見を活かそうと、平塚市、仙台市、名古屋市の3拠点で自動運転車を公共交通に実装するための実証実験に参画しました。今回はその実験内容や、取組みに込めた想いについてご紹介します。
平塚市:通信の高信頼化とバス業務自動化の取組み
神奈川県平塚市では、安全と環境への配慮を兼ね備えた持続可能な地域公共交通の実現にむけて、既存バス路線へ自動運転車両を導入し、バス路線の確保・維持、改善につなげていくことをめざしています。そして、平塚市は神奈川中央交通株式会社などとともに、いすゞ自動車株式会社製「エルガEV 自動運転バス」を採用し、既存バス路線での実証運行を2025年12月16日(火曜)~2026年1月21日(水曜)まで実施。そのなかでドコモは、遠隔管制システムを提供しました。
自動運転を行う上では、安全の確認・維持をするために、リアルタイム映像による遠隔管制が義務づけられています。映像の途切れや遅延を極力避けなければなりません。そのためには通信の品質を高い水準で維持することが求められます。この課題に対して、ドコモは回線ボンディング、通信品質予測やビットレート制御という技術で対応しました。
回線ボンディングは、他社キャリアも含めた複数の回線を束ねて冗長接続することで、1回線では足りない帯域を補い通信の安定化を図るという技術です。
通信品質予測およびビットレート制御とは、通信が不安定になりやすいエリアを事前に予測し映像の品質を調整することで、映像が途切れることを防ぐ技術のことをいいます。
これらの技術によって安定した通信環境を確保し、安全な走行を実現することができました。
また、この実証実験ではAIを活用したドア開閉の自動化にも注力しました。労働人口が減少する見通しの将来は、運転士不足が懸念されるとともに、一人の遠隔管制員が複数台の車両を同時に管制する運用が求められます。そこで、この実証実験ではオペレーションコストの削減をめざし、AIによるドア開閉の自動化に取組みました。ドア付近に人がいないか、乗り降りが完了しているかなどを映像で判定し、安全が確認された場合に自動でドアを開閉するという実証を行った結果、AIの検知漏れにより遠隔管制員が緊急介入することはなく、安全なドア開閉を実現しました。
一方で、AIによる認識精度で課題となるシーンもありました。本実証の開始にあたっては、事前準備として実際に社員が乗車し、車内AIカメラの精度を何度も検証してから臨みました。しかし、実際の乗客は目新しい車内の機材や映像を見るためにしきりに顔を動かしたり、会話のために前かがみになったりするなど、想定以上に大きな動作をすることがあり、AIが車内の移動や転倒と誤検知してしまうことがありました。ごく少数ではあるものの、こうした事前検証では得られなかったリアルなデータが収集できたことも、今後のAIの精度向上における貴重な糧となっています。
仙台市:電波環境が不安定な山間部における通信の安定化
宮城県仙台市でも、運転士不足などにより公共交通サービスの維持が課題となっています。そこで、ドコモビジネスを主管とする8社コンソーシアムが東北大学、仙台市と連携し、沿岸部と山間部の2ルートで自動運転バスの走行に関する実証実験※に取組むことが決定しました。ドコモは山間部である秋保ルートの通信を高い品質で維持することに取組み、2026年1月19日(月曜)~1月30日(金曜)に自動運転バスが運行しました。
山間部の課題は、電波状況が不安定になりやすいことです。そうした難しい条件をクリアするために、平塚市の実証と同様に回線ボンディングなどを利用して通信の安定化を図りました。その結果、通信をほとんど途切れさせず高品質で維持することに成功。ドコモにとっては非常に意義深い挑戦となりました。
- 総務省の「地域社会DX推進パッケージ事業(自動運転レベル4検証タイプ)」を活用し実施。
愛知県(名古屋市):自動運転車両の長期運行・混雑エリアの通信安定化
愛知県名古屋市では、ドコモが愛知県からの委託を受け、実証実験を実施しています。この実証実験で特に力を入れているのは、自動運転車両の長期運行・混雑エリアの通信安定化です。ミニバン型の車両2台が3拠点を周回する定期運行をしています。ドコモはこの運行事業の主管として車両の調達から運行主体まで、一気通貫で担当。複数台運行でのオペレーション検証、将来の車内無人化を見据えた車内タブレットの活用による乗客体験の向上、運賃収受デモ、緊急・トラブル時のオペレーション検証など、自治体、交通事業者、自動運転システム開発会社、地域のプレイヤーなどを広く巻き込んだ取組みを推進しました。2025年10月14日(火曜)~2026年3月19日(木曜)という半年にわたる運行は、他の自治体が行ってきたものと比べても特に長期間であることが特長です。
運行を行ったエリアは幹線道路であり、交通量が多く通信も混雑しやすい環境であったため、遠隔監視映像に途切れや遅延が発生する可能性がありました。この課題を解決するために特に力を入れたのが、ネットワークスライシングによる通信の安定化です。
ネットワークスライシングとは、サービスごとに5Gネットワークを仮想的に分割(スライス)して、さまざまな品質要求に対応できる技術です。
この技術を自動運転車両の遠隔監視に活用することで、走行ルート全体を通してクリアな映像を安定的に送信することに成功し、自動運転車の社会実装に向けて大きく前進しました。
自動運転の本格的な社会実装のために
あんしん安全な自動運転サービスには、通信技術が不可欠です。通信会社であるドコモならではの角度から、将来的な自動運転の社会実装にむけた取組みをこれからも進めていきます。
深刻化する運転士不足の解消、過疎地における移動手段の維持などの課題の解決策として、公共交通の自動運転化は必要性を高めています。さらなる普及を実現するためには、まずこの実証実験について多くの方に興味を持っていただくことが非常に重要だと考えています。実証に参加していただいた方のアンケートでも、期待の声が想定以上に多く寄せられており、手応えを感じています。
誰もがあんしんして自動運転車両を利用できる未来をめざして、ドコモはさらなる通信技術の進化に取組んでいきます。