林業課題をテクノロジーで解決。ドコモが挑む“自動運転植栽機”開発の第一線

docomo EVERYDAY林業課題をテクノロジーで解決。ドコモが挑む“自動運転植栽機”開発の第一線

日本の林業は今、深刻な人手不足に直面しています。特に広大な森林での植栽作業は体力的にも過酷で、夏場の猛暑や野生動物との遭遇リスクもあり、担い手の確保が困難な状況です。
ドコモグループでは、こうした課題をDXで解決するため林業機械の自動化をミッションとして掲げたプロジェクトを推進しています。その一環で、2025年10月に北海道岩見沢市で自動で苗木を植える「自動運転植栽機」の実演会を開催し、林業関係者約50名に実機の動作をお披露目しました。
次世代の林業を支える自動運転植栽機の仕組みと、現場からの期待の声をご紹介します。

機械が森をつくる時代へ。自動で苗木を植える試作機が誕生

森を育てるために欠かせない「植栽作業」。しかし近年、担い手不足や作業の重労働化により、多くの地域で植栽の継続が課題となっています。
こうした状況を改善するため、現在開発が進むのが「自動運転植栽機」です。
この試作機は事前に設定したルートに沿って自動で走行し、指定された間隔で苗木を植えていく仕組みを備えています。
この機械の導入により、作業に必要な人手の削減だけでなく、植える間隔が均一になるため森の品質も安定。作業時間も大幅に短縮できることから次世代の林業機械として期待されています。

自動運転植栽機(試作機)

晴天の北海道で実演。林業のプロ50名が注目した動作とは

2025年10月に北海道岩見沢市の実際の林地で、開発中の自動運転植栽機などを対象とした現地検討会を開催しました。
当日は、林野庁をはじめ、北海道庁、林業関係者・森林研究者など、林業に携わる約50名の関係者が集まり、試作機の動作デモンストレーションを行いました。
デモでは、事前に設定したルートを試作機が自動走行し、苗木を一定間隔で植え付ける様子を披露。植栽精度、走行安定性、オペレーション性など、参加者からは、
「機械の動作の早さについて改善の予定はあるのか」
「ドリルの大きさは変えられるのか」
といった現場での使い勝手を意識した実践的な質問が寄せられ、林業のプロならではの視点が反映された有意義な議論が交わされました。

自動運転植栽機の動作デモンストレーション
デモ後は多くの質問や
ご意見が寄せられました

猛暑、熊、重労働。機械が解決する林業の現場

日本の森林の多くは、伐採適齢期を迎えており、再造林(伐採と合わせて、植林を行う)を行わなくてはいけない状態にありますが、実際には、再造林をされずに、放置されている場所が少なくありません。
その背景にあるのが、林業現場が抱える深刻な課題です。

  1. 人手不足
    植栽、雑草の除去、木材の搬出など、林業には多様な作業があります。しかし担い手は年々減少しており、限られた人員で広大な森を管理するのは限界に近づいています。
  2. 過酷な労働環境
    夏場の森林は気温が高く、長時間の屋外作業は熱中症のリスクが高まります。体力的な負担も大きく、高齢化が進む現場ではさらに深刻です。
  3. 野生動物との遭遇リスク
    北海道などでは、作業中に熊と遭遇する危険もあります。人が森に長時間滞在することは、安全面でもリスクを伴います。

自動運転植栽機は、こうした現場の課題に対して以下の効果が期待されています。

  • 作業時間の短縮による稼働軽減
  • 森に滞在する時間の減少による、熊など野生動物との遭遇リスクの低減
  • 植栽精度の向上による、森林品質の安定化
  • 猛暑日の作業における、熱中症リスクの削減

検討会でも参加者からは、「危険な場所や暑い時期の作業を置き換えられるのは素晴らしい」といった、現場課題を踏まえた前向きな意見が多く寄せられました。

自動運転植栽機がもたらす効果

持続可能な森づくりに向けたドコモグループのミッション

ドコモグループは、通信インフラの提供にとどまらず、テクノロジーを使った産業支援・社会課題解決にも積極的に取組んでいます。
林業分野においても、通信技術を活用した機械の自動化、それによる安全性や生産性の向上など、人手不足や環境変化に負けない、次世代の林業の実現をめざしています。
今回の自動運転植栽機の開発は、その取組みの一環です。今後も林業の現場で働く方々の声に耳を傾けながら、パートナー企業や自治体と協力し、持続可能な森林経営を支える仕組みづくりに挑戦していきます。

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